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カテゴリ:随想
鳴らない目覚まし時計で只野が目を覚ますことは以前
書いた。最近、その目覚ましの調子がよい。時間通りに鳴ることが多い。 その朝も只野は寝ながらも構えていた。起床30分前である。まだ大丈夫だ。 次の瞬間である。起床時刻を30分オーバーしている。これはいけない。急いで床を出る。朝飯は車の中でとればよい。何とか出発時間を合わせることができた。 出発して、軽くため息をついたところで、只野は目を覚ました。こういう夢のいたずらはいけない。 目覚ましは起床5分前を指している。もう少し時間がある。しかしこれはすでにカウントダウンの時間である。 どうせまた鳴らないぞと構えている。3分前くらいになる。鳴るわけがない。1分前である。鳴らない鳴らない。只野は思いこむことになる。 そのとき不意に「チンチン、チンチン…」と鳴り出すことになる。只野は思わず飛び上がる。鳴らないと思いこんでいるだけに、びっくりすることになる。 しかし、もうお気づきであろう。目覚まし時計は、別の意味で只野の目を覚ましているのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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