次女ミンミお勧めの小説
「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」を読みました。
ミンミ手作りのブックカバーに入れて、講演会への行き帰りの電車の中で読み終えました。
桜庭一樹作です。
初めて読む作家ですね。
BOOKデータより。
「大人になんてなりたくなかった。傲慢で、自分勝手な理屈を振りかざして、くだらない言い訳を繰り返す。そして、見え透いた安い論理で子供を丸め込もうとする。でも、早く大人になりたかった。自分はあまりにも弱く、みじめで戦う手段を持たなかった。このままでは、この小さな町で息が詰まって死んでしまうと分かっていた。実弾が、欲しかった。どこにも、行く場所がなく、そしてどこかへ逃げたいと思っていた。そんな13歳の二人の少女が出会った。山田なぎさ―片田舎に暮らし、早く卒業し、社会に出たいと思っているリアリスト。海野藻屑―自分のことを人魚だと言い張る少し不思議な転校生の女の子。二人は言葉を交わして、ともに同じ空気を吸い、思いをはせる。全ては生きるために、生き残っていくために―。これは、そんな二人の小さな小さな物語。渾身の青春暗黒ミステリー。 」
短いというのもあるけど、一気に読み終えてしまうほど面白かったですね。
虐待や暴力という悲惨な状況も、なぜか悲しく美しく感じられてしまう・・・
最初から手の内を明かしていながら、引き込んでいく文章力。
ネタバレしてしまうけど、解説を引用します。
「われわれは藻屑の運命を知っている。13歳の10月4日に
殺される少女として、悪童っぽく生きている彼女が、われわれの前で、
変貌し、謎めき、大きくなり、殺されつつ、殺されることによって、
邪悪な暴力を超える存在、天使になって<あたし>の中に降ってくるのを
われわれは<あたし>と共に体験する。
「大人になって自由になったら。だけど13歳ではどこにもいけない。
子供はみんな兵士で、この世は生き残りゲームで。そして。
大人になる前に、自由になる前に殺されてしまった。
生き残った子供だけが大人になる。大人になった者だけがリアリストになる。
そしてリアリストだけが夢をみる。記憶の闇を探ることができる。
現世・現実の世界に地獄をみることの出来る者は、
曇りなき目の持ち主の大人だけである。
その同じ目が、同時に、この世を浄土としてみることができる。
最終の場面をもう一度読んでみよう。
どこかで小鳥が鳴いていた。
あたしはそこに積まれたものに走りより、立ち止まり、凝視した。
そして、分割されてていねいに積み上げられている、もう動かない友達を見た。
藻屑は瞳を見開いて、怯えているようなあきらめているような悲しい表情のままで時が止まっていた。いつか見たことのある表情だった。
ぶぅん・・・・・・と大きな蝿が一匹、飛び回っていた。
描写されているのは小高い丘の林の中、藻屑の生首だ。
しかしここには地獄だけでなく、浄土の雰囲気もある。地獄と浄土を同時に見ている。
もちろん、それは<あたし>ではなく、本当の語り手である作者だ。
桜庭一樹はそのような目の持ち主であることを『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』一作で、鮮烈に証明した。」
本当にそう思うし、他の本も読んでみたくなりましたね。
このごろ次女ミンミお勧めの本を読んでる私。
別の作家だけど、もう一冊お勧めがあるそうだから、
それも読んでみようかな?