2024/07/30(火)06:20
カウンセリングの目的は自分で気づきを得るということ
医師の井出雅弘氏のお話です。
患者さんのなかには、カウンセリングを受けたあと、「何もアドバイスしてもらえなかった」と不満や物足りなさを覚える人もいます。
そうした印象を持つ人の多くは、カウンセリングを身の上相談と同じようなものととらえているようです。
しかし、心療内科で行われるカウンセリングは、回答を出してくれる身の上相談とは基本的に異なるものです。
カウンセリングの目的は、患者さん自身がそれまで抱えていた心理的な問題や自分の性格的な歪みに気づくことによって、同じ過ちを繰り返さない自分になることです。
カウンセラーは患者さんが今までの考え方や行動の誤りに気付いてもらうためのお手伝いをしようとしているのです。
行動や考え方の修正のアドバイスをするのが目的ではありません。
主体はあくまでも患者さんです。
カウンセラーに神経症を治してもらう。生きずらさを軽減してもらいたいと思っていても目的を達成することはできません。
人間性の誤った認識について知りたい、正したいと考えている人にとっては役に立ちます。
(自律神経失調症 井出雅弘 PHP文庫 140ページ)
自分の抱えた問題の解決のためのヒントを自ら掴むというのは森田理論学習の基本だと思います。
森田理論学習が受け身になると、気づきを得ることは困難です。
森田理論に詳しい人の講話を聴く。
自ら生活の発見誌や森田関連の本を読んで森田理論の学習を行う。
集談会やオンライン学習に参加して学習を続ける。
それが一方通行になると、猫に小判、豚に真珠のようなことになる。
気づきを得るためには、森田理論と自分の考え方や行動パターンを突き合わせてみることが必要になります。双方の違いを発見することです。
違いが見つかると、それが認識の誤りという気づきにつながります。
森田理論は森田先生を始め、先人の知恵が詰まっているのです。
そして集談会には学習仲間がいます。
いわばその人たちがカウンセラーの役割を果してくれています。
私たちは自分たちが主体となって、森田理論から気づきを得る。
自覚を深めるようにすればよいということになります。
私たちは森田理論に出会う前は、神経症の成り立ちが分からなかった。
神経質性格はどういう特徴を持っているのか分からなかった。
感情に法則があることは全く分からなかった。
不安の役割や特徴、不安と欲望の関係については何もわからなかった。
行動の原則については考えたこともなかった。
観念中心で事実を軽視する生き方が葛藤や苦悩を招いていることが分からなかった。
人間関係についての考え方が甘かった。
子育ての基本が分かっていなかった。
仕事をするという意味について考えたこともなかった。
森田人間学が取り扱っている分野はとても広いものがあります。
その一つ一つについて気づきや発見を得ていくことは楽しいものです。