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曹操注解 孫子の兵法

発砲殲滅対中宣部

   ☆もし私が中国人民解放軍の将軍ならば
       中国共産党・中央宣伝部を砲撃する。


 わかっていると思うが、閣下は非常に中国を愛している。

 中国の文化、文明、素朴な人々、勉強熱心な学生、そして優秀な幹部たち、すべて中国の発展と希望を輝かしく彩っているのだ。

 友人も知人も、肉親同様の人々も多いのだ。

 しかし、言わねばならない時には言わねばならない。

 中央宣伝部が本当に隔離されたり、規律審査を受けることになるのかどうかはわからない。

 しかし、東京にいる私にさえ、中央宣伝部が都市部の新興企業家たちから活動資金をドロボウのように、強盗恐喝のように巻き上げていく「噂」は耳にしていたのだ。
 日系企業もやられた。
 特に中小企業は反日デモに襲われたり、従業員がそそのかされて反日ストライキでもやったら、ひとたまりもない。

 実際に、広東省ではそのような呼びかけでストライキも実行された。

 そんなわけで、日本人の工場長は自分の給与から泣く泣く中宣部の「代理人」なる人物や、地方の宣伝部の言うがままに献金してしまう。

 だから、中央宣伝部が突然、手のひらを返して、「友好、友好」などと言っているのは何故なのか。
 日系企業が逃げてしまったら、自分たちの横暴な資金集めの金ヅルに困るからではないか
と私は自然に疑ってしまう。

 これは歴史的な先例がある。

 文化大革命で、農業の生産量が激減し、多くの工場が休眠していたのに、紅衛兵数百万人は全国でどのように金を集め、どのように飯を喰っていたのか。

 彼らはゴロツキのように、金のありそうな家や品物、食べ物がありそうな商店に押かけては、
 「革命のためだ。われわれに寄付しろ」と強奪してまわったのだ。

 中央宣伝部や地方宣伝部のやり方は、紅衛兵のように暴力的ではないが、陰湿であり、壊滅的である。

 宣伝関係の幹部に、
 「あの商店は非協力的だ」というレッテルを貼られると、そこにはピタリと客が来なくなるのだ。

 一つの町で、こんなことをやられたら、宣伝部の小役人が見物に来ただけで、「どうぞ、どうぞ、何でも持っていってください」ということになるではないか。
 それが映画『芙蓉鎮』の人間ドラマであり、悲劇なのだ。

 今は、それを工場やオフィスにやってきて、協力金と称して、「資金集め」をやっているのだ。
 上海市人民政府や蘇州市人民政府が、わざわざ宴会を開いて、
 「あなたの企業進出を熱烈歓迎します。税金も規制も優遇します」と拍手して帰ったら、すぐに宣伝部の人々がやってきて、金品を奪っていくというらしい。
 本当に上海や蘇州のような近代都市(もちろん広い行政区だから辺境も多い)で、そんなことがあるのか。これは、さすがの私も半信半疑だ。

 しかし、権力の味を知り、それをふりまわす快感を知った人間は、もう抑制がきかない。
 中央宣伝部の仲間になるということは、このような権力の美酒を回し飲みする選抜組になり、人民や企業を恐怖と脅威で搾取しながら、搾取したとも悪いことをしたとも感じない「正義漢の小英雄」になるということだ。

 宣伝部の方針に歯向かったり、宣伝部の指示に不活発な態度を示す人間は、レッテルを貼られるのだ。

 レッテルを貼る立場の人間は神々のごとくのし歩き、
 レッテルの標的になりかねない立場の人間は政府高官であっても、宣伝部のメモをブルブル震えながら読み上げざるをえない。

 これが彼らの考えている革命運動であり、反日帝宣伝活動の実態なのだ。

 中央宣伝部はあちこちに「抗日記念館」なる施設をつくった。
 そのために地方政府からも、周辺の企業からも、資金をふんだくって回った。

 それはそれでいいだろう。
 党中央の決定であり、中国政府の方針だ。

 その資金の使い方ははたして清廉潔白であったか。
 展示物を提供した企業は、会計をごまかしたり、幹部たちに賄賂を配ったりしていないか。
 教科書関係で、多額の資金があちこちに動き、学者といえない学者、作家といえない作家が大活躍して、資金を使いまくったことはなかったか。
 日本もそんなに大きなことは言えない。
 今は、郵政省や社会保険庁、道路公団のムチャクチャな経理問題で、日本国民全体が官僚社会の特権に激怒しているところだ。
 では、私は「さすがに中央宣伝部だ。日本式に腐敗している」と手放しで賞賛したらいいのか。

 そのような施設は、南京市や長椿街のように、確かに日本軍の攻撃を受け、大きな戦闘がおこなわれたところならば有意義であろう。
 日本軍とは全く関係のない場所にまで、抗日記念館を建設して、反日教育拠点にする。
 それもいいだろう。
 党中央の決定であり、中国政府の方針だ。

 しかし、その街から空港に向かう道端には、昼間なのに学校にも行かないで、父母の農作業の手伝いをしている人民の子弟たちの貧しい姿が窓越しに見えるのだ。
 中央宣伝部の幹部にとっては、あまりにも当たり前過ぎて、何も目に入らないのか。
 それもいいだろう。
 彼らには何も権限がない。
 特権はあるが、党中央の決定であり、中国政府の方針なのだから。

 彼ら、学校にも行けない、学校も知らない子どもたちの姿を無視して、中央宣伝部の幹部たちは郊外の空港と市街の間を公用車で悠々と往来しているのか。
 それもいいだろう。
 党中央の決定であり、中国政府の方針だ。
 彼らには特権があるが、権限がないのだ。

 抗日記念館の意義はいい。
 希望小学校の建設を何校も犠牲にして、民族の恥辱の記憶を永遠にし、反日主義を罪もない子どもたちに植えつける。
 それもいいだろう。
 中国政府の方針だ。
 党中央の決定だ。

 その結果、その子どもたちが成長して、日本人を見るなり、日本人と聞くなり、いきなり襲いかかり中国民族の屈辱と復讐を果たすべく、徹底的に精神練磨された「人間兵器」になっていたら、これは誰の責任なのか。

 外交部の人々が表情をゆがめながら、メモを読み上げる。
 「中国の責任ではない。すべて日本の戦争犯罪の責任である」
 それもいいだろう。
 中国政府の方針なのだから。
 党中央が決めることなのだから。

 今、日本人は、上海でも北京でも、日本人であることを隠し、
 下手に日本語を使って日本人だと見つけられることさえ
 恐怖を感じながら暮らしている。
 どこへ出かけるにも日本人だけでは出かけられず、
 いつ中国人たちに
 「小日本を皆殺しにしろ、鬼子を打倒せよ」という怒声が飛んでくるか、
 ビクビクとして毎日を送っている。

 中国政府は、在留邦人をすべて「人質」にし、脅迫し、安全な生活を危険にさらして、日本政府に何を要求しようというのか。

 それが偉大な中華文明の後継として、偉大な栄光の道なのか。

 でも、それもいいだろう。
 何といっても中国政府の方針なのだから。
 党中央が決めたのだから、何も言うことはないのだ。

 しかし、ここは日本である。
 私には言論の自由がある。
 
 私は日本人として、
 ではなく、
 友好人士として、
 でもなく、
 一人の人間として、
 中国共産党中央宣伝部は
 実際に非人間的な組織であり、
 人間の感情を喪失した権力集団であり、
 存在するだけで恥辱に耐えない破廉恥な反文明単位であり、
 万死に値すると断固主張する。

 中央宣伝部の言いなりに、経済も、政治も、外交も動かしていって、
 毛澤東思想を放棄し、
 マルクス主義を否定し、
 香港のブルジョワ自由化を受け入れ、
 上海・広東のプチ・ブルジョワの経済基盤から資金を搾取し、
 宣伝と扇動で大衆を動員し、
 物を破壊し、
 公共の場を占拠し、
 外国人に暴力をふるい、罵声を浴びせかけて、
 それで中華人民共和国が今よりも偉大になれると信じているのか。

 それが中央宣伝部の罪だ。
 これらのすべての問題を中国共産党中央宣伝部が引き起こしたのだ。 

 今こそ、中国人民とともに中国共産党中央規律委員会は、中央宣伝部の討伐し、組織解体すべきだ。

__________

 中央宣伝部は公安関係の経験者が幹部に登用された部署だ。
 昔の日本の「特高」、つまり秘密警察も公安だった。検閲官も公安出身だった。
 同じようなことで、今の日本でポルノ・ビデオを検閲しているのは警察出身者の団体だ。
 これがまあ、検閲機関の最終段階ということだ。
 だから中央宣伝部が公安関係を意のままに動かしたり、公安部員を使って、扇動工作隊をあちこちに差し向けたり、田舎のスト破りや農民争議を鎮圧するというのは、まあよくある光景なのだと思う。そのような憎悪の声も、東京では北京より大きく響くのだ。
 中央宣伝部と公安の密接な関係は理解できた。
 しかし、それでも彼らは最終的な権力に近づけなかった。
 彼らは官僚であり、基本的に文官だから、軍部と接触することが少なかったのである。
 そこで中央宣伝部の悪知恵の働く幹部たちは考えた。
 中央宣伝部の基本政策の中に、軍部が活躍できるような緊張状態を作り出せば、軍の幹部と折衝することができ、交流する機会が増えて、軍部を中央宣伝部のクーデターに巻き込むことができると。
 しかし、その見方は甘かった。

 軍部の目も節穴ではない。
 そして軍部は歴史的に外交部と密接な関係がある。
 これは周恩来総理の偉業の一つだと思うが、公安と軍部には幹部学校の垣根があり、公安幹部が軍の指揮系統に関わることはできない。
 それができるのは政治委員であり、これは地道な党務や政治局員の弁公室などを勤め上げ、「政治的に合格」した人材たちの職場だ。
 つまり、軍の中に野心を持つものがあらわれないように監視するのが軍政治委員の役割であり、政治委員が野心家であったら、たちまち軍組織は崩壊してしまう。
 この政治委員制度を創設したのは、周恩来総理と葉剣英元帥だったと聞いている。
 そのおかげで、あの文化大革命の大混乱の中でも、軍部は微動だにしなかった。
 登小平さんが第一次天安門事件で失脚した直後は、葉剣英元帥が軍事基地にかくまい、四人組の手先から家族を保護したことはよく知られている。
 これまた中央宣伝部の支配下にある『解放軍報』は、昔から反日論評で有名で、日本の防衛関係者も人民解放軍に対しては身構える人たちが多いのは残念だ。
 それは軍人たちの世論ではない。第一、軍人に世論などあるはずがない。防衛庁に「世論」はあるのか。
 中央宣伝部の管理人が、たまたま熱狂的な反日主義者で、今は反日運動の最先端でふんぞりかえっていたというだけのことじゃないか。
 私が中国人民解放軍の幹部と知り合いになれたのは、ごく一握りにすぎないが、みな地方や辺境の勤務を経験し、兵士たちとともに農民の農作業を手伝い、鉄道工事のために土を運び、兵士とともに部材を運んだことがある将校たちだ。
 ドロ水の中を訓練し、ソ連軍の兵士と撃ち合い寸前になり、不幸な事故で部下を死傷させ、遺族とともに涙を流した勇士たちだ。真の武士たちだ。
 ある知人の武官は、給料が悪いわけではないのに、故郷の兵士たちと同じ食事を毎晩、夫婦で食べているという。
 これこそ鉄壁の軍隊であり、中国人民解放軍の強さである。
 平時の軍隊がどのように士気と戦闘力を維持するか、これは世界の軍隊が苦悩する大問題なのだ。
 私の観察する限り、中国の軍部は国際的に見ても高い水準と、優秀な人材が多いと断言してよいだろう。
 地方に行けば、まだあちこちの商店に「軍人優先」という古い札がかけられている。
 町中で安く売っている軍服を羽織った私にまで、商店の人々が心優しく接してくれた思い出がある。
 「いえいえ、私は日本人なのです」と言えなかった自分が恥ずかしい。
 商店の人たちは、中国語が下手な私を「内モンゴル人なのだろう」と思っていたようだった。
 このような中国社会から、どうして精強な人材、洗練された人材が軍部に志願しないといえるだろうか。
 もちろん、今は経済の自由化が進んだから、優秀な人材は経営学院に来て企業家を目指すし、有能な人間は体操や競技に進んで致富の道を求めるだろう。
 しかし、私の知る同世代の軍幹部、彼らはみな文革後の混乱から立ち上がった世代であり、みな紳士であり、歩く姿も常人ではない端正な人々である。

 将軍たちもすばらしい。
 老幹部たちは朝鮮戦争で、戦場の将校として活躍した人たちばかりだ。
 戦友の血を浴びながら、アメリカ軍と戦った英雄だ。
 北朝鮮の軍部との密接な関係も、この老幹部たちの戦友関係が非常に密接だからだ。
 ある将軍の風格に接したが、私は「これが真の軍人なのだ」と感激した。
 私の先祖も、アメリカ軍と戦って死んだ。特攻機で巡洋艦にぶつかり、自爆したのだ。
 彼はもちろん軍神として靖国神社に祭られている。

 話が大きく遠回りしてしまったが、要するに軍部の人々は中央宣伝部の要請や要求には応じたものの、彼らの政治的な野心に同調するような「馴れ合い」はしなかったということだ。これは私は確信している。
 軍部指導者たちは、中央宣伝部の横暴と専制の野心を見抜いていたと思う。
 いつも中央宣伝部に脅迫されている外交部はなおさらだ。(ホントかね)

 日本との海洋問題での緊張関係は、多分に総参部(統合参謀本部)の中で立案されたものではなく、中央宣伝部が仕掛けをつくって持ち込んだものであろう。
 「西欧の石油メジャーと提携して石油調査をやり、それを中国の潜水艦やミサイル巡洋艦で守らせる」などという戦略を、はたしてまともな軍事専門家が立案するのかどうか。
 資源を確保しようと、中国政府が腐心するのは当然のことだ。
 それは批判しない。
 中央宣伝部が企画を立てたとしても、資源関係の部署がやったことだから、それはそれでいい。

 なぜ中国人民の軍隊で、石油メジャーの利権を保護するのか。それが問題の核心だ。
 ここからは石油メジャーの国際陰謀がからんでくる。
 もちろん、石油メジャーは中央宣伝部の策謀に手を貸し、香港や台湾の愛国団体に多額の資金を提供し、反日宣伝の資金源にもなった。
 そのことを軍部は知らないし、私も軍の人々に示唆はしても、はっきりとは告げていない。

 唯物主義の基本思想から、現実を分析してみたまえ。
 何の運動が、どうやって資金を集め、何を目的に活動しているのか。
 その政治的効果を反作用で利益に転化したり、あちこちの株式市場や船舶保険市場で大儲けをする国際資本集団がいるのではないか。
 今の領海問題と資源問題が接触している海域の状況を冷静にながめるといい。
 日本と中国が対立し、お互いに接近して海底油田を開発競争したら、どちらの国民が喜ぶことになるのか。
 都市や農村・漁村・山村・荒野に住んでいる中国人民はそんなことは知ったことではない。
 一番大きな儲けをあげるのは、石油メジャーなのだ。

 中国人民海軍は、海兵たちの生命を酷使し、犠牲にしてまで、どうして国際巨大資本の利権を守り、日本と対立するのか。
 その対立図式を海軍司令部がつくったのか。ちがう。
 中央宣伝部か。ちがう。
 どこなのか。石油メジャーだ。
 彼らが国境紛争地域で石油資源を独占する悪質な方法を中央宣伝部は何も知らなかったのだ。
 外交部はわかっていると思う。国連代表部もわかっているはずだ。

 アフリカ大陸で、資源確保のために、国際石油資本が民族対立を引き起こし、宗教対立を扇動し、大量虐殺まで引き起こしている事実を。
 しかし、外交部の国務院報告書など、中央宣伝部が国益のために参照するとは思えない。

 私は戦略専門家として、誠実に発言する。

 中華人民共和国よ、これ以上、国際政治、国際資本にだまされるな。

 資源確保のためといいながら、人民の軍隊が国際資本の護衛部隊をやることに、疑問を感じないのは「中央宣伝部」だけだと信じたい。
 真の愛国者、真の軍人は、そのようなことで中国人民の子弟が生命の危険を賭する不幸を座視するはずがないのだ。

 もし、私が中国人民解放軍の将軍だったら、そのような命令企画書が回ってきた段階で、一人で戦車を運転し、北京の市街を突っ走り、中央宣伝部の建物を砲撃するだろう。


 私は四人の写真を持っている。
 一人は青年時代の毛澤東主席である。
 次に騎馬・軍服姿で美髯の若き周恩来総理である。
 次に朝鮮戦争の彭徳懐元帥である。

 もう一人は。
 元武漢軍区司令の陳再道将軍である。

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