図書館で『>怒涛の虫』という本を、手にしたのです。
郷土の英雄ともいえるサイバラについては古くからフォローしているが、初のエッセイ集を見つけたわけで、これは期待できそうです。
【怒涛の虫】
西原理恵子著、毎日新聞、1993年刊
<「BOOK」データベース>より
怖いモンなし。無垢。それゆえ過激。話題のマンガ家・りえちゃんの初のエッセイ集、4コマつき。
<読む前の大使寸評>
郷土の英雄ともいえるサイバラについては古くからフォローしているが、初のエッセイ集を見つけたわけで、これは期待できそうです。
amazon怒涛の虫
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サイバラの自慢話を、見てみましょう。
p94~97
<君は7月7日朝6時15分NHK/BS2を見たか>
「Sさん、Sさん。見て。ビデオが届いただす」
「お。裏ですか表ですか」
「なに大ボケかましてるざんすか。私の『ゆんぼくん』がナント、NHK様で紹介されたんざんすよー」
「へー」
「衛星第2放送で。私んちで移らないから、知り合いが録画して送ってくれたの」
「衛星第2…かあ」
「私もついにNHK登場! 成り上がったざんすー」
「…ま、とにかく観よう」
「(司会者)BS週刊ブックレビュー、いまこの1冊がおもしろい…この書評コーナーに初めて漫画の作品が登場しました。『ゆんぼくん』。作者、西原理恵子さんがこの4コマのシリーズにこめた狙いについて、関川夏央さんのコメントをうかがいます」
「セキカワ…って有名な人だすか?」
「なにを失礼な! 西原さんの100倍有名な作家の人です」
「ふーん」
「(関川さん)…この漫画を通して思うことは、そこはかとなくあふれてくる郷愁、あるいは失われたものへのヒショウ…そういうものが、若い漫画表現者の中に現れてきているのではないかト…」
「ヒショウって悲傷かなあ。さすがに難しいことを言うなあ。あれ、西原さん、どうしたの?」
「ホッホー! ホッホー!」
「あ、西原さん、鼻の穴!」
「うるさい! ふむふむ。やっぱりインテリさんは違う。よーわかっちょる」
「…すごい鼻息」
「(関川さん)…この作品には巧みな笑いもあるんですが…まあ、西原さんの絵はあんまり巧みではないですが(笑)…」
「お、セキカワ、いま何言うた。私の絵がヘタだと言っただすかー」
「まあ、まあ。事実だから、しょーがないでしょうが」
「ガルルル…ガッデム」
「(関川さん)…例えば藤沢周平が、東北の一つの藩を人のいさかいも含めて懐かしい日本人の故郷だと表現したように、この漫画の描いた田園風景も、日本人の帰りたい風景を、戦後時代に仮託して描いている。…非常に刺戟を受けたわけです…」
「ふーん、いろんな読み方があるもんですねえ。ねえ、西原さん。西原…」
「クー」
「…寝てる」
…というわけざんしたが、考えてみると今回は、完全に私の自慢話ざんしたねー、いやー恥ずかしい。
いえね、衛星第2の朝6時台の番組だって言ったら、担当のSが「そんなの、日本中で3人くらいしか観てねーよ」って憎まれ口たたくもんだから、悔しくてネタにしたんだす。TVでちょっと紹介されたくらいでハシャギやがって、バカ、と思ってるでしょ。あー恥ずかし。
ちなみに『ゆんぼくん』は月刊『まんがくらぶ』連載中で、竹書房から単行本が出てるだす。
…自慢した上に宣伝までしてしまった。すまん。
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『怒涛の虫』1