思い出の作品1 「桐タンス」仕込み工程2003年の製品だと思います。初めて、桐を使ったのは。そして、バーナーで焼いたときの興味深さもこのとき知りました。2006年、再度、「桐チェスト」として、再製作です。2003年に製作した3・6判桐集成材からの木取り図と仕上がり寸法を頼りに再チャレンジです。生徒に、焼き塗装の変化の面白さを伝えたいです。2003年製作桐タンスです。 さて、2006年製作「桐チェスト」はどうなるのでしょうか? 電動工具たちが出番を待っています。 仕込みです。スライド丸のこで45度カットです。 前は、スライド丸のこがなかったので、手動のマイターソーで切断していました。この機械の導入がいかに効率よく質も向上し、他製品でもデザインの変化をもたらしたかが実感できます。 溝きりです。トリマー(写真下に見える赤いマシーン)のビッドは4mm、溝の深さは5mm弱です。トリマー台のフェンスの設定精度は若干怪しげです。何度もためしきりをして、影響が出ない程度に設定しています。この設定は変えずにほとんどの箱物の仕込みで共用しています。丸のこで溝を切る方法もあります。 背板を切断し、仮組です。本体と大きさはコーヒーカンと比べてください。 側板の溝堀です。70枚の材が加工を待っています。 ルーターでの溝きりをします。ビッドは12mmです。溝の深さは、4mm程度です。 溝きりの出口付近で材の破損を防ぐために、マスキングテープを張ります。 溝を切り終わり、仮組です。 材が破損していますね。組み立てのとき、研磨で何とかしましょう。ビッドが磨耗してきているのか切れ味がよくないです。材の送りスピードに十分注意です。 さて、この溝に入る棚板をトリトンとスライド丸のこで、70枚切断します。 材は写真にある材です。もちろん、桐材です。側板、上下板35セットを切り出したあとの余材を活用します。予備に3枚多く73枚を木取れます。トリトンで幅70mmにたて切りし、スライド丸のこでクロスカットします。 ここで、生徒が組み立てやすいように(側板の溝に棚板を入れやすいように 12mmから0.5mm以内で棚板の厚さを調整します。 「大入れ継ぎ」という組み方で棚板と側板を接合します。 棚板の長さ、背板のサイズ、側板と上下板が正しく組み合わさっているか? 微妙なところです。棚板が短すぎると接合に隙間が出てしまいます。長すぎると、背板や上下板や側板の接合が正しくなりません。難しいところです。 また、ボンドを付けることやベルトクランプで圧縮することを考慮に入れ 仮組みの様子を見ます。 ここまでで3段引き出しです。次は、上の段を2引きにします。いわゆる「3段4引き」型のチェストです。精度が要求されますので慎重に方法を検討します。 まずは、天板の中央の溝を掘ります。同じサイズの違う材でルーターフェンスの設定のため試し切りをしました。 ほぼ中央に溝をほれているようです。あくまでもほぼですが・・・。 それでは、ルーターで溝堀をします。ルータービッドの高さは、2mmぐらいにしました。あまり深く掘ると板をはめづらいと考えたのです。 次に棚板の中央に溝を掘ります。ルーターフェンスの設定は、天板のときと同じにしておきます。棚板が本体に組み合わされたと仮定して、その分、側板の厚みを考慮しました。考えたのは、下の治具です。 この治具を棚板に取り付け、ルーターで溝堀をします。 さて、天板と棚板に「仕切り板」を組む溝ができました。 仕切り板をトリトンで切断します。 天板、棚板のみぞ、仕切り板ができました。 仮組です。 仕切り板がほぼ中央で、天板や棚板に対して垂直に組み合わさるように、若干仕切り板の厚さや長さを調整しました。なんとか、これで「桐チェスト」の本体部品の仕込みは完了です。 35セット分の仕込みに5日間を費やしました。 ダンボールに眠る部品たちよ!!生徒の手でよい製品になってくれ!! ここでこれまでの、変化を確認しましょう。 引き出し部品は、合計560枚です。トリトンで3・6板を切断し、スライド丸のこでクロスカットです。 引き出しの底板の切断です。底板のサイズ如何で引き出しの精度に影響しますし、生徒がつくる精度もあるので慎重にサイズ合わせをし、140枚をカットです。 台座は、スライド丸のこで切断です。 では、組み立てです。 本体と引き出しの部品をボンド付けし、ベルトクランプで固定します。 台座もベルトで固定します。一晩寝かし、ベルトをはずします。 本体と引き出しの調整をしました。ここがチェストものの難しいところです。 さて、バーナーで焼きます。 桐材が黒くなるまで焼きます。まるでスプレー塗料で黒く塗装しているかのごとく色がついてきます。バーナーの動かし方やこげ具合を見ながらやります。特に角を焼く時は要注意です。焼きすぎて材の角が落ちてしまいます。 そして、大事なことは「火の用心」です。 引き出しは前板のみを焼きます。 全部色がついたら、真鍮ブラシですすを出します。木目が出てきます。桐独特の決めの細かい木目です。 取っ手を引き出しに取り付け、オスモカラー3101を塗ります。仕上げに オスモカラー000を塗ります。少し木目にメリハリが出てきました。 本体と台座は、当て木をし、クランプで固定です。 完成です。 2003年製作と2006年の製作の違いです。 1.上の段の仕切りの精度が向上した 2.引き出しは、2003年が本体に引き出し前板がかぶさる「オーバーラッ プ構造」である。2006年度製作は、引き出し前板とチェスト本体が一 体化した「フラッシュ構造」である.精度面では、要求が高くなりまし た 3.すす出しのとき、紙やすりから真鍮ブラシにしたことにより、木目の で方がきめ細かくなったこと。生徒の活動としてもスムーズかが図れ ます 4.取っ手の変更 5.サイズはほぼどうサイズであるが、奥行きが10mmほど広がった。 (色については、撮影時の光の関係で差が生じました) 少しずつであるが、製品としての質的な向上が図れました。ほっと一息 あとは、引き出しの部品の仕込みです。側板 8×35=280枚 前後板 小さい引き出し、大きい引き出し それぞれ4×35=140枚 底板 それぞれ140枚ずつです。 「チェスト3兄弟」となりました。 ○使用工具 ・マキタスライド丸のこ ・トリトンワークセンター ・リョウビ自動かんなAP-10N ・ベルトサンダー、電動サンダー ・トリマー(溝きり) ・ルーターマキタ3612C ・ガスバーナー ・ベルトクランプ ・真鍮ブラシ ここまで長いページをお読みいただいた方に感謝します。 ~残り34個は生徒の手に期待します~ ~おまけです。失敗談~ バーナーの炎を当てすぎると・・。 なんとか天板を取替え修繕です。 秋の学校祭では、苦労が実ってか、この桐チェスとは7個中6個売れました。 |