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2012.01.23
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カテゴリ:経済
 東大の伊藤元重教授が「模索するアジア」と題するインタビューに応じているので、紹介します。
国債暴落というオオカミが見えるんだそうです。
オオカミが来るのか、来るならいつ来るかということで、経済評論家が百家争鳴の有様であるが・・・まず伊藤教授の説を拝聴しましょう。

伊藤元重教授へのインタビュー <模索するアジア>
(デジタル朝日ではこの記事が見えないので、1/20朝日から転記しました・・・そのうち朝日からお咎めがあるかも)

Q:台湾総統選を皮切りにアジアも政治の季節が幕を開けました。今年のアジア経済をどう読みますか。
A:キーワードはステータス・クオ(現状)の維持だと思います。これが崩れると、地域の安定や経済の繁栄に大きなマイナスとなる。馬英九総統の再選も、中国との対決路線ではなく、『ひとつの中国』という認識の中で安定した状況をつくったことが評価されたのでしょう。

 北朝鮮も政治体制が混乱すれば、大量の難民が発生したり、軍事衝突に発展したりする。そうなれば韓国経済のサプライチェーンは止まり、タイの洪水の比ではないインパクトがアジアにでます。
 経済的に考えれば、朝鮮半島統一はドイツの東西統一よりもはるかに難しい。北朝鮮と東ドイツでは、貧困度や社会の開放度も違う。南北が統一すれば、経済は相当厳しい状況になるでしょう。朝鮮半島にとっても、現状維持がセカンドベスットのシナリオというわけです。

Q:中国と韓国が年明け早々に、FTAの締結交渉入りで合意しました。朝鮮半島情勢が、東アジア経済の枠組みに変化をもたらしたのでしょうか。
A:欧州連合(EU)に続いて米国ともFTAを結んだ韓国は、国民にFTA疲れみたいなものがでていたので意外でした。一方、中国はTPPの動きが気になる。米国がアジアへの関与を強め、中国が考えていた『ASEAN+3』のような枠組みで、経済連携をゆっくり進める余裕がなくなったのでしょう。

Q:2008年のリーマン・ショック後、世界経済は変調をきたしています。先進国から新興国へと、経済の重心が移る動きは続きますか。
A:グレートモデレーション(大いなる安定)と呼ばれた、ひとつの時代が終わったんだと思います。1980年代半ばから05、06年ごろまでの20年強の期間のことです。日本はバブル崩壊で蚊帳の外でしたが、米国と欧州の物価は安定し、経済のグローバル化も進んだ。世界経済が20年も安定したというのは、過去200年の歴史でもあまりないんです。
 慣れ親しんだ「大いなる安定」は特異な時代だった。それが終わり狂乱物価が発生したり、金融危機や通貨危機、財政危機が起こったりする混乱の時代に突入してしまった。
 米国はもはや財政出動で経済を立て直すことは不可能だし、金融を緩和したら魔法のように生き返るわけではない。不動産バブルがはじけた欧州も、域内で需要がつくれないし、日本のように高齢化も進んでいく。では、どこが需要をつくっていくのかというと、新興国なのです。
 最大のポイントは、やっぱり中国でしょう。経済の軸足を輸出偏重から内需拡大に移せるか、社会を安定させながら社会保障を整備していけるか、内陸部の貧しい層の生活水準をレベルアップできるかがカギになります。

Q:日本は成長するアジアとどう向き合うべきですか。
A:キーワードはグラビティー。引力のことですが、経済学には「グラビティーモデル」という考え方があります。近い星ほど引っ張りあうように、距離が近い国ほど貿易額が多い。もうひとつは、二つの国の規模が大きいほど貿易額が大きくなる。日本はこの引力がずっと働かなかった。20年前、中国のGDPは日本の8分の1、韓国は十数分の1。タイ、インドネシアは20分の1以下でしたから。
 ところが周辺の国々が大きく成長し、日本の貿易構造に引力の法則が働いてきている。今後、日本の輸出は急速に増え、輸入はもっと増えて貿易収支が赤字になるかもしれない。日本の産業の姿もこれまでと違った。次の大きなステージにいくと思います。自動車や家電など、これまで日本を支えてきた輸出型の産業は、どんどんアジアに出て行く。
 では、日本から輸出するものがなくなるかというと、特殊な部品や素材がものすごく伸びる。スマートフォンが世界で売れれば、日本メーカーのセラミックコンデンサーが必要になるし、ボーイング787が売れれば、日本の炭素繊維が伸びる。もうひとつ可能性があるのは消費財です。中国の観光客銀座のマツモトキヨシで何を買っているのかと見たら、大正漢方胃腸薬だったりする。中国の人が日本の漢方薬を選ぶ時代なんです。
 アジアの成長を日本経済にうまく取りこんでいくには、域内の自由化の流れに乗ることが重要です。これまでのFTAは二国間とか少数で結ぶケースが多かったが、最近はひとつにまとまって地域経済化する動きが見えてきた。将棋の方がチェスより高度なゲームかもしれないが、みんながチェスをやっているときはチェスをしなければならない。

Q:日本は昨年、31年ぶりに貿易赤字に転落したとみられます。海外とのモノやサービスの取引、投資の状況を示す経常収支が赤字になる時代が来るのでしょうか。
A:日本の貿易依存度、つまり、輸出と輸入をあわせた額をGDPで割ると、ドイツは70%程度なのに、日本は30%程度。日本が輸出立国といえるかは微妙です。長いトレンドで見れば、高齢化で家計の貯蓄率が下がり、貿易収支が赤字になっていくことは間違いない。問題は、企業がどう動くか。デフレが続けば企業はお金を使わないけど、積極的に投資するようになると、比較的早い時期に経営赤字になるかもしれません。

Q:日本国債のほとんどが国内で消化されています。経常赤字だと海外からお金を借りることになり、大量の国債を買い支えることが難しくなりませんか。国債暴落の不安が現実味をおびてきたそうです。
A:野田佳彦首相が消費税増税をやると言っていますから・・・・ただ、国会でもめて、消費増税がうまくいかないということが起こったとき、国債の価格は維持できるだろうか。

Q:どう思いますか。
A:政府は毎年べらぼうに国債を発行していて、税収より借金が多いという状況が3年続く異常事態です。にもかかわらず、デフレが続いているものだから、家計も企業も貯蓄が非常に大きく、金融機関はほかに使い道がないから国債を買っている。

 ではこのデフレがあと5年続くのだろうか、という疑問があります。まず、震災後の復興需要がいっぱいでてきている。一方、電力不足が問題になっているときに、企業が生産能力がどんどん増やすとは思えない。日本経済は需要不足が原因でデフレに陥っていますが、日本全体の需要と供給の差が縮まれば、景気が本格的に回復しなくてもデフレから抜け出すかもしれません。そうなれば、国債を買い支えていた過剰な貯蓄が減っていく。
 しかも、欧州の信用不安がいつ日本に飛び火しても不思議ではありません。銀行や生保、郵貯が「みんなで渡れば怖くない」とばかりに国債をもっているけど、こんな状態が一番恐い。「オオカミが来る、オオカミが来る」と10年言っているのに来ないじゃないか、経済学者は反省しろといわれますが、オオカミはもうそこに見えていると思いますがね。

Q:「借金が多くても日本はギリシャと違う」という主張の根拠のひとつが経常黒字でした。赤字になると国債はどうなるのでしょう。
A:そこまでいけば、ひどい状態になるでしょうね。ただ、そうなる前に国債が暴落するんじゃないか。

Q:暴落はどんなときに起きる?
A:一つ目は、企業が本格的に企業合併・買収(M&A)や海外投資をやり出し、国債にお金が振り向けられなくなったとき。二つ目は、財政問題に対する悲観論がマーケットに発生したとき。そして三つ目は、復興需要や電力不足をきっかけに日本経済がデフレ的な状況から動き出したときとか、いくつかシナリオがあるんだろうと思います。しかし当面、一番大きいリスクは日本の政治不信だと思いますね。

Q:消費増税法案が通らなかったときですか
A:マーケットに不安心理が広がると、10年物の長期国債を償還期間が短い3年物に買い替えて、いつでも抜け駆けできるように備えるところが現れるかもしれません。

Q:アジア経済はこれから、どんな局面を迎えるのでしょう。
A:域内の連携や一体化を模索することになると思います。アジアは次の秩序を求めている。そのために日本はリーダーシップを発揮すべきですが、米国と中国がぶつかれば、何もできない。残念ながら日本は大きな流れを見ながら、自国の利益をしっかり維持していくということだと思います。例えばTPPで米国が難癖をつけてきたら、日中韓FTAを進めるぞと脅かしたりしながらね。
(聞き手:山口栄二)

教授は米国に日中韓FTAをちらつかし、TPP推進派でないのが、好感を持てますね。

しかし、ま~国債に向かっている金が、国際に向かうとあぶないんだそうで、日本丸はいつ沈んでもおかしくない状況のようです。
国益無視で各省にしがみつく官僚も、在任中にクビがとぶ覚悟がいるんですけどね。







Last updated  2012.01.23 08:46:01
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