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カテゴリ:随想
只野、東京への出張である。
只野が、東京にて今回滞在に選んだのは立川である。それには通勤ラッシュを避けたいという目論見があった。 初日、只野は東京駅にて中央線に乗る。今回は何も考えることはない。乗っていれば目的地に行く。強いて言えば、快速に乗らないと時間がかかってどうしようもないことになる。 ところがである。快速は思い通り走ってくれない。小学生の帰り道のように、止まっては進みを繰り返す。そんなはずではなかった。車内アナウンスに寄れば、踏切などのトラブルがあったらしい。 只野は何となく不快速を感じていた。仕方ないとも思っていた。 東京2日目になる。用務が終わり、例によって中央線、高尾行きに乗る。ついた電車はラッシュ状態である。そんなはずではなかった。土曜日で新宿に向かってないはずなのに、電車はすし詰めになった。 ただラッシュではあっても、浴衣姿のラッシュでもあった。どうも昭和記念公園にて花火大会が開催されるということであった。高校生らしい女性は、慣れない浴衣を着て携帯を操作している。 只野は、その携帯を袂に入れてくれたら、ちょっとは情緒も感じるかななどと思っていた。 しかし、それは今風の手提げ袋に収められた。只野は、そんなはずでは…と三度思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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