ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 後半
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド オリジナル・サウンドトラックリックと一緒にいる時のクリフさんがいかに愛に満ち溢れているかについてはサントラの歌詞で確認できます。買ってみてめちゃくちゃ驚いた。これは・・・!タランティーノ監督・・・!狙ってるな・・・?他に解釈できないもんな!クリフだけが映っているシーンでは渋くてカッコイイBGMが流れる。その効果もあってクリフが主演映画俳優みたいにゴージャスに映る。それに対してリックが映るシーンではあまり音楽は流れない。演技に成功するときだけカッコイイ西部劇の音楽が流れたな。成功しているゴージャスな人間の後ろにだけ音楽が流れるっていう設定なのかしら。ポランスキーとシャロンのシーンではポップで素敵な音楽がいつも鳴っているし。クリフのシーンはかっこいいんだけど、音楽の内容は完全にリックにメロメロですってラブソングなのがちょっと恐ろしいな。これは内面的な余裕を表しているんだろうか。クリフの方がはるかに生活レベルも劣っていてハリウッドでのキャリアもないし、明日の自分の身がどうなっているのかもわからない状況。それなのに超豪華な音楽付き渋い演出。しかしこれが最後の最後に逆転する感じもする。そしてどんな状況でもクリフがへらへら笑顔を張り付けている理由。これがアド・アストラで解説された感じ。笑顔を張り付けていることで自分の内面を隠す。(あまり隠せてない)人を遠ざけておくために。ブルース・リーとケンカして現場を追い出された時も特に言い逃れはせずにヘラヘラ笑顔を浮かべて退場。心の底からどうでもいいんだろうな。自分に自信があるってことでもある気がする。本当に何も持っていない人だったら人の評価が気になるだろう。これがリックと一緒にいる時だけは異なる。同じように笑顔を張り付けるにしても。仕事を得るとか、それで成功するってことはクリフにとってはどうでもいいことなんだな。リックと一緒にいられさえすればよい。奥さんのことはどうやって殺したんだろう。ただ単に海に突き落としたのだろうか。そもそも海が荒れることを知っていて奥さんを船に乗せたんだろうか。その船はリックの船なのだろうか。人を愛せなそうなクリフが妻を娶ろうと考えたってのに驚き。奥さんの方も「みんなからあなただけはやめておけって言われたのにそうしなかった自分がバカ」みたいなこと言っていましたけど。クリフ評はリック以外からは最悪だな。多分リックに会うまでのクリフはだれに対してもこんな感じだったんだろうな。それを劇的にリックが変えちゃった感じ。昔のクリフを知っている人はリックに会った後のクリフを見て驚くんじゃない?第一印象サイコーだけど5分後に決別のクリフと第一印象最低のリックが出会った時、必ずひと悶着あったと思うんだけどな。自分をリック・ダルトン様だ!と思ってちやほやされて粋がっている流行りの俳優時代のリックと戦争帰りの荒れ果てたクリフでしょ?リックが大きな口叩いたときに、ブルース・リーにしたみたいなことしなかった?ものすごい大ゲンカからの仲直り→次の仕事も頼むよ的な?ヒッピー娘に笑いかけた時のクリフは一体何を考えていたんだ?単純にカワイイなって思ったのかな。純真そうで野心がないところとか?リックがヒッピーを毛嫌いしているのに対してクリフは寛容だったな。クリフ自体がヒッピーみたいなもんだもんな。同族意識でも持ったのか?1回目に見た時には一発ヤってやろう位考えてたんじゃないかと思ったけど、ヒッピーから誘われてもかたくなに拒否していたし。貧乏であてもなさそうだけど毎日楽しそうな女の子をうちへ送り届けてあげようっていう良いおじさんの考えだったのか。でもスパーン映画牧場に住んでるって聞いたときに目の色変わった感じがする。ヒッピーコミューンを犯罪者の巣窟か犯罪の芽くらいには思ってそうだな。自分は人を殺しまくるクセに。コンビ解消を言い渡された時のクリフさんの表情がなんとも言えず。怒り出すこともなく、泣き出すでもなく、ただ一言オッケーと言ってそれで終わり。ちょっと泣きそうになってない?でもな、きっとリックがフランチェスカと長続きするはずもないってわかってるんだろうなーフランチェスカ家事何もできなそうだし、リックがヨワメンタルなことも知らないんじゃないの?イタリア映画では主演張ってチヤホヤされまくってたリック・ダルトン様がアメリカに帰ったら大して有名でもない俳優でしかも仕事もない。豪華な暮らしもできない。LAの豪邸に来て喜んでたフランチェスカだけど、リックがなんとか生活を続けるために売却してアパートの引っ越そうとしていることは知らなそうだしな。アメリカでしみったれた生活をするくらいだったらイタリアに帰って女優業やりたいと言い出しそう。この三角関係がまんまポランスキー・シャロン・ジェイの関係と同じだな。破局するのをじっと待ってる。失恋ソング「キープミーハンギンオン」を大音量で流し感傷に浸ろうと思っていたところにヒッピーに襲撃されてなんか喜んでたもんな。「君を忘れさせてくれ、君が俺を忘れたように」フランチェスカと結婚したことで案外あっさりクリフとのコンビを解消しようとするところにクリフもきっと思うことがあったんじゃないのか。「君に会えばまた心が砕けるだけなのに?自分ではそれをどうすることもできないのに!」うわーーーー!それでもリックがそう決断したのなら従うまで。裏切りに近いことをされた上に、LSDでハイになっていてもリックは守る。だがフランチェスカはおとりとして死んでもいい。そしてこの鬱憤を晴らせる。合法的に人を殺していい状況になったことを喜んで笑っているようにしか見えない。犬に人を襲うように躾けておくってのがものすごいよな。しかもご飯あげる時と同じ合図で人を襲うように躾ける。口笛?合図もどういう意図か犬に分からせておくのが凄い。どうやって躾けたらああなるんだ。犬もきちんと凶器をもっている手に噛みついてたぞ。ラリっていたとはいえ、無傷で勝てそうなものを、実はクリフさんわざと刺された?リックのためにケガを負ったとなったら、リックが悲しんでお別れの時間を長引かせることができることは必然だもんな。クリフが病院に運ばれた後、ポランスキー邸の門が開くところは何だか象徴的だった。成功への扉が開いた感じ?門の先は上り坂。そして音楽が流れる。リックにも主演男優の資格が与えられた感じ。しかし病院に運ばれるクリフには音楽なし。とうとう立場が逆転してしまったんじゃないか。これから先、スタントマンとしての仕事は更に少なくなるハリウッド映画史。クリフのキャリアとしては縮小傾向だけど、リックが成功したら金銭的な理由でお別れを申し出たから再雇用ってのもありうるな。一生、親友兼家政婦として過ごしていくんだろうか。リックはクリフの性格を知っているんだろうか。あの凄惨な殺し方はあまり見ていなかった感じもするしな。リック自体も火炎放射器でヒッピーを焼き殺しちゃったりはするし、容赦ないところある。しかし、道具を使ってそうやったリックと違ってクリフは素手で女の顔を割るってものすごい殺し方だったしな。異常性に気づかないのかな。しかし昔々~で始まるおとぎ話は、末永く幸せに暮らしましたで終わるから。きっとリックとクリフについても末永い幸せライフが待っているんじゃないか?サントラ聞きながら円盤発売を待ち受ける。