童話「ベラのペンダント」3童話「ベラのペンダント」1・2を読んでから、3を読んでいただくと分かりやすいと思います。 童話「ベラのペンダント」3 でも、なぜ祖母はこのおくるみのことを 話してくれなかったのだろうか? 蒼いペンダント以上に、 実の父母の重要な手がかりかもしれないのに・・・ 祖母と言っても、実の祖母ではない。 死んだと聞かされていた父母さえ、 実際には居なかったみたいだから、 義理の祖母とも言えなかったのだ。 母と言わなかったのは、 年齢がいっていたせいもあるのだろうけど。 でも、本当は何者なのだろうか・・・ かえってその方が知りたくなってしまう。 なぜ、実の父母から赤ちゃんのベラを預かったのか? それとも、どこからか奪ってきたのか? 知りたいような知りたくないような・・・ ともかく、おくるみとペンダントを持って、 このうちを出て、父母を探そう! 当てはないけど、山の向こうの隣国に居るとだけ 祖母は言い遺していた。 行ってみるしかない。 そう思うと居ても居られなくなって、 祖母が残したお金をつかんで、 外に飛び出した。 つつましい生活をしていた割には、 探す旅費の為か、思ったより残されていた。 でも、どれぐらいもつだろうか。 それに、年端もいかない少女が一人で旅するのも不安だ。 サロは早く旅立てというけれど、 希望と不安が葛藤する。 ベラは一人途方に暮れ、 空を見上げていた。 もう日が傾き、雲が赤く染まっている。 今日はもう旅立てない・・・ なぜかホッとしてしまった。 明日こそ旅立とうと自分に言い聞かせ、 早く眠りに就こうとするが、 頭が冴えて、寝られない・・・ 考えれば考えるほど分からない。 考える材料さえないのだ。 ともかく寝ようと布団をかぶった。 あのおくるみもベッドカバーのように布団の上にかけてみた。 なんとなく、母親に抱かれているような安心感がある。 その夜、不思議な夢を見た。 天使のような子ども達が、ベラを誘導する。 私を祖母の待つ天国に連れて行ってくれるの? マッチ売りの少女か、フランダースの犬みたいに・・・ なんて、私はまだ死ぬわけにはいかない。 せめて実の父母と会うまでは。 そして、祖母が何者か知るまでは・・・ そう思うと、天使は遠くに飛び去り、 山を越えて行った。 やはりあの山の向こうへ行けということか? 自分もいつのまにか空を飛び、 山を越え、天使に追いついていた。 そしてその眼下に広がっていた風景は、 貧しいこの国とは全然違う華やかな世界だった。 金色に輝く小麦畑に、美しい石造りの建物。 そして丘の上に建つきらびやかな宮殿。 遠目から見ても、贅を尽くした造りとわかる。 なぜか初めて見たとは思えない。 いつか見たとしても、赤ん坊が覚えているわけがない。 もしかしたら前世の記憶なのかも・・・ そんなことを考えているうちに、 目が覚めて、夢だと気がついた。 この夢を見た今日、出かけよう! 正夢になるかもしれない。 そう思ったら、不安も薄れ、 慌てて旅支度を始めた。 「続き」 をクリックすると続きが読めます。 |