SAE'S EASE

2019/01/21(月)20:11

新薬師寺・比売神社・南都鏡神社(奈良・奈良市)

神社仏閣巡り(156)

​​​​​​​​​​奈良には3つの「薬師寺」がある。橿原市にある「本薬師寺跡(Moto-yakusi-ji-ato)」・西ノ京にある「薬師寺(Yakusi-ji)」(世界遺産)。そして、こちらの高畑町の「新薬師寺(Sin-yakusi-ji)」だ。 680年 第40代・天武(Tenmu)天皇が病気になった皇后(後の持統天皇)のために誓願を立て、    「薬師寺」を建立することを発願。 686年 天武天皇が亡くなり、皇后が後を引き継ぎ、第41代・持統(Jito)天皇となる。 698年 「薬師寺」が完成。(藤原京薬師寺) 710年 第43代・元明(Genmei)天皇、「平城京」遷都。その際、「薬師寺」が建立される。    (平城京薬師寺) 747年 第45代・聖武(Syomu)天皇の目の病気が治ることを祈願して、光明(Komyo)皇后が    「新薬師寺」を建立。 諸説あるが、最初の「藤原京薬師寺」は10世紀頃まで存在したらしいので、長い間奈良には「薬師寺」が3つあったことになる。 現在「藤原京薬師寺」は廃寺となり、区別するため「本薬師寺(跡)」と呼ばれている。 また「平城京薬師寺」は平城京内にあるが、「新薬師寺」は平城京の外に建てられた。   この3つの「薬師寺」にうち「新薬師寺」が時代的にも新しいが、ただ単に「新しい」というのではないく「霊験あらたか」からきているらしい。 本堂(国宝)で奈良時代の建物。当時は本堂ではなく、修行を行うための堂宇だったようだ。平安時代、雷や嵐でことごとく倒壊してしまい、この堂宇だけが残った。 ご本尊:木造・薬師如来坐像(国宝)。胎内に「法華経8巻」(国宝)が納められていた。  西国薬師四十九霊場・第六番札所。 大和北部八十八ヶ所霊場・第八番札所。 周りを取り囲むように「十二神将立像」(うち11体が国宝)が立つ。日本で最も古い像だ。当時、群青や緑、青、朱、紫に彩られていた。現在でも薄暗い照明の中、よく目を凝らすと微かに色が残っているのがわかる。   香炉は、下に車輪が付いているので、可動式かしら。                         「薬師如来」と刻まれてる 鐘楼(重要文化財)。袴腰が漆喰塗りで、珍しいタイプ。 梵鐘(重要文化財)には、ある伝説がある。     『日本霊異記』   第30代・敏達(Bitatu)天皇の御世に、ある1人の農夫の子供が成長するにつれ、大力持ちになる。   やがて「元興寺」(世界遺産)の小僧になった。   その頃、毎夜、この寺院の鐘楼に鬼が出るようになり、小僧との大格闘の末、鬼を追い払う。   鬼を追いかけ見失った場所が、現在の「不審ケ辻子町」。   そして、鬼が隠れた山が「鬼隠山」と呼ばれている。   この「元興寺」の鐘が後に、「新薬師寺」に移された。   そのためか、この鐘には、沢山の鬼の爪痕がついているという。 「竜王社」。  “ 神将立つ 内陣涼し 薬厳窟 ”  月甫 石仏群。 一番小さな地蔵菩薩は、大変賑やかで、光背に六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天)と冥界を司る十王が刻まれている。 稲荷社。 こちらにも石仏群が。 「実忠和尚御歯塔」。 十三重石塔だというが、現在は五重塔になっている。 実忠和尚(Jittyu kasyo)とは、「東大寺」(世界遺産)の3月に行われる伝統行事「修二会」の創始者。 「地蔵堂」(重要文化財)。 十一面観音菩薩立像・薬師如来立像・地蔵菩薩立像を安置。 本堂の入口は、建物の西側にあります。 現在、現役の鬼瓦で、最古最大の物だそうだ。 角もなく、ちょっとユーモラスなお顔をしているね。  “ ちかづきて あふぎみれども みほとけの みそなはすとも あらぬさびしさ ” 会津八一の歌碑。 現在、行方不明の「香薬師如来立像」(国宝)を詠んだ句なのだそうだ。 「香薬師堂」。 会津八一の歌碑に詠まれていた「香薬師像」がかつて安置されていたお堂。 銅製の像なのだが、黄金で造られていると言われていたためか、2度盗難に遭ってしまった。その度、成分を調べるために手首や足を切断された痛々しい形で発見されたが、昭和18年に盗まれて以来行方不明となった。現在は、複製品が祀られている。   コンパクトな池泉回遊式庭園。 こちらの池にも伝説がある。  この池の鯉は、全て片目か耳が聞こえないという。  眼病や耳の病気の信心している人がここに鯉を放つと、鯉がその身代わりになってくれるのだとか。 庫裏と本堂を繋ぐ寺門。 庫裏前に、一風変わった花が咲いていた。 調べてみると、「アカンサス」という名前なのだそうです。   「新薬師寺」の「南門」(重要文化財)東側にある「比売神社(Himegami-sya)」。 道の曲がり角にある小さな祠だ。 実はここ、「比売塚」と呼ばれる古墳の上。古墳~???見えないわぁ。 ご祭神:十市皇女・市杵島姫命。 神像石(kamukata-isi)と呼ばれる岩が4つ並ぶ。 第39代・弘文(Kobun)天皇と十市皇女、葛野王と王妃、池辺王と王妃、淡海三船公と公妃。 どうやら、縁結びに効くらしい。    “ 河上の ゆついはむらに 草むさず 常にもがもな 常をとめにて ”                                  万葉集 吹黄刀自 こちらは「新薬師寺」の「南門」(重要文化財)の西側にある「南都鏡神社(Nanto-kagami-jinjya)」です。 先程の「比売神社」は、この神社の摂社。 拝殿。 狛犬さんです。   本殿(奈良市指定文化財)。 「春日大社(Kasuga-taisya)」(世界遺産)の第3殿を1746年に移築されたもの。 おお!!「春日大社」の神文・「下り藤」が見えます。 ご祭神:藤原広嗣(Hujiwara Hirotugu)。 災厄の元凶は、僧・玄昉(Genbo)や吉備真備(Kibi Makibi)、政界に重さをなした橘諸兄(Tatibana Moroe)を除こうと、左遷地で反乱を起こした藤原広嗣は挙兵1ヶ月で切られた。後、怨霊となって、諸兄一派に祟ったと言われる。その怨霊を鎮めるため、祀られたのだとか。 祖霊社。 南側にある入口。                                   香薬師堂の参道。             (2017年6月下旬現在)​​​​​​​​​​ https://goo.gl/maps/TBiV9E4azW32

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る