時価総額逆転企業の決算・財務分析 1日1分!企業分析 本日の日経注目企業の分析
時価総額逆転企業の決算・財務分析 1日1分!企業分析 本日の日経注目企業の分析■注目した記事(6/30 3面)時価総額、相次ぎ逆転経済激変、3つの柱で選別「環境」 車用電池に期待 GSユアサ、一時マツダ抜く「お得感」 安さと機能両立 ユニクロ、百貨店4社圧倒「固定客」 ATMに特化 収益に安定性 セブン銀、新生銀と並ぶ■記事への素朴な疑問株式市場で企業勢力図に変動が起きているようです。企業の市場価値を示す時価総額でみると、過去1年で業種内の順位が入れ替わる例が目立ちます。浮かび上がるキーワードは「環境」「お得感」「固定客」の3つ。世界的な金融危機をきっかけに激変する経済環境や顧客ニーズにいかに対応し、収益に着実に結び付けられるか。企業の実力を市場は厳しく見極めているようです。以下に、「お得感」に観られる時価総額逆転企業の時価総額(概算)を、本日の記事より抜粋します。(時価総額は、6月29日終値の時価総額です。)1.ファーストリテイリング 1.3兆円百貨店4社 9,700億円2.王将フードサービス 450億円ロイヤルHD 420億円3.ブックオフ 220億円丸善 170億円さて、時価総額の比較では上記の通りですが、では一体、理論的な株価である株主価値の比較はどうなのでしょうか?株価は、バリューとバイアスで構成されていますが、ブームに乗って投資家が企業を注目する際は、往々にしてバイアスが大きく振れて株の価格と価値が離れてしまい、ブームに便乗する頃には株価を高値掴みすることが多いものです。しかし、企業の価値に基づいた投資では、短期的な株価の振れには惑わされることはありません。本日は、各社について株主価値を算出して株価と価値の差を見抜き、未だ投資できるほど株価は安いのか、それとも既に、便乗するには株価が高すぎるのかどうか、さっと見てみましょう。※本記述については、作成日時点の情報から考察されたものであり、予告なく変更することがあります。銘柄の選択、投資の最終決定はあくまで投資家ご自身の責任と判断でなされるようお願い致します。■企業価値の視点各社の時価総額、株主価値(DCF法による理論価値)は以下の通りです。(VMでは時価総額ベース、一株ベースの双方にて計算ができます。)1.ファーストリテイリング 1.3兆円 、8,700億円百貨店4社 9,700億円、5,900億円(百貨店4社: 3099 三越伊勢丹HD、 8233 高島屋、 3086 Jフロントリテ、 8242 エイチ・ツー・オー リテイリング)2.王将フードサービス 450億円、560億円ロイヤルHD 420億円、270億円3.ブックオフ 220億円、300億円丸善 170億円、20億円1~3の全ての比較について、時価総額が上回っている企業の方が、株主価値についても上回っています。つまり株式市場は、実力に応じたより価値の高い企業を、株価として評価している、と言えそうです。ただし面白いのは、価値比較をした途端に、時価総額では僅差だった差が、株主価値では大きな差に開いていることです。例えば3では、ブックオフの株主価値は300億ですが、丸善のそれは20億円です。株価では、ブックオフが丸善より1.3倍高いですが、株主価値では、15倍も高くなります。時価総額で丸善を抜いたブックオフの株価ですが、抜いたこと自体で驚きを博していますが、実は価値と価格の差でみると、まだ適正株価よりも安いため、伸びしろがあることがわかります。この株主価値は以下のように算出されますが、これはプロの投資ファンド、買収ファンドが実務で使う手法です。Valuation Matrixを使うと一瞬で計算されます。株主価値の算出ロジックはこちらからしかし、15倍も開いているブックオフと丸善の株主価値ですが、その要因とは何でしょうか?Valuation Matrixならそれも一瞬で分かります。その要因は、事業価値にあります。ブックオフと丸善の株主価値は300億円と20億円、比にして15倍、差にして280億円違います。「株主価値=事業価値+財産価値-有利子負債」ですが、両社の株主価値の詳細値は以下の通りです。株主価値 事業価値 財産価値 有利子負債ブックオフ 295 = 314 + 131 - 150丸善 20 = 61 + 100 - 140つまり、株主価値の差280億円の大半は、事業価値の差250億円であり、両社の価値を分けた要因は、事業価値でした。事業価値とは、企業が将来的に生み出すフリーキャッシュフロー全てを、現在価値に割引いて総和したものです。現在価値を「割引く」際は、企業の収益性や経営効率や事業環境、そして市場環境などを考慮しています。つまり、企業の成長性、収益性、効率性を加味した、企業の将来を評価した価値です。財産価値、有利子負債は企業の今までの蓄積、つまり過去にフォーカスした価値ですが、事業価値は将来にフォーカスした価値ですから、両企業については、将来価値で大きく差がついているようですね。株価は過去よりも、将来の期待で形成される割合が大きいといわれますから、今後その差が、価値の差まで開く可能性がありそうですね。企業価値を見抜き、しっかりとした判断基準で投資実行していると、ブームに流されて株価が上下しても、一喜一憂せずに悠然と対応できます。本日の分析では、全ての企業を分析するのに数分しかかかっていませんので、皆さんも各企業について、株価と同時に価値を観てから、投資判断してはいかがでしょうか?Valuation Matrixの詳細はこちらから以上の分析でご不明な点等ございましたら、是非シェアーズまでご連絡ください。感想もお待ちしております!support@shares.ne.jp