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2012.04.21
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カテゴリ:歴史
 蔡ファンさんがインタビューで「貧しい人がまだ多い中国は、日本のように『20年失われている』余裕はないよ」と説いているので、紹介します。
蔡ファン
蔡さんは98年から中国社会科学院人口・労働経済研究所長です。

蔡ファンさんへのインタビュー <老いゆく中国>
(デジタル朝日ではこの記事が見えないので、4/20朝日から転記しました・・・そのうち朝日からお咎めがあるかも)

Q:国連は2030年ごろに中国の人口が14億人に近づき、ピークを迎えると予測しています。昨年は15~64歳(生産年齢人口)の占める比率が74.4%と9年ぶりに下がりました。何が起きているのですか。
A:中国で働く世代はもう増えません。中核となる15~59歳を見ても、来年からは総数も緩やかに減り始めます。この年齢層は20年ごろまで9億人規模を何とか保ちますが、その後は減り方が速まります。

Q:人口抑制のため1970年代末に始めた「一人っ子政策」の影響ですね。
A:これまでは子どもが減る少子化のペースが、お年寄りが増える高齢化のペースより速かった。だから、養わねばならない子どもと、お年寄りを合わせた比率が下がっていました。稼ぎやすい人口構成だったのです。今後は少子化だけでなく高齢化が加速する。経済成長に有利に働く「人口紅利(ボーナス)」を強みにできる時代は終わりつつあります。 中国は一人あたりのGDP(国内総生産)でみると、昨年に5千ドルを超えたばかり。日本の9分の1程度です。豊かになる前に、社会の負担が重い高齢化社会に突入してしまう。これは大変な挑戦です。

Q:農村には、働き手が有り余るほどいたはずでは。
A:改革開放政策を始めた30年ほど前は、人口の8割を占める8億人が農村に住んでいた。彼らを都市に引き寄せ、安い労働力として活用した。働き手はいくらでも集まりました。一方、企業は景気が悪くなると簡単に解雇できた。農業が本業という建前なので、失業率の計算にも含まれず雇用の調整弁にしたのです。
 工業化が急速に進んだ結果、増え続ける職場を支えられるほどには、農村に働き手が余らなくなった。出稼ぎ労働者が多い広東省で初めて人手不足が顕在化したのが04年ごろ。農村を調べてみたら、1億人規模の人手が余っていたが、多くは40歳以上。工場が求める若い人たちはすでに、豊富とはいえない状況でした。

Q:景気が減速するなかでも、最低賃金の引き上げが続いています。内陸部も含め多くの都市で10,11年と続けて2割ずつ上がりました。
A:農村人口は6億5千万人と、いまや全人口の半分に減った。賃上げをしなければ、人手を確保できなくなっています。地方政府が決める最低賃金だけでなく、工場などで働くブルーカラーの給料も全体として上昇する傾向にあります。

Q:工業化で農村の余剰労働力が底をつき、賃上げせず働き手をほしいだけ雇える次代は終わった、つまり「ルイスの転換点」を過ぎたと。
A:04年が転換点でしたね。賃金の上昇は向こう10年余りは続くでしょう。負担に耐えられない薄利多売の工場は、沿海部から内陸部に移り始めています。

Q:胡氏が率いる中国共産党の指導層が集まる政治局の集団学習会に今年2月、呼ばれましたね。
A:3回目です。最初に説明した03年は、国有企業のリストラを受けて職場をとにかく増やすことに関心が集まっていました。いまはブルーカラーの人手不足や、大学生と都市部の中高年の就職難。雇用のミスマッチはますます複雑になっています。

Q:働き手を増やすために「一人っ子政策」を見直す可能性は。
A:いわゆる「一人っ子」政策で、中国は短い間に出生率、死亡率、人口増加率がともに低い先進国型に変りました。資源や食料を確保し、人々の生活の質を高めるためにも、総数の抑制が絶対に必要だと説明してきただけに、急激な転換は政治的にも社会的にも難しい。変えるとしてもゆっくりでしょう。
 いまも農村や少数民族は、基本的に2人まで子どもを持てます。それ以外に、夫妻とも一人っ子なら2人まで認められています。それを、片方が一人っ子でも同じように認める方向で検討していると聞きます。ただ、一人っ子政策の一部を見直しても、人口はそれほど増えない。
Q:なぜ?
A:日本や韓国、シンガポール、香港、台湾と同じです。高い教育を受けた女性はなかなか結婚しないし、出産の時期も遅くなっている。教育費や仕事への影響を考えると、子どもをたくさん持ちたいという人は、男女とも減っています。

Q:働き手は増えず、安い賃金に頼った競争力も保てない。お年寄りが増えれば社会保障負担も増える。それで成長を続けられますか。
A:まず戸籍制度の見直しを急ぐべきです。中国は都市と農村に戸籍を分けています。都市で働く農民は、都市戸籍の住民と同じような教育や医療、年金といった社会保障を受けられない。少しずつ改善されてはいますが、働き手を得るためにも、平等にしないと。
 学校の教育内容と企業がほしがる人材に隔たりがあり、年600万人大卒生の就職難につながっています。育て方を変えると共に、大卒の知識を生かせる職場を増やす必要がある。安い労働力を武器にして輸出で稼いだり、公共事業に大量のお金を投じたりして経済成長をはかる従来のやり方も、変えなければならない。それを考えるうえでは、日本の教訓があります。

Q:どういうことでしょう。
A:日本の「人口ボーナス」が消えたのは90年ごろです。そして、バブル経済が崩壊。日本は高い成長を取り戻そうと、昔ながらの効率の悪い公共事業や、競争力の弱い産業にお金をつぎ込んだ。でも、結果的には「失われた20年」になってしまった。中国も人口構造の恩恵がなくなれば、成長率は自然に下がるでしょう。10%成長を取り戻そうと、淘汰すべき「ゾンビ」会社を助けたり、公共事業で需要を無理に生み出そうとしたりすれば、一時的には高い成長が実現できても、長続きしない。

Q:中国経済の「日本化」は避けられますか。
A:欧州危機の影響もあって、広東州などで輸出企業が倒産していますが、いまは人手不足です。淘汰すべき企業を淘汰するチャンスといえます。生産効率を高めるための技術革新や教育への投資、失業保険や年金など社会保障に財政を投じるべきです。財政収入が増えている今は、制度を整えやすいはずです。
 過剰な財政刺激策や金融緩和策をとれば、むしろ不動産バブルが膨らみます。だから、中央政府は今年の成長率目標を7.5%に下げました。「無理な高成長を求めるな」という地方政府に対するメッセージでもあります。地方政府はたくさん成長して、人々に分配できるものが多ければ多いほど楽ですから。

Q:しかし、外国では、中国の成長率が鈍化すると世界経済が悪化するのでは、と懸念しています。
A:無理やり10%成長を追及してバブルの心配を膨らませるより、人口構造の変化に沿って少しづつ成長速度を落としながら、長く成長したほうが、世界経済にとってもいいと思いませんか。中国経済の本当の心配は目先の成長率ではありません。豊かでないのに高齢化が進む「未富先老」のなかで、成長を持続させ、公正性の高い社会の基盤を整えられるかどうかです。時間との戦いです。

Q:中国が安い労働力を駆使して輸出攻勢をかけた時、「中国発のデフレ」といわれました。今度は、「中国発のインフレ」なのでしょうか。
A:中国では3~4%の物価上昇が当面続くでしょう。中国で安く作ってきた衣料や靴は値上がりするかもしれないが、工場を移す先としてアフリカなど途上国にチャンスが生まれる。産業界の国際分業の地図は、大きく塗り変っていくはずです。
 中国にとっても生産性を磨き、社会保障を充実する機会にすれば、悪い話だけではない。いまの中国の問題はむしろ、都市と農村の賃金格差が縮まっているのに、貧富の差は実感として広がっていることです。社会保障も含め、賃金以外の見えない収入や待遇に差があるからです。
 特権を利用して土地がらみの利益を得るなど、徴税の対象にならない収入を得ている人が少なからずいることも、みんな分かっています。成長率が落ちても、社会が不安定にならないようにするには、富の公平な分配が重要になる。本当に豊かな人がもっと多くの税を払うような改革も必要です。
(聞き手:吉岡桂子)


豊かでないのに高齢化が進む「未富先老」という悪夢のような状況が待っているなかで、都市と農村の間で貧富の差は実感として広がっているとのこと・・・・
蔡ファンさんは中国の病巣を的確に認識しているが、それに対する処方箋はどうなるのか?拝金主義がはびこる中国の管理者層の意識改革は進むのか?(そうとうに難しいのでは?)

この記事も朝日のインタビュー記事スクラップに収めておきます。








Last updated  2012.04.22 08:46:53
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