2009/07/31(金)10:12
セブン&アイ【3382】とイオン【8267】の決算・財務分析 1日1分!企業分析 本日の日経注目企業の分析
■注目した記事(5/19 1面)
セブン&アイ コンビニPB 世界展開
3万6000店で 原料を一括調達
■記事への素朴な疑問
主に食品で原材料調達を一本化すると同時に、
最適な生産委託先を選ぶことでコストを削減し、
メーカー品より2~3割安いPBの販売額を、
3年後をめどに1兆円に増やす想定のようです。
本日は、小売業界大手の同社とイオンを比較します。
何が両社の違いを分ける要因なのか、
特に原価率や販管比率の違いが気になります。
以下では、08年度まで直近5年間の両社の財務状況を基に分析します。
セブン&アイとイオンの株価を見る前に~決算・財務分析はこちら
セブン&アイの決算・財務分析
イオンの決算・財務分析
■P/Lの視点
08年の両社のP/L指標は以下の通りです。
●売上
セブン&アイ 5.8兆円
イオン 5.2兆円
●営業利益
セブン&アイ 2800億円
イオン 1600億円
●純利益
セブン&アイ 1300億円
イオン 400億円
営業利益から大きな差が発生し、特に純利益では3倍以上に差があります。
収益性に違いがありますが、経営効率を見てみましょう。
■経営効率の視点
税引後の売上高営業利益率はセブン&アイが2.9%、イオンが1.8%ですが、
さらに詳しく見ると、その差が明らかになりました。
●原価率
セブン&アイ 67%
イオン 64%
●販管比率
セブン&アイ 28%
イオン 33%
主因は販管比率です。5%と大きく違いますね。
売上5兆円規模の会社にとって、5%の差は2500億円の差であり、
確かに先に見た営業利益の差に大きく影響していることが分かりますね。
次に、実際のキャッシュの流れを見てみます。
■C/Sの視点
06年、07年は同社ともにFCFマイナスでしたが、
08年はセブン&アイがFCFプラス(2300億円)となり、
イオンはFCFマイナス(マイナス900億円)のままと、大きく差が出ています。
セブン&アイは有形固定資産の投資額を一定にしていますが、
イオンは増加し続けていること、
また、セブン&アイの営業CFが増大したことが要因です。
それでは、B/Sを見てみましょう。
■B/Sの視点
08年の両社の総資産は、セブン&アイが3.9兆円、
イオンが3.6兆円と同程度の規模です。
財務構造で特に目立つ点は、以下の指標です。
●株主資本の額 (総資産に占める割合)
セブン&アイ 2.0兆円 (51%)
イオン 0.9兆円 (24%)
株主資本が額・割合共に2倍異なり、
経営の安全性を分けていますね。
ちなみに、セブン&アイの現金等は7400億円あり、
イオンの4倍でもあります。
■まとめ(08年の比較)
売上は同規模ですが、セブン&アイの利益が大きく上回り(P/Lの視点)。
その主因は販管比率の差5%で、
営業利益に2500億円程度の差をもたらしています(経営効率の視点)。
セブン&アイはFCFプラス、イオンはマイナスとFCFの明暗が分かれ(C/Sの視点)
総資産は同規模ですが、セブン&アイの株主資本の額・割合はイオンの2倍、
現金保有額は4倍と、安全性に違いがあります(B/Sの視点)。
セブン&アイの方が3%高かった原価率ですが、
原料の世界一括調達の施策は本指標に直結します。
本施策で収益性を向上させ、国内はもちろん、
世界市場での競争力を高められるかに注目ですね。
セブン&アイとイオンの株価を見る前に~決算・財務分析はこちら
セブン&アイの決算・財務分析
イオンの決算・財務分析
以上の分析でご不明な点等ございましたら、
是非シェアーズまでご連絡ください。
感想もお待ちしております!
support@shares.ne.jp