カラヤン
Kちゃんとご飯を食べての帰り、Kちゃんに勧められていた本のことを思い出し、駅前の本屋に寄った。結構大きな本屋さんなのだが、いくら探しても見つからない。仕方ないから、アマゾンで頼むか、と帰りかけたときにふと目に留まったのが、「カラヤン Herbert von Karajan ―音楽が脳を育てる」というCD付きの本。カラヤンと言えば、クラシック好きならずとも、一度は名前は聞いたことがある名指揮者。その華麗な容姿と、目をつぶって指揮する独特のスタイルでも有名だ。音楽とスポーツ、中でも車と飛行機をこよなく愛し、歳を取ってからもポルシェを乗り回し、自家用ジェットで演奏会に向かう、そんな、カッコイイ指揮者であった。僕がカラヤンの音楽に出会ったのは小学校5年の時、学校の音楽の授業で聴いたベートーベンの交響曲第6番「田園」が、後の僕に多大な影響を与えることとなった。それからは、生意気にもクラシック一辺倒、とにかくカラヤンのレコード・CDを集め、大枚をはたいて大阪から東京までコンサートを聴きに来た。生で聴くカラヤンの音楽は、本当にとろけるような美しさで、「このまま死んでもいい」とさえ、子供心に思ったものだ。その後の僕は、カラヤンには遠く及ばないものの、大学時代はオーケストラでオーボエを演奏し、第二外国語はドイツ語を学び、車はドイツ車を乗るまでにはなった。会社も、カラヤンと関係の深いソニーに行きたいと思っていて、本体ではないが、子会社を経由してソニー本社で働いたこともあった。(いずれも、単なる自己満足の世界)彼に全く及ばないのは、ふさふさしたロマンスグレーの髪と、若い奥さんぐらいだろうか。(もちろん、それだけのはずがない。)さて、冗談はこれくらいにして、この本は、音楽者が書いたのかと思いきや、なんと著者の茂木健一郎氏は脳科学者とのこと。確かに本のサブタイトルにも「音楽が脳を育てる」とあり、「脳を育てる名曲11曲(58分)」のCDが付いている。ふーん、なるほど。僕の脳が育った(かどうかは分からないが)のは、カラヤンのお陰か、と思いながら、その本を買って家路に着いた。このCDを聴けば、夢多き若かりし頃を思い出すかも知れない。忘れっぽくなった脳も再び活性化するかも知れない。