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曹操注解 孫子の兵法

読者の手紙

◆読者の手紙

先生は「孫子」を出版され、これから「○○○」を出版しようとされているとのことですが、現在注目しているのは「兵家」なのでしょうか。もちろん、先ごろ出版された「孫子」を拝読して、「兵家」だけではなく、道家等も研究されていることはよく分かりましたし、また、中国古典の研究をする上での基礎研究もただならないものがあることは分かりました。
 …ただ、私は古代中国の歴史・思想について研究している研究者ではなく、単なる素人に過ぎませんが。でも、興味はとてもあります。ちなみに、私は法学部出身で、司法試験受験を目指していながらも、受験すらできない自称「司法試験受験生です」 もうすぐ28歳になってしまいます。
でも、中国古典を学びながらも、司法試験の勉強もあきらめず、やり抜くんだという志だけでも持っていようと思っています。といいつつも、身分はアルバイトのコックさんなのです。

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◆曹操閣下の返信

そりゃ古典の研究より、まず人生相談だなあ。
司法試験に挑戦したかったなら、一つの選択は、わが中央大学の法科大学院に来ることだ。それで大学生協とか、働く場所もうまく調整すると。

私の学生じゃなかったけれど、居酒屋の店長をしながら、大学院に来ている社会人学生がいてね、図書館で少し話して、「がんばっているね」と声をかけてみたけれど、「通勤場所と自宅と、この大学院(東京・市ヶ谷)が三角関係で疲れます」と元気がないんだ。
「おいおい、そりゃ戦略ミスだよ。副店長に降格を願っても、学校近くの店でやらないと、持たないでしょう。仕事も学問も、体一つ、健康が資本なんだからさ」
「それはそうすっね」
そんな話をしていたんだ。
心配していたけど、結局、彼は体を壊して休学してしまった。その後の連絡はない。

今度の文庫本で、304ページに、荊門郭店楚簡『老子』を翻訳したんだ。
「世の中の肩書きと人生は、どっちが大切か(名與身孰親)」とね。
中国の学者、彼は中国共産党中央党校の教授なんだけど、「社会的な名声と自分自身」と直訳していた。
私は飽き足らなかったんだ。

それで、思いついて「肩書きと人生」と翻訳をしたとたん、涙が出てきて止まらなくて、キーボードを打ちながら男泣きしてしまった。
感動したし、同時に大きな後悔を背負ってしまった。
本当に、こんなことは初めてだし、それ以降もない。
自分も過労で倒れて、病院に入院した。
だから、仕事と健康にバランスをくずした時の挫折感、屈辱感は大きかった。
それが、この一語で救われた。
「ああ、そうだ。私は肩書きにふりまわされていたんだ。それで健康を壊してしまった。それで今まで、本当にやりたいことも自分の枠に閉じ込めていたのか」
二千五百年前の竹札にだよ、そのたった五文字だよ、農民が誤って(よくあるんだ)踏んづけたら、永遠に消えたかもしれない人間の、人生の真実の言葉ね。
そりゃもう身が震えるぐらい感動したね。
そればかりじゃなくて。
この真実の言葉を、何でもっと早く世の中に出せなかったのか。
気づかなかったのか。
それが後悔。
まず私自身。
あの居酒屋の店長。
自殺した知り合いの銀行頭取。
知りあいじゃないけど、鳥インフルエンザで隠蔽工作した養鶏業者の会長夫妻。
肩書きに、自分を押しこんで、がんじがらめになってしまう人は多いんだ。多すぎるんだ。この国は。

びっくりしたんだけど、私のメル友の看護婦さんもね、「看護婦という肩書きに縛られて、いい人を演じすぎた。それで私は壊れたんだ」と爆弾発言しているわけ。
私や竹簡老子と同じことをズバッと言っているんだよ。私の本も読まないでさ。
もう惚れちゃったね。すごいんだよ、この女性。わかりすぎ。

「惚れる」って、いい言葉でね。「恍惚」というと、ボケとか、性のエクスタシー(最近は平気で話題にしている)とか、そんなときに使われるけど、強い否定禁止語の「なかれ」に「心」が二つ。
要するに「人を見て、我を忘れる」ということ。人間に感動するということ。
だから、「惚れた」って言いたい女性、男性が、たくさんいても不思議じゃない。
「惚れた」といえる感動が多ければ多いほどいい。楽しい。
ふりかえってみると、自分にウソをついてることって、多かったね。「この人に惚れた」って、思ったとおりに言えないもんだから、すれ違いの人間関係で終わったりね。
「キミに惚れた」っていえないもんで、せっかくいい女性にめぐりあっても、好意を伝えきれずに気まずく別れたりね。
最近は、そのあたり、私は突き抜けたね。
「肩書きなんて、もういりません。違法なことはしませんが、私の人生、生きたいままに生きます」と決めちゃったから。

曹操も本来は内向的な人間だけどね、孫子兵法を勉強してから変わった。
最初は他人が信じられなくて、「家を焼いちゃったり」。(@ミラクル姫)
それがね、董卓追討の陣営で、荀イクや郭嘉といった重要人物にであったときは、「おお、お前に惚れたぞ」と最初から言ってしまうわけ。これはミラクル姫のほうが詳しいかな。
するとね、郭嘉なんかも、いろいろ他から誘いがあったけど、「曹操に、こんなに惚れこまれたから、もう彼に天下を平定させるしかない」と決意してしまう。美しい。

本題から脱線したけど、あなたが弁護士という「肩書き」を夢見ながら、別の分野で働いているのは、何か居酒屋店長の通勤・通学・自宅の三角関係の一歩手前という感じがする。
それはうまくいかないよ。
司法試験より格下(その身分の方には大変失礼)かもしれないけど、税理士、弁理士、司法書士、行政書士とか、法律の勉強時間が取れる同じ方向に進むのが一つの選択。
もう、30ぐらいなんだから、法学部出身でも、飲食サービスの経営をコックの立場で、何もかも吸収して、いつかは独立開業してみるか、起業してみようと決意するのも一つの選択。

ウェンディースの創業者もね、最初はケンタの店長をやっていたんだ。それでマクドナルドやバーガーキングがライバルでしょ。面白くないわけ。
それで創業者のカーネル(州軍名誉大佐)・サンダースが彼の店舗を視察しにきたとき、「オレはチキンをやめて、ハンバーガーで戦いたい」と直訴したんだ。
そしたら、サンダースが何を言ったか。
「やったらいいよ。しかし、自腹でやれよ」
だから、ケンタッキー・フライド・バーガーじゃなくて、その店長の娘の名前を取って、「ウェンディース」になった。

今のままでいいじゃないかと、あなたは思っているだろう。
私の言葉は、悪魔の誘惑ではないかと。
人生の主人公は、「あなた」なんです。
あとは私の本を参考にしてくださいね。


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