図書館で「はやぶさ世界初を実現した日本の力」を借りたので、この際「はやぶさ」関連について集めてみます。
「はやぶさ」の地球帰還時にインターネット放映画面に見入っていた「はやぶさ」フリークの大使でおま♪
・はやぶさ世界初を実現した日本の力(2012年)
・はやぶさの軌跡(2011年)
・はやぶさ(2006年)
・映画「はやぶさ 遥かなる帰還」(2012年)
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【はやぶさ世界初を実現した日本の力】
川口淳一郎著、 日本実業出版社、2012年刊
<内容紹介>より
2010年夏、惑星探査機「はやぶさ」は60億キロの宇宙旅行から帰還し、日本全国に感動を与えました。
2012年には「はやぶさ」をテーマにした映画が2本、立て続けに公開されることも話題です。
総勢500人もの科学者がかかわったという「はやぶさ」ですが、そのチームを率いた川口淳一郎プロジェクトマネージャー自ら、「プロジェクトを成功に導く秘訣」「チームを率いるうえで心がけていたこと」、そして「今まで語られなかった、はやぶさの真実」などを明らかにします。
映画やTV番組など、さまざまな映像作品にとりあげられている「はやぶさ」ですが、
そうした作品と併せて本書を読むと、その「真実」がより伝わります。
<大使寸評>
また「はやぶさ」ですかと言われそうだが、川口さんのお話には、何度聞いても元気が出るわけです。
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映画でも迷子になっていた「はやぶさ」を見つけるシーンがあったけど、この探索の裏にはぜったい諦めない気持ちとともに、できる限りの手だてが採られていたようです。
<宇宙のどこかにいる「はやぶさ」を探す>p185~187
ふいに通信が途絶えてしまった「はやぶさ」は電源を完全にオフにしているため、たとえ太陽電池に光が当たり始めても、再度決められた順番に電源を入れ直さなくてはなりませんでした。スタッフは何とか「はやぶさ」の機器を立ち上げるべく、必死の対策を開始しました。
「はやぶさ」のいる方向はわかっています。ただ、スピンしているかもしれません。地球が太陽電池に近い方向に見えていると、マルチパス(一種の通信障害)が生じて電波を弱め合ってしまうので、我々からの指令は常時受信されるとは限りません。順番に電源を入れる指令も、どんなに速くスピンっをしていても受信できるように、細切れに、繰り返し繰り返し送って、何がなんでも送達できるように工夫するわけです。ともかく探査機の再立ち上げのために全力を挙げました。
ただし、「はやぶさ」の受信機が待っている周波数はわかりません。「はやぶさ」は温度を精密に制御して使う水晶振動子が、受信機・送信機の待ち受け発信周波数を決める設計でした。温度が正確でないと周波数が狂うのです。ですから、全システムが落ちて温度制御もできなくなっている探査機の待ち受け周波数がいくつなのか、私たちにはわからないのです。そのため徐々に周波数を変えながら、先ほどの再立ち上げを指令する電波を何万回も送ることにしました。
電波の発信を確認する作業も同じです。温度制御ができていないので、「はやぶさ」がせっかく指令を受信して実行しても、声を出してくる周波数は不確定なのです。我々はあらゆる周波数で「はやぶさ」の声を確認しようとしました。このあたりの地道な苦労は松竹の映画によく描かれています。
20世紀FOXの映画では、運用メンバーがコマンドを一つひとつ手で入力して送信する場面が出てきますが、実際はほとんどの部分を自動化していました。というのも、送るコマンドは莫大な数ですから、いちいち手で入力して送っていてはとても遅くて追いつかないからです。
ただ、最初からこのようなシステムが組み込まれていたわけではなく、「はやぶさ」との通信が途絶してから、地上で運用するコンソールの中に入っているソフトウェアを書き換えて、少しずつパラメータを変えながら送信していくプログラムを作ってもらいました。いろんな方が考えられないくらい最大限の努力をしてくれました。ありがたいことです。
普通、地上の装置やソフトウェアは、いったん運用が開始されたら基本的にはいじってはいけないものです。しかし、今回は緊急事態です。時間が経てば経つほど、「はやぶさ」は元いた場所から遠ざかってしまって、再び立ち上げるのが困難になります。「はやぶさ」を我々のコントロール下に取り戻すためにメーカーの技術者がそれこそ不眠不休で取り組んでくれ、新しいプログラムにいたるまで書き換えてくれたのです。
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【はやぶさの軌跡】
NHK監修、宝島社、2011年刊
<内容紹介より>
2010年6月、7年をかけて60億キロの宇宙航海を終えた小惑星探査機「はやぶさ」。はやぶさが持ち帰った小惑星「イトカワ」の微粒子の分析が進み、「はやぶさ2計画」に注目が集まるなど、日本人に感動を与えてくれたはやぶさのドラマは、まだまだ尽きません。
このムックは、NHKが放送したはやぶさ関連の番組(クローズアプ現代、サイエンスZERO、追跡!AtoZ)をビジュアル・ムックとして再現するもの。JAXAの協力を得て、別冊宝島編集部が独自に編集・構成。豊富な写真・CG、貴重な資料・図解、プロジェクトメンバーへのインタビュー……感動の逸話をふんだんに盛り込んだ「全記録の決定版」です。
<大使寸評>
多数発刊されたムック本のひとつで、アマゾンには「はやぶさの軌跡Amazon公式サイト」まで設けて盛況です。
Amazonはやぶさの軌跡
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【はやぶさ】
吉田武著、幻冬舎、2006年刊
<「BOOK」データベースより>
世界88万人の夢を乗せて、我らが探査機「はやぶさ」は太陽系誕生の鍵を握る、小惑星イトカワへと旅立った。果たして表面の物質は採取できたのか。本当に地球に帰還できるのか。3億キロの彼方で繰り広げられた人類史上初の大冒険を伝える感動と興奮のサイエンス・ノンフィクション。独自のロケット、独自の探査計画で世界中の研究者を驚かせ続けている異能集団「宇宙研」の歴史を辿り、その独創性の秘密に迫る。
<大使寸評>
左開き横書きの新書であるが、いかにも科学の本の体裁だなあ♪
内容のほうは理系にお奨めです。
Amazonはやぶさ
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<映画「はやぶさ 遥かなる帰還」>
もっぱらDVDや半年遅れの旧作を観ることが多い大使としては、久々に映画館で新作映画を観たのです。
【はやぶさ 遥かなる帰還】
瀧本智行監督、2012年制作
<大使寸評>
漆黒の宇宙空間を、ただ無制御で回りながら慣性飛行を続ける「はやぶさ」・・・
信号のやり取りに片道約16分もかかる距離を隔てて、数bit単位でとつとつと修復信号を送り・・・・それに応えた「はやぶさ」が機械であってもいじらしいわけです。
goo映画はやぶさ 遥かなる帰還
はやぶさ公式サイト
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一時は迷子になり、予定よりも遅れて7年もかけて満身創痍でヨレヨレになってもミッションを完遂するところに、心をもたない機械であってもけなげだな~♪と賞賛するわけです。
「はやぶさ」の成功は、貧弱な予算でもNASAも驚くサンプルリターンをもたらしたことにあったが・・・・
半世紀前の日本人なら当たり前だったかも知れないコストを度外視した職人技がもたらしたとも言えるのでしょうね。
団塊世代ならいざしらず、今ではすんなり通用しないはずのプロゼクトX風の映画が、「はやぶさ」では例外的に通用するんだろう。
推進系機器「イオンエンジン」でメーカーの情報が見られます。なお、この種のキラーテクニックが民生品技術であることに、同盟国アメリカの軍関係者は苦々しく思っているそうです(未確認情報ですが)