「白蛇の道」3仕事から帰ってみると、なぜかまた白蛇が家に居る。 もしかしたらという予感はあったのだが、やはり慣れない。 彼に電話しようかと思ったけど、やめておいた。 もうこれ以上、迷惑はかけられない。 「どういうつもり?」と白蛇に聞いた。 「ここに置いてもらうといったはずだ。」 「でも、今朝は居なかったでしょ。」 「男が居たから、隠れていただけだ。」 彼が来てくれたから、見なくて済んだらしい。 でも、また彼を呼んでも同じことの繰り返しだろう。 頼ってばかりもいられない。 「ここから出て行って欲しいの。」 「嫌だ。出て行くつもりはない。」 「どうしたら出て行ってくれるの?」 下手に出て頼んでみたら、 「男と別れたらいいだろう。」 などと、とんでもないことを言い出す。 「なぜ、彼が関係あるの?」 「男に心が囚われてる限り、お前は許されない。」 「そんなこと蛇に言われる筋合いはないわ。」 蛇に言われたからって、彼と別れるつもりなどない。 もう無視することに決めた。 私が後ろを向いて、言うことを聞かないと分かると、 今度は蛇が前に回りこんできて言う。 「今はそれでもいいが、 きっと後悔することになるぞ。」 「そんなことない。」 言い切ってみたものの、少し不安になる。 彼と連絡を取ろうかとかも思ったけど、 こんなこと言えないよね。 彼とはまだ半年くらいしか付き合っていない。 お互いよく知らないのに・・・。 私が黙り込んでしまうと、 蛇は勝ち誇ったように宣言する。 「やはり別れるしかないな。」 「そんなこと決めつけないでよ。」 彼とのことは私自身が決めるのだ。 もちろん彼の意思も聞かないと。 蛇に取りつかれた女なんて嫌だろうな。 そんなこと考えると憂鬱になってしまう。 せっかくの満月の夜なのに。 一緒に月を見上げていようと言ってたのに。 彼も月を見て、私を想ってくれてるかしら。 下の「続き」をクリックすると、続きが読めます。 続き ジャンル別一覧
人気のクチコミテーマ
|