童話「ベラのペンダント」9童話「ベラのペンダント」9です。良かったら、最初から読んでみてくださいね。 童話「ベラのペンダント」1・2です。 フリーページの最後の「続き」をクリックしていただくと続きが読めます。 また、挿入歌として「遥かなるあなたへ」を作詞作曲してみました。 上の題名をクリックしてみてくださいね。 ベラは熱にうなされながら祖母の夢を見ていた。 「おばあちゃん、なんで居るの? 死んじゃったんじゃないの?」 「そうだよ。だからベラはこっちへ来たらダメなの。」 「もう疲れちゃった。おばあちゃんのところに行きたいな。」 「お父さん、お母さんに逢うんだろう。それまでは頑張らないと。」 祖母は励ますように頭を撫でた。 生きてる頃はこんな風に甘えさせてくれたことはなかったのに。 だからベラもつい甘えてしまったのだ。 「どうすれば、お父さん、お母さんに逢えるの? 何かヒントをちょうだい。」 「そうだね・・・。聖マリア教会へ行ってごらん。」 「そこにお父さん、お母さんが居るの?」 「教会の牧師夫人のテレサを訪ねて、私の名前を言うんだ。 そうすれば、両親のことを教えてくれるだろう。」 「なんでその人に訊かないといけないの? おばあちゃんは知らないの?」 「私はテレサからお前を預かっただけだ。詳しくはテレサにお聞き。」 そう言うと、祖母は遠く消えていった。 「おばあちゃん、待って!」叫ぶ自分の声で目覚めた。 「ベラ、大丈夫か?」と覗き込むユリウスの心配そうな顔が目の前に。 「おばあちゃんは?」辺りを見渡しても、どこにも居ない。 「本当にどうしちゃったんだ?」と額に手を当てるユリウス。 不思議なことに熱が下がってる。祖母が助けてくれたのだろうか。 ユリウスは人を呼んできてくれていた。親切そうな老人だ。 「子どもが二人だけでどこに行くってんだ? こんなところに居たら凍え死ぬから、 とりあえずうちに来なさい。何か温かいものを食べさせてやろう。」 「ありがとうございます!」二人は喜んでお礼を言った。 ベラはユリウスに支えてもらいながら、老人のうちまでなんとか歩いていった。 老人が奥さんに「何か料理を」と頼むと、「まったくもう」と文句を言いながらもスープを出してくれた。 あまり具は入ってないが、貧しい中で分け与えてくれてるのだ。感謝しないと罰があたる。 冷え切った体が中からじんわりと温かくなっていった。心までも。 ベラは石のスープを思い出してしまった。 私がスープの石を持っていればと思いつつ、なぜか自分のペンダントを胸から取り出していた。 「このペンダントを見たことはありませんか?」 蒼く煌めくペンダントを魅入られるように覗き込む老夫婦。 「見たことはないけど、綺麗だねえ」 うっとりと眺めながら、老夫婦は口々に言う。 「そういえば、お城の中には青い宝石がちりばめられてると聞いたことがあるなあ」 「そうね。入ったことないからわからないけど、こんな青さなのかしら?」 「そのお城はどこにあるんですか? あと、聖マリア教会も教えてください。」 と急きこんで尋ねるベラ。 「お城は遠いけど、聖マリア教会なら割と近いな。 今夜はうちに泊まって、明日案内してあげるよ。」と老人は言った。 「ありがたいのですが、できたらすぐに行きたいのです」と頼み込むベラ。 「なんでそんなに急いでいるんだい?」 「私の両親のことを知ってるテレサさんという牧師夫人が居るからです」 「テレサならよく知ってるよ。それならすぐに行こうか」 老人はベラを連れて出て行った。 ユリウスはあっけにとられながらも、慌てて二人についていった。 (続き) |