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MUSIC LAND -私の庭の花たち-

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「十三夜の面影」13





銀座のバーになんて勤められたら、

僕にはとても通えないよ。

かぐや姫もまさかそんなこと考えないよな。

「私、銀座で働くわ。」

急に大声で宣言するから、

周りの人達まで振り向くじゃないか。

他のフロアレディ達が、何言ってるの

というような冷たい眼差しを向ける。

「そんなことやめろよ。

第一、銀座なんて素人がすぐに

雇ってもらえるところじゃないんだぞ。」

声をひそめて彼女にささやく。

「あら、もう私ここで働いてるじゃない。」

不思議そうに言うけど、

君のほうがよっぽど不思議だよ。

「まだ今日一日じゃないか。」

呆れ顔になってしまう。

「1日だってもう慣れたわ。

どこだって同じでしょ。」

グラスを揺らして、氷の音を響かせている。

カラカラと余裕の笑顔だ。

「銀座は特別なんだよ。

といっても、僕は行ったことないけど。」

「なら分からないじゃない。行ってみないと。」

「分かったよ。行ってみればいいんだろ。」

氷が解けかけたウーロン茶を一気に飲み干す。

「じゃあ、早速行ってみましょうよ。」

「何言ってるんだ。まだ勤務時間中だろ。」

「もうここはいいわ。やめる。」

「なんて無責任なんだよ。

それにさっきの医者がカルテを持ってきたらどうするんだ?」

そうだよ。これでここに引き止められるな。

安心したのも束の間、

「大丈夫。名刺もらっておいたから、

電話すればいいのよ。」

いつの間にもらったのか、

名刺を顔の横で振りながら笑ってみせる。

こういうところは、すばやいんだな。

立ち上がろうとする彼女の肩を抑える。

「どうする気なんだ?」

「やめるって、言いに行くの。」

「本気なのか?」

「私はいつだって本気よ。」

こりゃ止めたって無駄だよな。

僕の言うことなんか聞きゃしない。

肩に置いた手を腕に滑らせる。

「じゃあ僕も一緒に行くよ。」

腕を取って立ち上がらせる。

「そう言ってくれると思ってたわ。」

顔が明るくなって、眩しい。

さっと僕の腕を組むと歩き出した。

どこまで一緒に行くんだろうな。

続き
















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