「気分本位」「かくあるべし」を抑えるために
生活の発見誌1月号で長谷川洋三氏が次のように指摘されています。私たちは、目的に向かってつねに、積極的にベストの努力を持続することによって、心身ともに強くなるという結論に落ち着きました。それは分かったけどいざ実行となると、なかなか思うようにうまくいかない。長谷川先生は、森田理論の理解と実行・行動が別々になっていると言われています。森田理論を理解した後は応用・活用できるようにしたいものです。私がこの路線に乗れなかった原因が2つあったと思います。一つは気分本位に振り回されていたということです。もう一つは「かくあるべし」が強すぎてエネルギーを吸い取られてしまったのです。長谷川先生は、感覚や気分というものは、私たちの内なる自然現象の一つである。感情というのは、私たちの意思ではどうにもならない自然現象である。いやだ、しんどい、面倒だ、ムダになる、自分には無理だという感情が湧き上がってくるとなかなか行動に踏み込めない。仮に手を付けたとしても、困難な問題が立ちふさがると、すぐにやる気をなくしてしまう。気分に振り回されないためには、行動しているときに問題点、課題、改善点、改良点などがないかを鵜の目・タカの目で探すことです。日常生活や仕事をしているとその気になればいくらでも見つけることができます。見つかったらそれを忘れないようにメモしておくことです。今すぐに処理できることは早めに処理するように心がける。今すぐにできないことは休日の懸案事項としてストックしておく。それ以上大きな問題は人の協力を得て処理するようにする。次に「かくあるべし」が強すぎると、事実、現実、現状を否定するために多くのエネルギーを消費します。その結果、身体的、精神的に疲れ果ててしまいます。反対に不本意な事実をそのまま認めると、そのエネルギーを生の欲望の発揮に投入することが可能になります。「かくあるべし」を減少させることは難しいことですが、ある程度骨抜きにすることは可能だと思います。そのために心掛けることは次のようなものがあります。1、傾聴、受容、共感、許容の態度を身に着ける。2、あたりまえのことに、感謝の気持ちを持つように心がける。3、人の役に立つことをものそのものになって取り組む。4、両面観で考える癖をつける。5、あなたメッセージを封印して、私メッセージの発言を心がける。6、物の性を尽くすようにする。特に他人の性を尽くす。7、素直な心、直観、初一念(森田でいう純な心)から出発する。8、否定語はすぐに取り消して肯定語に置き換える。詳しい内容を知りたい方は、2021年7月11日から7月23日の投稿をご参照ください。ポイントとしては、いきなり全部取り組むよりも、一つ二つに絞って取り組むのが有効だと思います。「かくあるべし」が弱まれば、「生の欲望の発揮」のスタート地点に立つことが可能となります。