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MUSIC LAND -私の庭の花たち-

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歌「思い出すこと」



ぜひ聴いて、ご感想、ご批評聞かせて下さい。
よろしくお願い致します。

が聴けます。

作詩 回覧板(わんこ)さん

歌を聞きながら、別れた人を思い出す切ない歌です。

「思い出すこと」

あなたが好きで、歌ってくれた。
よく歌ってくれた。
録音して、僕に
歌わせようとまでした。
その歌を、今聞いている

僕の体のなかで
あなたが、腕を広げるよ

その歌を聴くと
あなたが小さな頃は
どんな娘だったのか
眼を瞑って、遠く思いを馳せる

少女のあなたが、精一杯に
細い腕を広げて
向かってくる

まるで
いつも繰り返されている
誕生と生の終わりのように
あなたは
僕が抱えているものを
確かめにやってくる

どうやら
僕は父親のようだね

波に追いかけられて
むしゃぶりつくように
戻ってくる

今にも泣き出さんばかりに
あなたは
ほんとうの慈しみを抱えて
海から上がって来た、
いたいけなおさなごだったのだ。

その腕の中には
いつも繰り返されては
誰もが気づかずにきた
ほんとうの悲しみが
抱えられていた

娘のようにあどけない
あどけない
悲しみが。

そうだね
僕達は、いのちを抱えて
海から上がって来たんだ

ときどき君のなかに海を見ることがあった

ほんのりと輝く
三日月とともに
追いかけられた波を眠らせて
静かな砂浜で
ひとりで踊る小さな記憶。
いまでは老人となってしまった
僕のかたわらで

あなたが好きで歌ってくれた
よく歌ってくれた
僕達のうた。
会えなくなってしまう
小さな夜には
それぞれの居場所で聴こうと
しめし合わせた
うたなのに

それをひとりで聴いている

誰も来ない
秋の夜の海で

髪は真っ白くなり
あなたの好きだった細い指も
今では
大きな皺で盛り上がり
浜風をすくう。

あなたの死に顔を
とうとう見られなかった

やっぱり、僕の方が
生き残ってしまった

この歌を聴くたびに
少女のあなたが
小首をかしげて振り返る

まるで
いつも繰り返されている
誕生と生の終わりのように
僕が抱えているものを
確かめにやってくる

僕と君が
いのちを抱えて
上がってきた
海のほうから

娘のように
あどけなく

娘のようにあどけなく




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