エジプトのデモ―中東諸国への影響は?
エジプトのデモについて、連日報道されています。すごい規模になっていますね…。ヨルダンやシリアなど中東諸国への影響はどうなんでしょうか、というご質問もいただいています。エジプトはアフリカ大陸、つまり別の大陸ですので、現時点では、ヨルダン・シリア・レバノンなど中東3国に関しては日常生活や観光に全く影響は及んでいません。ヨルダンではデモが少しあったようですが、政府公認の統制されたデモのようで、平和的に行われており特に混乱もないということです(在ヨルダン日本大使館からの情報です)。↑ エジプトのデモの様子。アルジャジーラのホームページからの転載です。今後の影響は? と聞かれますが、私自身は政治家でもジャーナリストでもありませんので断定はできません。が、これまでの中東滞在の経験から、あえて今後の影響について書かせていただきます。ヨルダン・シリア・レバノンという中東3国に関しては、エジプトのような大規模で暴徒化したデモに発展する可能性は極めて低いといえます。なぜでしょうか? それは、この3国はそれぞれ多民族あるいは多宗教国家だからです。つまり、結集してデモを起こすような団結力は持ち合わせていません。レバノンでエジプトのようなデモが起こる可能性は極めて低いと思います。レバノンはクリスチャンとムスリムが混じり合い、イスラム教徒同士も意見の相違を抱えています。これでは、民衆が結束しようがありません。ヨルダンも似たような状況です。ヨルダンの人口の大多数はパレスチナ人。生粋のヨルダン人は数パーセントです。パレスチナ人とヨルダン人が結束することはありません。パレスチナ人同士の結束も難しいでしょう。特にヨルダンは国内のインフラ整備や観光に力を入れています。中東の中では一番発展しているといっても過言ではないでしょう。ヨルダンの富裕層にはパレスチナ人が上位を占めています。彼らは経済発展や生活の向上に注意を集中しています。大規模なデモを起こす余力・関心はないと思われます。もちろん小規模なデモはあり得ます。これは日本でも同じこと。政府が公認し、統制しているデモです。そういうわけで、中東3国に限るとエジプトのデモの影響は感じられません。今後 飛び火する可能性は極めて低いと思われます。イスラエルのガザ襲撃のときも、ヨルダンやシリアでは全く影響がありませんでした(http://plaza.rakuten.co.jp/fmtours/diary/200812310000/)。エルサレム観光も問題なく行われていました。何かがあるとすぐに中東全域が不安定、中東全域が問題に巻きこまれていると誤解されがちですが、中東といっても、国によってそれぞれ状況は異なります。そもそもエジプトは「中東」と言っていいのか…アラブ圏ではありますが、アフリカ大陸ですから。こうした状況です。中東旅行を控えておられるお客様のご参考になればと思って書かせていただきました。もちろんご旅行に関しては、それぞれ皆様の責任でご決定くださいますようお願いいたします。ヨルダン・シリア・レバノンの中東3国の情勢については常時アップさせていただきます。お問い合わせなども受け付けています。もしご質問などがございましたら、いつでもメールでお問い合わせくださいませ。 naoko_kimura@picturesque-Jordan.jp 中東に関することなら何でも http://picturesque-jordan.jp/japanese.aspx