アラブ世界と「インシアッラー」
アラブ世界でもっとも頻繁に耳にする言葉の一つが「インシアッラー」です。これは直訳すると「God's willing」、つまり「神のご意志なら」という意味ですが、生活のさまざまな分野で頻用(乱用?)されています。この「インシアッラー」、もともとの意味は、私たちの命そのものを神に負っているので、すべては神のお許しのもとに・・・という敬虔な気持ちの表れなのですが、アラブ世界では約束を守らないことの言い訳として使われている感があります。アラブ人にとって、安請け合いはお手のもの。そして約束や時間を守らないことは日常茶飯事。「OK, OK, 任せといて」と気軽に請け合ったあとは、待てど暮らせど行動に移す気配もない。約束を守らなくても全く気にしません。「神のご意志」じゃなかったわけですから! そういうわけで、”信頼””期待”という言葉は私たちの辞書から拭い去るしかありません。「また明日ね!」「インシアッラー」、「必ずお願いしますね」「インシアッラー」・・・ここまではまだ分かりますが、タクシーの運転手なんかが「○○まで連れて行ってください」「インシアッラー」・・・なんて言った時には、「それは神の意志うんぬんではなく、あなたの意志次第でしょ?」と突っ込みたくもなります。ところが、この「インシアッラー」、反発しながらも使ってしまう! アラブ男性からしつこい誘いを受けて辟易したときなどは、「また会おうよぉ」「インシアッラー」 (心では"会うわけないやろ~"と嘲笑う) などという風に、かなり便利なときもあるのでした (^^ゞ ヤレヤレ。