図書館で『コンビニが日本から消えたなら』という本を手にしたのです。
実地調査に基いた目の付け所がいいし、読みどころ満載の経済評論だと思います。
【コンビニが日本から消えたなら】
渡辺広明著、ベストセラーズ、2019年刊
<「BOOK」データベース>より
抜群の親しみやすさ!バイヤー経験に基づく確かな目利きで流通界に鋭く斬り込む!コンビニを見ると気づく日本経済復活論。いい仕事をするための教科書。
<読む前の大使寸評>
実地調査に基いた目の付け所がいいし、読みどころ満載の経済評論だと思います。
rakutenコンビニが日本から消えたなら
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同一チェーンの近隣出店を、見てみましょう。
p228~231
<第4章 目からウロコのコンビニ裏事情>
■同じコンビニチェーンの店舗が近隣にも建つ理由
しばしば街を歩いていると「同じコンビニチェーンの店舗ばかり建っている」といった光景に遭遇することがあるでしょう。ときには、隣や道路を挟んだ向かいに同一チェーンのコンビニが建てられているケースもあります。
この理由は、フランチャイズ業界における「ドミナント戦略」です。
ドミナント戦略とは、一定の地域に集中的に出店していき、知名度を上げて競合他社よりも優位に立とうとする戦略です。コーヒーチェーンのスターバックスもドミナント戦略を得意としています。池袋駅周辺には10店舗以上、新宿駅周辺には20店舗以上も出店していて、両駅の周辺では、スターバックスの紙コップを持って街を歩いている若者が目立つ。その宣伝効果も計り知れません。
ドミナント戦略による出店には、大きく分けて2つの方法があります。1つは、例に出したスターバックスのように、狭小エリアに集中的に出店してゆく方法。もう1つは、もっと大きなエリアで捉える方法です。たとえば、セブン-イレブンは四国に進出する際、一挙に30店舗ほど同時に出店することで、強いインパクトを与えました。工場・物流センターを拠点とした配送効率においても、ドミナント戦略は理に適った戦略となるのです。
しかし、コンビニ本部にとっては合理的でも、オーナー側にとっては理不尽に感じるのがドミナント問題です。とくに、狭小エリアのドミナント出店は、店舗の売上が大幅に落ちるため、心情的には穏やかではありません。
ただし、同一チェーンによるドミナント戦略は、決してオーナーへの嫌がらせではありません。それどころか、むしろ「他社からのプロテクト」という側面もあります。近隣のテナントに他社のコンビニが入ってしまったら、それは単純に競合店の誕生を意味します。しかし、自社で押さえれば、オーナーを救う手立ても残されています。どういうことかと言うと、本部が同一チェーンの店舗を建てる際、近隣のオーナーに「新店舗も経営しませんか?」と多店舗経営を打診するのが一般的なのです。
ドミナント出店で抗議しているオーナーの中には、本部から多店舗展開を打診されなかった人々も多いようです。ただし、本部も打診する相手を選んでいます。実は、打診されなかったオーナーは、本部の目指す店舗の運営と乖離がある場合が多いのです。また、複数店の経営を望まないオーナーもいます。このため、ドミナント出店に苦しむオーナーたちに同情の声が集まることもありますが、私は一概に本部ばかりを悪者扱いするのは間違いだと思っています。
ただし、たとえオーナー側に打診されないような原因があったとしても、心情的には良くないことだとも思っています。新たにフランチャイズ法を策定し、同一チェーン出店の場合は、距離規制などを設ける必要があるかもしれません。また、近隣の同一チェーン出店の場合は、既存オーナーに、新店を運営するプライオリティを各コンビニ本部は与えるべきだとも思います。
しかし、こうしてオーナーを守ったとしても、今度は別の問題が浮上します。それは、コンビニ以外の業界からの出店です。「まいばすけっと」や「マルエツプチ」などの安売りのミニスーパーが出店すれば、コンビニは他社の競合店よりも苦戦を強いられます。ほかにも、周囲に弁当チェーンやファストフード、ドラッグストアが建てば、コンビニの需要は著しく下がるでしょう。
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『コンビニが日本から消えたなら』3:「店舗数」と「マス化」が商品開発の土壌
『コンビニが日本から消えたなら』2:キャッシュレス決裁
『コンビニが日本から消えたなら』1:「はじめに」
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