依存症について考える
精神科医の松本俊彦先生のお話です。薬物依存には3つのタイプがあります。①アッパー系(中枢神経興奮薬)・・・合法的なものとしてはカフェインやニコチンがあります。②ダウナー系(中枢神経抑制薬)・・・合法的なものとしてはアルコール、睡眠薬、抗不安薬などがあります。③サイケ系(幻覚薬)・・・大麻などのことで合法的なものはありません。コーヒーは誰でも毎日のように飲んでいます。好きな人は毎日10杯くらい飲んでいるという人もいます。カフェインは脳を活性化します。眠気が抑えられたり、一時的に疲れが回復したりします。ただし毎日飲んでいると効き目が薄くなってきます。そして大量摂取するようになります。最終的に依存症になります。その弊害は、中枢神経のバランスが崩れてきます。効果が薄れたときに虚脱感がやってくるようになります。どうにもだるくて、身体が動かない。やる気も出なくなり、電池が切れたような状態になる。こうしたリバウンドのような状態を「離脱」症状といいます。救命救急センターの医師の話では、ここ数年カフェインの急性中毒症状で緊急搬送される人が増えているそうです。1日のカフェインの摂取量が1000~5000mgになると危険です。ちなみに缶コーヒー1本には100~150mgのカフェインが含まれています。カフェインの錠剤を摂取するようになると依存症リスクが高まります。次に酒は百薬の長などと言いますが、アルコール依存症になると大変です。日本酒を毎日3~4合(1合は180ml)飲んでいると、男性なら10年、女性なら6年でアルコール依存症のリスクが高まります。飲酒で上司や同僚に暴言を吐く。暴力を振るう。性的に興奮して反社会的な行動をとる。頻繁に人間関係のトラブルを起こすようになります。これから仕事をしなければいけないのに飲酒をする。車の運転をしなければならないのにどうしても飲酒が止められない。湯水を飲むような感じで果てしなく飲み続ける。こういう人は極めて危険です。アルコール依存症は、急に止めたときのリバウンドが大変つらい病気です。禁断症状などとも言われますが、イライラし、手が震え、汗が止まらず、不快感が体中を襲います。ひどい場合には、幻覚の症状や、てんかんの発作を起こすこともあります。体調不良だけではなく、経済的な困窮、家庭不和、職場追放の原因ともなります。アルコール依存症に陥ると医師の治療を受け断酒会などの自助組織のお世話になることになります。(世界一やさしい依存症入門 松本俊彦 河出書房新社 参照)依存症はカェイン、アルコール、ネットゲーム、ギャンブル、薬物、風俗、買い物、ローン、摂食などがあります。脳の報酬系神経回路と防衛系神経回路のバランス維持機能が破壊され、報酬系神経回路が暴走している状態です。私は一時期、パチンコ依存症で苦しみました。自分の意志とは関係なく、足が勝手にパチンコ屋に向いてしまうのです。貯金も手あたり次第引きだして使うようになりました。私の場合は、このままの状態が続くと人生が終わってしまうという気持ちがわずかに残っていたのが幸いしました。会社では経理業務をしていましたが、会社のお金に手を付けることはしませんでした。家では夫婦喧嘩ばかりしていましたが、最後は通帳やカード関係をすべて取り上げられて、妻の指揮下に入って生活していました。毎日1000円しかこずかいをもらえませんでした。今考えると第三者による強制力が働かないと、依存症からは抜け出すことはできないというのが実感です。また少しでも気を抜くような行為をとると、すぐに元の木阿弥になります。私と同じようにギャンブル依存症に陥った人は、会社の周りに借金回収業者がうろついていました。夫婦ともにギャンブル依存症に陥ったため最後は自己破産しました。財産のみならず、最後は最愛の家族とも離れ離れになってしまいました。