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フランスでの暮らし

フランスでの暮らし

続・ケーキ屋で働くということ

私は、一日でも多く、他の子たちより差をつけたかった。
だから、まだ学校言ってるときから、そのお店でバイトを始めた。
フリーター時代、朝から晩まで働いてたから、体力には自信あったのに、何でかしんどかった。
8時から5時までだったけど3時ごろにはかなり死んでた。
この年私を含めて3人の新人が入った。
正式入社を前に、社長に呼ばれた。
3月から新店をオープンするからそっちに行って欲しいということだった。
このお店、全部で6点支店があるが、本店でしかケーキは作っていない。
私の仕事は新しい店でひたすら焼き物をすることだった。
しかもそこは百貨店。よくある、オープンキッチンだった。
はじめの一ヶ月は上の人と二人で働いた。
その後は一人ぼっち。
新人の私に、販売員の面倒から、百貨店側とのやり取り、新店の為、数々起こるトラブルの処理、すべてが降りかかってきた。
技術の勉強?一人なので誰にも聞けず、本店に電話しても埒が明かない。
他の人の技術を学ぶ?他には誰もいない。
置いてけぼりを食らった気がした。
本店で働く二人は、着々と技術を見につけているのに・・・(多分そんな気がしてた。)
辞めよう、ここにいては伸びない。
定期も一ヶ月づつ買った。いつやめてもいいように。
そう思いながらも一年過ぎた。
販売員たちはみんな女の子。しかもアルバイトばかり。
女の世界はいざこざが多い。あのことは入りたくない、あのこと入りたい。
わがままだった。時には、私が焼き物しながら、一人で昼過ぎまでお店を見ることもあった。接客中にブザーがなる。焼きすぎているのを感じながら、引きつった笑顔でいらっしゃいませという。
ストレスだらけ。さらに女ばかりの店、当時の私は二十歳そこそこの小娘。
百貨店側は、私をなめている。あのえらそうな言い草。
今思い出してもむかつく。いい人がいた。やさしかった。
女ばかりの店でも、他の店と対等に扱ってくれてた。
が。すぐに栄転で遠くに行ってしまった。
無我夢中でがんばった一年だった。
私を助けてくれた二人のフリーターに感謝だ。
一年たって、社長のところに出向いた。
私なりにがんばりました。売り上げも常に洋菓子部門でトップでした。
販売員の育成も私なりにやりました。
そろそろ辞めさせていただきます。
このとき、社長が、私をかってくれてたんだと知った。
だからこそ、新店なのに独りぼっちにされていたのだ。
ほめられて気をよくした。基本的に単純なのだ。
本店に戻ってくるかい?の一言で辞表を破った。
今思えば私はついてた。
本来なら雑用だらけの下っ端時代。
私は下っ端だがひとりなのでトップでもあった。
上の人のジュースを買いに行かされる事もなかった。
本店で働き始める頃には、もうみんな知った仲だった。
チーフも私にどんどん仕事をくれた。
ボーナスも他の二人より常に多かった。
仕事はしんどかったが、やりがいがあった。
自分の仕上げたケーキが追加されるとうれしかった。
ケーキ屋で働いてる実感、販売員に煩わされず、百貨店の人にも煩わされず。ケーキを作るだけでいいのだ。
新製品が出るときは意見も求められる。
こっちのほうがよくないですか?
そうだね!これで行こう!意見が取り入れられる。
他の二人は下っ端の仕事ばかりしている。
ここでも思った。どこで働こうが、本人のやる気しだいで、上に昇れる!




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