図書館で予約していた『春、死なん』という本を待つことおよそ半年ほどでゲットしたのです。
老人の性的衝動ってか・・・なんだか怖いような本ではある。
なお、タイトルの『春、死なん』は西行の「願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ」より取ったようです。
【春、死なん】
紗倉まな著、講談社、2020年刊
<「BOOK」データベース>より
「春、死なん」妻を亡くして6年の70歳の富雄。理想的なはずの二世帯住宅での暮らしは孤独で、何かを埋めるようにひとり自室で自慰行為を繰り返す日々。そんな折、学生時代に一度だけ関係を持った女性と再会し…。「ははばなれ」母と夫と共に、早くに亡くなった父の墓参りに向かったコヨミ。専業主婦で子供もまだなく、何事にも一歩踏み出せない。久しぶりに実家に立ち寄ると、そこには母の恋人だという不審な男が…。人は恋い、性に焦がれる―いくら年を重ねても。揺れ惑う心と体を赤裸々に、愛をこめて描く鮮烈な小説集。
<読む前の大使寸評>
老人の性的衝動ってか・・・なんだか怖いような本ではある。
<図書館予約:(6/14予約、副本2、予約30)>
amazon春、死なん
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あらすじは、70歳の富雄が、昔寝たことのある文江と再会し、文江に誘われてラブホテルに入って、事に及ぶ。
そのあと、息子が建てた二世帯住宅の一室でDVDを観ながら自慰行為を行ったあとに、嫁の里香と孫の静香に見つかってしまう富雄であった。
この小説よりも気になるのは、著者の経歴である。
高専在学中の2012年に、AV女優としてデビューし、その後、映画化された小説を書くまでに至る。さらにエッセイ集『高専生だった私が出会った世界でたった一つの天職』を出したそうである。
理系女子でもあった著者が天職を見つけたようだが・・・その真摯な行動力にはお見それしました。
ネットで著者のインタビューを見つけたのです。
「足りなくても仕方がない」。紗倉まながAV業界で学んだ、自分の体の受け入れ方より
Q:そもそも、なぜコンプレックスを持ってしまったのでしょうか?
紗倉:昔は共感能力や空気を読むことに欠けているところがあって、見た目に対する自信もなかった。周りからの評価と、自分の評価は乖離するものなのに、「絶対にここが悪い」とマイナスなところばかりに注目して生きていました。自分の欠点に意識が向きやすい性格なんです。コンプレックスに縛られているという感覚もありました。
Q:視点の切り替えが、前進する力になったのですね。紗倉さんが見つけた、自身の持ち味は何でしたか?
紗倉:例えば、言葉づかいとか。私の場合、話をするときにゆっくり、のったりと喋ってしまうんです。これはもともとコンプレックスで、本当はもっとテキパキと喋りたいと思っていました。
でも作品によっては、こういう喋り方のほうがテーマに合うこともある。自分の持ち味を生かせる作品に出演したとき、私のことを魅力的に思ってくれる人が増えたんです。そうやってキャリアを積み重ねていくうちに、自分が最大限輝けるタイプの作品や傾向もわかってきました。
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