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MUSIC LAND -私の庭の花たち-

童話「ベラのペンダント」18

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ベラは、王妃に殺されたと思ってた母ライザに逢えてうれしかった。

だが記憶喪失とはいえ、自分を忘れて別の家庭を持ち、息子まで育てていた事実は

やはり受け入れがたく、複雑な思いだった。

でもそんなことはおくびにも出さず喜んでみせ、父である王様にも逢わせようとしている。

自分にも母にも嘘をついてるような罪悪感、心の内を見せられない哀しみ・・・

母に甘えたいのに甘えられない。母にずっと育てられていた息子なら遠慮なく甘えられるのだろうか。

うらやましく、ねたましくもある。

母を殺そうとした王妃も憎いけれど、母が生きてると知って、それも少し薄らいできた。

その代り、母への愛情の裏返しなのか、今まで放っておかれたことの恨みのようなものが渦巻いてくる。

愛されてこなかったのがくやしい。これから取り戻せるものだろうか。

母はまだ記憶を完全には取り戻していない。なぜ、私を見ても思い出せないのか。

赤ん坊のころにテレサに預けたきり、会ってないのだから無理はないけど。

母子共々殺されそうだったからとはいえ、人にわが子を預けるとは。

仕方ないと頭では分かっていても、心では捨てられたのではと思ってしまう。

テレサからエリーゼの預けられ、エリーゼの死後はまたテレサを経てスコッチ家の養女と転々としてきた。

自分の居場所がわからない。王にも娘と信じてもらい、妹ロザリーの学友として王宮にもあがってる。

でも、それはあくまでも王とベラしか知らない秘密で、ロザリーさえも知らないのだ。

王妃が気づいてるのでないかと内心不安で仕方ない。

母の前では大丈夫と強がって見せたけれど、母と王を会わせるなんて、

危険極まりないことは承知してる。それでも会わせようとするのは、

もしかしたら、私は母をまた王妃に殺させようとしているのかも。

そう考えると自分でも空恐ろしくなってくる。

私だけでも王妃に目を付けられて危ないというのに、母まで巻き込もうとしている。

というか、母のせいで私が恨まれているのだろうけど。

母を王を会わせないで、元の家庭に戻らせた方が母は幸せなのかもしれない。

まだ記憶が戻ってないのだから、そのまま忘れてしまえばいいのだ。

私のことも? でもそれはあまりにも悔しい。私はなんのために生まれてきたのか。

父と母の愛の結晶のはずなのに、秘密にされ、忘れられたままなんて。

いっそのこと、母子ともども王妃に殺されてしまってもいいかも。

そうすれば、王もロザリーも私たちのことを忘れられなくなる。

王妃だって、罪悪感にさいなまれるかもしれない。

でも、復讐の為に自分の命を投げ出すなんてことはバカらしい。

かといって、王妃を殺しても、また死刑になるだけだろう。

そういえばユリウスは大丈夫かしら。

送り迎えで王宮に一緒に上がる度に目つきが鋭くなってきた気がする。

王妃にやられる前にやってやろうなんて考えていないかしら。

このごろ、幼馴染というより、主従関係を重んじてか距離を取ろうとしてるから、

あまり話しかけづらいのだけど、何を考えてるか知りたい。

私が思ってることも打ち明けて相談したいのだけど、取りつく島が無い感じ。

友達はユリウスしかいないのにさみしいなあ。

ひとりで考えてると、堂々巡りで悶々と落ち込んでしまう。

母の親友のテレサにも相談できない。

もちろん父や妹にもね。

ロザリーは憎い王妃の娘だけど、同じ父の娘で妹だから可愛い。

何も知らずに懐いてくれるから。

でも、もし私が王の娘で姉と知ったらどう思うだろうか。

王妃から王を奪った女の娘と憎むかも。

私はどうしたらいいんだろう。

わからなくなってきた。こんな思いをひとりで抱えてるのはつらい。

やはりユリウスしか居ないのかな。

続き


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