童話「ベラのペンダント」12童話「ベラのペンダント」12です。良かったら、最初から読んでみてくださいね。 童話「ベラのペンダント」1・2です。 フリーページの最後の「続き」をクリックしていただくと続きが読めます。 また、挿入歌として「遥かなるあなたへ」を作詞作曲してみました。 上の題名をクリックしてみてくださいね。 ![]() ![]() 牧師夫人テレサの紹介で貴族のスコッチ家の養女となったべラは、 美しく気品のあるレディに成長していった。 亡くした娘の代わりに愛情込めて育ててくれた義母セリーヌのお蔭で。 宮殿の舞踏会にデビューする17歳の誕生日も迎え、実の父の王と逢える日も近づいてきたが、 ベラは期待と同時に不安も募り、ふさぎ込む日が多くなった。 「このごろ元気がないわね。どうしたの?」と心配するセリーヌ。 「なんでもありません。ただ舞踏会デビューが少し不安なだけ。」と言いながらもべラは顔を曇らせる。 「大丈夫よ。私に任せておいて。ドレスもアクセサリーも整えてあるわ。 あなたはこうして礼儀作法も十分身に着けてるんだから、自信を持って」 「ありがとうございます。でも、こんな私がデビューして王様に逢えるのでしょうか。」 「そうね。デビューの時に一度だけご挨拶できるから、そのためにももっと磨かないとね。」 セリーヌは自分のことのように浮き浮きしていた。 「ダンスも申し込まれるだろうから、練習しておかないと」と言って、ユリウスを呼び出した。 幼馴染のユリウスは、下男として奉公していたが、時々ダンスの練習相手として駆り出されてもいたのだ。 背も高くなり、ダンスなど一通りの教養も教え込まれていた。 べラはダンスしながら「ユリウス、王様に逢う時、どうしたらいいのかしら・・・」といつになく心細そうに言う。 「ベラお嬢様にしては弱気ですね」とからかい口調のユリウス。 「失礼ね。でも、こんなことはユリウスにしか言えない」と切なく見上げるベラ。 ドキッとしながらも、「そんなこと言ってたら、王様に娘だと告白することも、 王妃に復讐することもできませんよ」と平然と言い放つ。 「そうよね。でも、舞踏会で挨拶できるのはデビューの時だけ。 あまり身分の高くないスコッチ家にはそんなに逢えるチャンスはないわ。」 「そこをなんとかするのが、ベロお嬢様でしょう。」と言いながらもユリウスも考え込んでいる。 「そうだ! あの青い宝石のペンダントをしていったらどうですか?」と手を打った。 「私が実の母からもらったペンダントね。でも今の母がアクセサリーも用意してくれてるわ」 「それなら、最初は奥様が用意したアクセサリーを付けて、後から取り替えればいいですよ。」 「それか、王様に挨拶で握手するときに渡すとか」 「それでは、王妃に気づかれてしまうかもしれませんよ」 「かえって、身に着けてる方が王妃に見られるんじゃない?」 「そうですね。贈り物として箱に入れて王様に渡すとかではどうでしょう」 「大仰になりすぎるわ。やはり身に着けて、握手の時、王様にだけ見えるようにするしかないかな。」 「難しいですね。それはまた後で考えるとして、今はともかくダンスの練習ですよ。」 と振り切るように明るく言うユリウス。足の止まったベラを引っ張るようにダンスを促す。 「そうね。社交界デビューもいいけど、気が重いなあ」と気落ちしていたベラも、つられてダンスを始めた。 「考えすぎるのがベラお嬢様の悪い癖ですよ」と言うと 「ユリウスは相変わらず脳天気なんだから。」と言いかえす。 二人で笑い合って、ダンスの練習は終わった。 (続き) ジャンル別一覧
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