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MUSIC LAND -私の庭の花たち-

「メビウスの輪」7

二人

信吾さんと付き合うようになって、

少し変われたように思う。

今まで自分に自信が持てなくて、

おどおどしていたのに、

彼に愛されてると思うと嬉しくて、

明るく振舞えるようになった。

親からも愛されない子だったから、

存在価値が見出せなかったのだ。

今はとても幸せ。

満ち足りた気分。

でも、時々やはり不安になる。

この幸せがいつまで続くのか・・・。

彼に愛されなくなったらどうしよう。

もしかしたら愛されてると思うことさえ、錯覚なのかも。

でも、この愛を信じなければ、立ってはいられない。

つっかえ棒のように支えてくれてるのだ。

弱い自分が嫌い。

でも、なかなか変われない。

彼だって、それほど強いわけではないと思う。

人間は誰だって弱いものだもの。

それでも、少なくとも私よりは強いかな。

弱さを見せない分、辛いとは思うけど。

私も弱みを見せたくない。

でも、彼になら、分かって欲しいと思ってしまう。

弱さをさらけ出して、甘えたい。

でも、重荷になってしまうよね。

寄りかかるわけにはいかないのだ。

自分で自分を抱きしめてる。

孤独から救って欲しいと願ってる。

温かい家庭が欲しいと願うのも、

この孤独から逃れたいと思うからだ。

今だって、家族はあるけど、

家庭はなかった。

愛人宅に入り浸り、

うちに寄り付かない父と、

遊び歩いてる母。

一人っ子だから、兄弟も居ない。

大きな家に独り残され、

いくらお金やおもちゃをあてがわれても

嬉しくなんかなかった。

そんなとき、彼は初めて出会った

愛せて、愛してくれる人だった。

以前はどちらか一方だったから。

私が愛しても愛してくれず、

愛されても愛せない。

お互いに愛し合えるというのは貴重なのだ。

そんな宝物のような愛を大切にしたい。

彼となら、愛を育てて、

家庭も持てるかしら。

でも、彼は家庭環境も、

経済的にもあまり恵まれてないらしい。

父が許してくれるかしら。

一人娘だから、婿を取って、

会社の跡を継がせると言ってるから。

彼は長男だけど、お姉さんが居るらしい。

継ぐ家業もないようだし、

もしかしたら婿に入ってくれないかな。

虫のいい願いだよね。

でも、彼なら優秀だし、父も気に入りそう。

彼や彼のご両親が承諾してくれれば、

あり得ない話ではないかしら。

卒業や就職もまだなのに、

こんなこと考えてても仕方ないよね。

でも、就職なら父の会社にして欲しい。

なんて、彼はもったいないか。

将来、社長が約束されてればいいかしら。

そのために結婚されるのも嫌だけど。

ささやかでも温かい家庭が欲しいと思っていたのに、

贅沢に慣れた私には、

貧しい暮らしができるかどうか自信がなくなってきた。

そのために彼を恨みたくなどはない。

許されなければ、駆け落ちという手もあるけど、

なるべく祝福されて結婚したいな。

愛だけでも、お金だけでも、

生きてはいけないのは分かってるから、

両方欲しいなんて思ってしまう。

欲張りなのかな。

父から愛情を受けなかった分、

せめてお金くらい受け取りたい。

母の分までね。

母も可哀想な人だ。

いくら贅沢したって、遊んだって、

父は意に介していない。

それどころか、母はそれで満足してるのだろうと

ますます、ないがしろにするのだ。

母はそれに気づいていない。

腹いせのつもりでやってるのだろうけど、

私から見れば、かえって惨めだ。

それでも、私もその真似をするしかないのか。

お金で愛情が買えない代わりに

愛情の埋め合わせにお金をもらう。

それでしか父に復讐できない。

母を反面教師にしたかったのに、

私は母を超えることは出来ないのか。

でも、彼と幸せな家庭を築いて、

父や母に見せつけてやる。

あなた達が得られなかったものを

私は手に入れたのだと誇りたい。

彼とならそれが出来ると信じてる。

お金や地位に振り回されない人だと思うから。

財産目当てで、私に近づいたのではないと

信じているから。

彼に話してみようかしら。

その前に父に言ってみるか。

なかなかうちには帰ってこないし、

話す機会もないなあ。

愛人宅に行くのも嫌だから、

会社に行くしかないか。

仕事の邪魔するのも恐縮だけど、

たまには娘の話も聞いて欲しいよね。

いざとなったら、昔の性的虐待も

交換条件になるかしら。

私って、こんなに強かったのかな。

彼と一緒になるためなら何でもするわ。

かといって、無一文で放り出されるのは嫌。

両方手に入れたいのだ。

まだ、彼からプロポーズもされてないのに、

気が早いよね。

でも、彼には結婚するまでというか、

子供を生める状況になるまで、

最後の一線は許さないと言ってるから、

結婚も考えてくれてるのだろう。

せめて就職してくれなければ、

出来ちゃった結婚も出来ない。

どうせ、就職するのなら、

父の会社にと勧めるには、

やはり先に父に話をつけないと。

とにかく会社に行ってみよう。

父は黙って話を聞いていたけど、

「考えておく」と言ったきり、

仕事に戻ってしまった。

本当に考えてくれるのだろうか。

まずは新入社員として雇い、

彼の性格や仕事ぶりを見るのだろうな。

彼なら大丈夫だとは思うけど。

彼だって、最初から優遇されたら、

居心地悪いだろう。

実力を認められたい人だし、

人一倍負けず嫌いだからな。

合唱だって、初心者なのに、

ボイストレーニングは、運動部仕込みの筋力でやってのけ、

歌は人の何倍も練習して、パートリーダーにもなった。

成績だって優秀だし、体力もある。

何より、根性があるし、肝が据わってる。

これなら、社長の椅子に座っても大丈夫と

私が太鼓判を押してしまう。

父が認めるかどうかは、やってみないと分からないけど。

とにかくまずは父の会社に入って、認められることが先決かな。

彼にもそう頼んでみよう。

もし私と結婚したいのならお願いと。

嫌だと言われたら仕方ないけど、諦めよう。

彼の将来を棒に振らせるわけにはいかない。

彼ならもっと大きな会社に就職できるのだから。

それでも、私を選んでくれたら嬉しい。

私は彼にどこまでも付いていくわ。

続き


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