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MUSIC LAND -私の庭の花たち-

童話「ベラのペンダント」14

童話「ベラのペンダント」14です。

良かったら、最初から読んでみてくださいね。

童話「ベラのペンダント」1・2です。

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ベラはうちに戻り、早速ユリウスに宮殿であったことを伝えた。

「王様が、お父様が、青いペンダントに気づいて私を呼んでくれたの。

母が王妃に殺されたことも、私が娘だっていうこともわかってくれた。

その上、妹のロザリーの学友になれるように手配してくれるんですって。」

と一気にまくしたてるベラ。

「そうなんですか。良かったですね。ついに夢が叶ったじゃないですか。」と喜びながらも、

「そうなのよ。うれしすぎて信じられないわ。」

と夢見心地のベラを冷静に見ているユリウス。

「学友ですか。王妃に王の娘と悟られないといいのですが。」

「そうだったわね。つい忘れてた。」

ハッと我に返ると、だんだん恐ろしくなってきた。

「気をつけてくださいね。かえって王妃に近づけるチャンスでもあるのですが。」

「そうね。でも、私は今復讐する気になれないの。」

「なんでですか? お母さんを殺した憎い女でしょう?」

ユリウスの方がベラより王妃を憎んでるような口調だった。

「もちろん、王妃は憎いわ。でも、今はお父様や妹とゆっくり過ごしたいの。

家族の居ない私にやっと家族が出来るのよ。」

「今のお母様、奥様がいらっしゃるじゃないですか。」

「お母様は私を通して亡くなった娘を見ているのよ。私は身代わりだわ。」と淋しげに言う。

「それでも、こんなにベラお嬢様を可愛がってくださったのに。」

「感謝はしてるわ。でも、私自身を愛された感じがしないの。

王様、お父様に抱きしめられたとき、ああこれが家族なんだなと実感したのよ。」

ベラの複雑な心境がユリウスにもわかるような気がしたが、わかりたくないとも思い、

「そうだったんですか。じゃあ今のところは平穏に家族ごっこを楽しみたいと?」と挑発した。

「家族ごっことはひどいんじゃない?」

「でも、娘として公表する気はないのでしょう?」

「そんなことしたら、それこそ王妃に殺されちゃうわ。」

「殺される前に殺せばいいじゃないですか。」とユリウスは言い放つ。

「ユリウスは変わったわね。明るく能天気だったのに。」ベラは呆然とユリウスを見上げた。

「変わってなんかいませんよ。僕は元々こういう冷たい人間です。

ベラお嬢様がそれに気付かなかっただけです。」

「私についてこなければ、そんな風になることもなかったのよね」

「いい加減にしてください。じゃあもうベラお嬢様には関わりませんよ」と言ったと思うと

ユリウスは部屋を足早に出て行ってしまった。

「待ってユリウス、ごめんなさい。」とベラが追いかけても、振り向きもしなかった。



 ユリウスは憤然としていた。ベラに怒ってるのではなく、自分にだ。

ベラの為に何も出来ない自分が悔しい。

ベラが王妃に復讐しないのなら、自分が代わって王妃に復讐しようと思った。

でも、ベラに気づかれてはならない。ベラを危険な目に遭わせたくないのだ。

だが、スコッチ家の下男に過ぎない自分がどうやって宮殿の王妃に復讐できるのか。

せめてベラの護衛として、宮殿への送り迎えをさせてもらおう。

そうすれば、ベラが学友として過ごしてる間に、宮殿に入り込めるかもしれない。

ベラとは仲たがいしてしまったけれど、奥様には信頼されてるから指名してもらえるだろう。

かえってベラと少し距離を置いていた方が、安心されるかもしれない。

いくら幼馴染とはいっても、お嬢様と下男なのだから。



 こうしてユリウスはベラと共に宮殿へ、馬車の御者として日参することとなった。

別の馬に乗り、護衛として行きたかったのだが、スコッチ家にはそれほど余裕が無いのだ。

そんなスコッチ家の令嬢ベラが王女ロザリーの学友になること自体、

王妃以下みんなに不審がられてはいたが、

王様のたっての願いということで、承服せざるを得なかった。

ロザリーさえ最初は、なぜそんな身分の低い貴族の娘と学友にならなければいけないのかと疑問に思ったが、

逢って話していくうちになぜか親しみを感じ、姉みたいに慕うようになっていった。

もともと兄弟姉妹もなく、話し相手も少なかったから、ベラと話す時間が貴重だったのだ。

ベラも学友というより、ロザリーを妹という温かい眼差しで見ているせいか、ますます仲よくなっていき、

そんな二人を父である王様は微笑ましく見守っていた。

ただ、王妃だけは溺愛するロザリーを取られたような気さえして、ベラを快く思っていない。

ユリウスはといえば、宮殿の御者部屋で待つうちに、他の御者や召使いと仲よくなって、

宮殿内も案内してもらえるようになり、王妃の居る部屋も教えてもらった。

ただその奥の間までは、とても入れそうにない。

ユリウスはその手段を考え、機会をうかがっていた。

(続き)




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