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2012.05.18
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カテゴリ:経済
中国投資(CIC)の高西慶社長がインタビューで「投資で支配考えず、国家の干渉はない」と説いているので、紹介します。

中国投資(CIC)の高西慶社長

高西慶社長へのインタビュー <チャイナマネーの正体>
(デジタル朝日ではこの記事が見えないので、5/18朝日から転記しました・・・そのうち朝日からお咎めがあるかも)


 約32兆円の資産を運営する中国の国家ファンド、中国投資(CIC)の高西慶社長がインタビューに応じた。チャイナマネーは世界の救世主か、地球規模で事業や資源を買い占める脅威の存在か。

Q:北京を訪れる各国首脳は、中国の投資をひきだそうと必死です。その半面、共産党が政治権力を独占する中国をしょって立つ国家ファンドへの「脅威論」は消えません。
A:中国の勃興について、多くの国はまだ適応していないというか、心情がちょっと複雑になっているのではないでしょうか。先進国のなかには、必要以上に弱気になり、中国を警戒する人もいるようにみえます。だからといって中国の人々は、世界中が我々のお金を求めているというような気分になって、傲慢な態度をとってはならない。中国の印象を悪くするだけでなく、貴重な投資の機会を逃がしかねないからです。

Q:そもそも中国の国家ファンドの内情があまり知られていません。それが脅威論の背景にあるのでは。
A:色眼鏡で見る人たちがいるのは確かです。投資先を支配し、経営をコントロールしたいのではないか、と。しかし私たちは設立時に決めた基本原則に沿って投資しています。なによりも商業目的であり、長期的によいリターンを得ることをめざしている。管理職をすげかえたり、社員を解雇して中国人を送りこんだり、そんなことは考えていません。

Q:中国という国家の意思を受けて動いているのではないのですか。
A:私たちは中国でただひとつの内閣直轄の会社ですが、あれを買え、これを買うなと干渉を受けていません。たとえば米金融大手モルガン・スタンレーに56億ドル(約4500億円)を投じたとき、テレビニュースで知った指導層の一人から電話がありました。「どういうことですか。こんなに多く投資して!中国の歴史上、海外でこんなに巨額な買い物をしたことはないでしょう」と。

Q:報告していまかった?。
A:報告はたいてい発表の数時間前です。リーダーたちはいつも忙しく、報告に目が届かないこともあるのでしょう。後日、また連絡がありました。「私は単に事実を確認したかっただけで、投資を認める、認めないではない。あなた方が自分で責任を負いなさい」と。私たちの投資は多岐にわたり、政府にいちいち意見を聞くことはできません。

Q:ただ、役員の多くは国家発展改革委員会、財務省、商務省、中央銀行などの出身者です。
A:彼らは年2、3回の大きな方針決定にしか、かかわっていません。日々の資産運用には無関係です。
 資源分野への投資が多いのは国の指示ではないか、とよくいわれます。これは、日本の商社が石油や天然ガスの権益を海外でたくさん持っているのと同じように、投資先として有効だと考えているからです。商社は、日本政府の指示を受けて投資しているわけではないでしょう。

Q:CICの一挙手一投足が注目されています。1週間ほど前、高さんが「欧州の政府債はもう買わない」と発言したというニュースが、世界をかけめぐりました。
A:そうは言っていません。欧州に投資するのは政府債とは限らない、別の機会も探っている、という意味の発言でした。欧州は引き続き重要な投資先です。そもそも欧州危機から完全に切り離されて、投資が絶対に有利だという場所がありますか。

Q:ベルギーの政府系ファンドなどと共同で、ユーロ建ての投資ファンドをつくるそうですね。中国に進出した欧州の中堅企業が投資対象と聞きます。
A:CICが生まれた目的のひとつは、ドルにかたよる外貨準備の運用先を多元化させることです。2010年の海外投資先は北米が4割強、アジアが3割、欧州が2割強、南米が5%、アフリカが1%。業界別では金融が17%、エネルギーが13%、素材が12%と続き不動産は5%でした。毎年、少しずつの変化はあってもいっぺんに大きくは変えません。

Q:米国が定めたルールが世界経済を支配するという意味で使われる「ワシントン・コンセンサス」に代わって、「北京コンセンサス」という言葉も生まれました。
A:いまの世界経済のルールは、先に発展した米欧が妥協を重ねて築いたものです。しかし、新興国の発展で世界は多元化の時代を迎えた。これまでのように米国モデルがすべての人に受け入れられるとは限らない。中国人には中国人が正しいと思うことがある。お互いが尊重しあって、学びあうべきだと思います。国際的な秩序は歴史上そうやって、できてきたのです。
 私たちは過去100年余り、外国からいじめられ、ずっとばかにされてきたという思いがあります。ところが、改革開放政策から数10年間、一生懸命走り続けていたら、米欧で経済危機が起きた。突然、自分たちが前に出たような感じになり、自信が生まれた。これは中国人にとってよいことです。ただ、物事には常に善し悪しの両面があります。

Q:悪い点とは。
A:大国になった、米国はもうだめだ、さあ「」と言おうと考える中国人が現れはじめたことです。でも、どうでしょう。客観的にみて米国は依然としても最も強い国です。科学技術や文化の影響力だけでなく、開放的な国民性が世界中から人材をひきつけている。前を走る人のスピードが落ちたのは衰退したからだ、と切って捨てるのは、自分たちが前に行こうとする努力を止めてしまうことになりかねない。ローマ帝国を見ても、大国の栄枯衰勢は百年単位で語れるものではありません。

Q:米国に留学し、弁護士の免許をとってウォール街の法律事務所で働いた経験があるそうですね
A:1982年に初めて渡米したころ、店のガラスにしばしば頭をぶつけました。あまりにもきれいで見えなかったのです。いまCICの社員500人余りのうち投資部門でいうと、米国で教育を受けたか、働いた経験がある人が8~9割。米国籍を持つ中国人も少なくない。中国の会社もずいぶん変わってきました。

Q:CICは米欧で電力や水道など社会基盤への投資も進めています。日本で同じような投資をすると、世論は複雑かもしれません。
A:大歓迎という感じにはならないでしょうね。国と国の関係や国民の感情もあるでしょうが、欧州ともアフリカとも、日本はまったく異なる部分があります。

Q:どういうところですか。
A:日本は基本的にお金が足りないわけではないということです。だから「できれば外国からの投資は受け入れたくない」という態度をとることは理解できます。でも、日本は外国の資金や人材をとりいれて、成長を取り戻すべきだと思いますよ。

Q:日本経済の先行きについて、どう見ていますか
A:見方はなかなか定まりません。私自身は同僚よりずっと楽観的です。目下のところ、同僚のほうが当っていて残念なのですが。

Q:なぜ楽観的なのですか
A:文化大革命のまっただ中だった10代後半、西安の近くで鉄道の建設に携わりました。荷物を積む巨大ないすゞ自動車のトラックは、中国ブランドとは比べものにならないほど高性能だった。山を切り開くときに使ったブルドーザーも日本製。その後、国際経済や貿易を学んだ北京の大学では、野村総合研究所の資料をよくよみました。工業化で先を行く日本のまじめさが印象に残っているのです。
 日本人は悲観的すぎる。自分たちには創造性がないといいますが、私はそうは思わない。使い捨てカイロにしたって、冷たい靴のなかを暖めるものから何から、用途に応じてさまざまな種類をつくりだす。もうこの先、新しいものはないだろうという市場が飽和しそうな分野でも、挑戦をやめず、何か思いつくでしょう。これは自信を持つべき創造性だと思います。

<取材を終えて>
 社長室の収納棚の扉をあけると、英語と中国語の本がぎっしり並んでいた。最近読んだ洋書は、米国の作家マイケル・ルイスが欧州危機を描いた「ブーメラン」だそうだ。神も魔物もすむといわれる市場に、国家の巨額の資金を抱えて向きあう高さん。インタビューで何度も出てきた言葉は「物事には両面がある」だった。
(聞き手:吉岡桂子)


 中国人というよりは、西欧的で、柔軟な商売人と優秀なテクノクラートという両面を持つような印象があるだけに、敵にまわったらやりにくい人物である。
共産党政権の国家戦略と彼がどう折り合いをつけるかが今後の焦点なんでしょうね。






Last updated  2012.05.18 22:30:02
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