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カテゴリ:実践!企業価値評価
1日1分!企業分析 本日の日経注目企業の分析 ~スズキ~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■注目した記事(5/12 1面) スズキ最終黒字 アジア営業利益、日本越す ■記事への素朴な疑問 主力のインドでの販売が増加し、初めてアジアの利益が日本を上回り、 本期の業績を下支えしました。 09年以降も堅調に推移する見通しのようですね。 以下では、08年度まで直近5年間の当社の財務状況を基に分析します。 スズキの株価を見る前に~決算・財務分析はこちら スズキの決算・財務分析 ■P/Lの視点 過去5年の伸び率平均は以下の通りです。 ●売上高 12.3% (08年は3.5兆円) ●営業利益 11.9% (08年は1500億円) ●純利益 16.3% (08年は800億円) 順調に増収増益を続けていますね。 インド等アジアの売上が堅調とのことですが、 地域別の売上高を確認してみると、 06年には全体の23.6%を占めていたアジアの売上高6500億円は、 08年には25.3%の8900億円まで増加しています。(国内も増加) しかも、08年のアジアの営業利益率6.6%は、日本の3.9%よりも高く、 収益力が大きいことが見て取れますね。 それでは、実際のキャッシュの流れを見てみましょう。 ■C/Sの視点 06年まではFCFプラスであり、営業CFを続伸させ、その儲けの 範囲内で投資CFも増大させ、借入の返済も行っていました。 07年からは、営業CFが減少していく一方で、投資CFは従前どおり 増加させたため、FCFがほぼゼロとなっています。 実際、06年の営業CFプラス2400億円、投資CFマイナス1000億円に対して、 07年は営業CF2000億円、投資CF2000億円です。 FCFがゼロになった分、07年からは財務CFがプラス2200億円と、 大規模な借入を行っています。 有報で調べると、、、 主に新株予約権付社債で1500億円調達したことが影響したようです。 増収増益の中、営業CFが大幅に減少していますが、 この場合、運転資本の増大が主因では?と推察されます。 (「営業CF=純利益-運転資本の増分±その他増減」であるため) それでは、P/L、C/Sで見た結果が、どのように財務状況へと 反映されているか、上述の推察と共にB/Sで確認しましょう。 ■B/Sの視点 総資産が06年の1.9兆円から、07年は2.3兆円、08年は2.4兆円と 推移しています。 07年からの資産増加が顕著ですが、前述の社債発行により、 固定資産もさることながら、特に現金と運転資本を増大させています。 (現金2000億、売上債権770億、棚卸資産460億円、仕入債務660億円の増加) 経営効率でみると、運転資本回転日数が06年までの11日から、 07年は65日へと変化しています。 ■まとめ(分析からの気付き) 国内外で順調に増収増益を続け (P/Lの視点) 07年からは営業CFが減少する中で借入を行って投資CFを増大させています。 (C/Sの視点) 結果、固定資産以上に運転資本を拡大させ、 現金も確保しながら資産を増大させています。 (B/Sの視点) 国内もそうですが、海外、特にアジアを中心として、運転資本を拡大すると 同時にキャッシュがショートしないよう現金を確保して、 積極攻勢をしかけている様子が窺えます。 10年3月期の予想は減収・減益を見込んでいますが、 今後も国内外のポートフォリオに鑑み、堅調な成長を続けていけるかどうか、 注目したいですね。 スズキの株価を見る前に~決算・財務分析はこちら スズキの決算・財務分析 以上の分析でご不明な点等ございましたら、 是非シェアーズまでご連絡ください。 感想もお待ちしております! support@shares.ne.jp お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年06月29日 15時50分50秒
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