年間500軒以上を食べ歩く飲食店プロデューサーの食日記

2019/07/29(月)12:18

『田中鰻屋』 1804年創業 9代目が受け継ぐ家伝のせいろ蒸し

福岡県(286)

久留米でお昼 何をいただこうかと迷うところでありますが、土用の丑の日も近いことから鰻をいただくことにいたします この辺りで鰻といえば柳川の〝せいろ蒸し〟が有名なのでありますが、久留米にも名店がいくつかあるということで… お邪魔したのはJR久留米駅からほど近いところにある『田中鰻屋』でありまして、店先の暖簾や看板には〝旧藩主有馬家御膳寮奉仕〟〝蒲焼元祖〟とあります なんでも有馬藩主の命を受け江戸で修業をした初代が蒲焼を調理する「御膳寮奉仕」の役を務めたことが始まりでなのだそうで、店内には〝文化元年創業以来事業の発展と地域経済の振興に尽力されました〟との表彰状も掲げられています 2階にある個室をいただくこととなったのですが、そこへと上がる階段はピカピカに磨かれていますし、お部屋の掃除も行き届いていて… 昔の建物は良い材料が使われていることが多いため、キチッと磨き上げることで老朽ではなく歴史を感じる雰囲気になるんですね 先ずは「うなぎせいろ」 こちらで使用される鰻は天然物であるようで… 養殖物のような大きさや脂はありませんが、身が締まっていることでの歯ごたえを感じることができます そして、甘すぎず濃すぎずのタレは己を強く主張することが無く鰻とのバランスの良さを感じます 「せいろ」は炊き上がったご飯にタレを塗したあと蒸しあげるためベチャっとしたものなっていることが多いのですが、こちらで提供されたものはお米ひと粒一粒がしっかりと立っていておいしくいただくことができました 続いて「うなぎ丼」 丼の蓋を取ってビックリ ご飯の中に鰻が隠されたビジュアルには驚きますが、これを見てもご飯のおいしさは一目瞭然でありまして… せいろ同様にひと粒一粒がしっかりとしていることから、お店の方に二つのごはん炊き分けているのかと尋ねてみますと… 「それは企業秘密です 200年の歴史ですから…」と嫌味を感じることのない笑顔で答えていただけました もうひと皿「うなぎ蒲焼」 蒲焼のおいしさも然ることながらタレのおいしさを最も味わえるモノでありまして、芳ばしく焼かれた鰻の香りを損なうことのない優しい味わいでありながらもご飯が欲しくなるような… これが永年継ぎ足される老舗の旨味なのでしょうね 【田中鰻屋】 福岡県久留米市中央町15-32 0942-34-3000

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