17054691 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

MUSIC LAND -私の庭の花たち-

MUSIC LAND -私の庭の花たち-

「白蛇の道」3

月夜

仕事から帰ってみると、なぜかまた白蛇が家に居る。

もしかしたらという予感はあったのだが、やはり慣れない。

彼に電話しようかと思ったけど、やめておいた。

もうこれ以上、迷惑はかけられない。

「どういうつもり?」と白蛇に聞いた。

「ここに置いてもらうといったはずだ。」

「でも、今朝は居なかったでしょ。」

「男が居たから、隠れていただけだ。」

彼が来てくれたから、見なくて済んだらしい。

でも、また彼を呼んでも同じことの繰り返しだろう。

頼ってばかりもいられない。

「ここから出て行って欲しいの。」

「嫌だ。出て行くつもりはない。」

「どうしたら出て行ってくれるの?」

下手に出て頼んでみたら、

「男と別れたらいいだろう。」

などと、とんでもないことを言い出す。

「なぜ、彼が関係あるの?」

「男に心が囚われてる限り、お前は許されない。」

「そんなこと蛇に言われる筋合いはないわ。」

蛇に言われたからって、彼と別れるつもりなどない。

もう無視することに決めた。

私が後ろを向いて、言うことを聞かないと分かると、

今度は蛇が前に回りこんできて言う。

「今はそれでもいいが、

きっと後悔することになるぞ。」

「そんなことない。」

言い切ってみたものの、少し不安になる。

彼と連絡を取ろうかとかも思ったけど、

こんなこと言えないよね。

彼とはまだ半年くらいしか付き合っていない。

お互いよく知らないのに・・・。

私が黙り込んでしまうと、

蛇は勝ち誇ったように宣言する。

「やはり別れるしかないな。」

「そんなこと決めつけないでよ。」

彼とのことは私自身が決めるのだ。

もちろん彼の意思も聞かないと。

蛇に取りつかれた女なんて嫌だろうな。

そんなこと考えると憂鬱になってしまう。

せっかくの満月の夜なのに。

一緒に月を見上げていようと言ってたのに。

彼も月を見て、私を想ってくれてるかしら。

花畑ライン

下の「続き」をクリックすると、続きが読めます。

続き


© Rakuten Group, Inc.
X