童話「ベラのペンダント」4童話といっても、子供向けではないのですが、 物語という意味で童話と言わせてくださいね。 なんて久しぶりに続きを書くので、 良かったら、今までの1・2・3の話を読んでみてください。 3には、1・2からリンクで飛べます。 「ベラのペンダント」4 ベラは夢から覚めると 荷物をまとめて背負い、 祖母が遺した金貨を皮袋に入れ、 両親の手がかりだという 碧く光るペンダントを首に下げた。 そして多分祖母が自分を連れて来たときに 包んでいたと思われる 絹の色鮮やかなおくるみを肩に羽織った。 ベラの荷物はただそれだけ・・・ 着物も大してないから、 背負う荷物も重くない。 少女のベラにはそれで十分だった。 ただ、育ててくれた祖母の温かい思い出と 「両親を探して幸せになれる」との 言葉だけが自分を支えてくれていた。 夢の天使が導いてくれた あの山の向こうの隣国へ行ってみよう。 夢で見たように、黄金に波立つ麦畑や 石造りの町並みの先に 丘の上の宮殿がそびえたっているのだろうか。 不安にかられ、旅立つ気力が無くなってしまいそうだが、 勇気をふりしぼって、今日こそ出かけるのだ! 隣家のサロに別れを告げ、 ベラは一人旅立った。 サロは見送っていたが、 ベラは振り返らなかった。 ただ、後手を振っただけ・・・ 最後まで子どもらしくないと思いつつ、 サロも思わず涙ぐんでしまった。 小憎らしい子と思っても、 小さい頃から見守ってきたのだ。 あのおくるみに包まれて連れて来られた日から。 ベラはもう後ろを振り向かないと決めた。 その決心の表れがサロとの別れだ。 あの山を越える時、関所がある。 それを通過できなければ隣国には入れない。 少女一人で通してもらえるものだろうか? 「続き」 |