MUSIC LAND -私の庭の花たち-

2012/03/20(火)23:39

ドナルド・キーン氏講演会に行きました。

講演会など(54)

ドナルド・キーン氏講演会に申し込み、抽選に外れたのですが、 隣の部屋でライブ中継してくれるということで無料招待してもらいました。 1人2000円の参加費で2人で4000円かかるところ、無料だからね。 主人が行きたがって申し込んだので、私はライブで十分かな。 しかも?会場のビルYUITOの優待券1000円も2人分で2000円貰えました。 参加費無料で貰っては、申し訳ないみたいだけど。 それはともかく、講演会ですよね。 ドナルド・キーン氏講演会。パンフレットより引用。「~震災から一年、愛する日本へのメッセージ~。 「夏草や兵(つわもの)どもの夢の跡」 昔、松尾芭蕉が詠んだ句です。 「日本の景色は変貌しても、日本語の読める人間が存在する限り、 文学の美によって、深長な意味を保ち続けられる。」とドナルド・キーン氏は語っておられます。日本文学のなかにある変わらない日本の本質とは・・・今回はドナルド・キーン氏から。これからの日本への想いについてお話をいただきます。」【第一部】ドナルドキーン氏「東北の風景~奥の細道から」【第二部】鳥越文蔵氏「日本文学にみる人情~近松門左衛門作品より~」【第三部】対談 ドナルド・キーン氏×鳥越文蔵氏 【第一部】ドナルド・キーン氏 「東北の風景~奥の細道~」軍隊で四年間、敵性語の日本語の勉強をして、 日本兵の日記なども翻訳していた。 軍隊を除隊後、大学に戻り、日本文学を学びだした。 英訳で源氏物語を読んだが、日本語で読みたいと思った。 「奥の細道」で俳句と出会い、表現が美しく、意味が深いと思った。日本に行って、芭蕉の足跡をたどりたい。終戦後、中国からアメリカに帰る途中、本部がハワイなのに、横須賀?と偽って、日本に寄った。「日光を見ないうちは結構と言うな」という言葉を日本語の教科書で見て、一度日光に行ってみたいと思って行った。二度目、また日光から奥の細道をたどり始めた。宿に白米を持っていったら、玄米に取替えられて出てきた。仙台、塩釜、松島など回った。松島では、自然が美しいのに、悪趣味な店と遊覧船のアナウンスでがっかり・・・瑞巌寺では紅梅・白梅がすばらしいのに、ガイドがマイクでうるさい・・・平泉中尊寺は、日本で最も美しいところ。地震・津波の被害にあまり遭わなくて良かった。変わらないことを心から祈ってる。日本には感謝してる。 【第二部】鳥越文蔵氏「日本文学にみる人情~近松門左衛門作品より~」浄瑠璃の金太郎節。金太郎の息子、金平(きんぴら)は、とても強かったことから、きんぴら牛蒡の語源。歯ごたえがあることから。また、近松門左衛門の「曽根崎心中」は悲劇としては革命的とキーンさんは言う。(金さんと聞こえてしまった・・・)普通、悲劇は身分の高い人達が不幸になる。シェークスピアの悲劇は王様や貴族。それなのに、曽根崎心中では、手代に遊女と身分は低く、弱虫で惨めだ。でも、道行(心中)の時は、歩きながら背が高くなったかと思うほど、高貴になる。近松門左衛門の描く男はだらしなくて情けない。女の方がしっかりしている。虚・実が対比されている。難波みやげの中の一文。「芸というものは、虚と実、皮と肉の間にあるもの。間に慰みがある。浄瑠璃は情を見せるもの。情の中に慰みがある。生きてない人形に情を語らせる。「曽根崎心中」が、浄瑠璃、歌舞伎共に1000回以上上演され、人気があるのは、情があるから。 【第三部】対談「国敗れて山河あり」芭蕉は山河の永久性を否定?日本兵の日記を翻訳していたが、日本に居た時の日記はいいことばかり。南洋の島に渡ってからの日記は、食料がない、マラリヤにかかるなど悲惨・・・英語で「この日記をアメリカ兵が見つけたら、日本の家族に渡して欲しい」と書いてある日記があった。渡すつもりで保管していたのに、没収されてしまった。日本語の恩師角田教授は、キーン氏のためだけに授業をしてくれた。キーン氏「私はやりたいことばかりやってきた。仕事だといって我慢したことはない。」谷崎潤一郎、永井荷風、三島由紀夫、阿部工房、坪内逍遥などの文学者とも交友。永井荷風の家や服装は汚かったが、話す日本語はとても綺麗だった。「隅田川」を読んだら、泣けない自分が泣けて、翻訳した。谷崎潤一郎は「細雪」を、「源氏物語」の翻訳者に送ってきた。その翻訳者は「細雪」を読んで、「源氏物語」と比べたのか「平凡」と言っていた。日本は終戦後、50年は復興しないだろうとアメリカでは言われていた。一緒に日本語を学んだ同士は、50年も待てないと皆日本語を捨て、忘れてしまった。私は日本語が好きになって、日本に留学してきた。戦後、復興できたのだから、震災からも復興できる。日本国民を信頼している。オペラは日本では高く、ヨーロッパまで行った方が安いが・・・魚が美味しくて好きで、新潟ではノドクロという珍しい魚も食べた。ともの浦は、とてもいいところと言ったら、人口が増えた。「昔は良かった」と言いたくない。「今がいい」と言えるようになってほしい。 とりとめのない話で、飛んだりするけど、それなりに面白かったです。ランチで、少しお酒を飲んでしまったせいか、キーン氏の講演中、少しウトウトしてしまった・・・やはりたどたどしい語り口で、聞き取りづらいというのもあったかも・・・鳥越氏の話は、わかりやすい。対談も、長年の友人関係ということもあり、和気藹々としていた。先日の上野千鶴子氏の対談の方が刺激的で面白かったけど、キーン氏と鳥越氏の対談も、ほのぼのとしていいかも。

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