小説「傲慢と善良」(辻村深月)を一気に読んでしまいました。心理描写や分析が鋭く、惹きこまれます。
小説「傲慢と善良」(辻村深月)を一気に読んでしまいました。心理描写や分析が鋭く、惹きこまれます。辻村深月は千葉大学教育学部卒で、私と一緒だから親近感が湧きます。まあ、年は全然違うけどね。あらすじ。「傲慢と善良」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|辻村深月前半は西澤架の視点からで、後半は坂庭真美の視点からです。同じことでも感じ方はそれぞれ違う。婚活がこんなに苦しいものだったとは。私も結婚相談所の紹介で再婚したから、割と理解できるけどね。結婚相談所の小野里が言う言葉が当たってるだけに怖い。「『高慢と偏見』とい小説を知ってますか?・・・18世紀末から19世紀初頭のイギリスの田舎での結婚事情が描かれてる小説。当時は恋愛・結婚するにも、高慢(プライド)と偏見が邪魔してうまくいかなかった。」「対して現代の結婚がうまくいかないのは『傲慢さと善良さ』にあるような気がします。現代の日本は、目に見える身分差別はもう無いですけど、一人一人が自分の価値観に重きを置きすぎていて、皆さん傲慢です。その一方で、善良に生きている人ほど、親の言いつけを守り、誰かに決めてもらうことが多すぎて、”自分がない”ということになってしまう。傲慢さと善良さが矛盾なく同じ人の中に存在してしまう。不思議な時代なのだと思います。その善良さは、過ぎれば、世間知らずとか、無知ということになるのかもしれないですね。」これは、真美のことを指して言ってるのかと思っていたけど、ある意味架にも当てはまってるかもしれない。架が「婚活につきまとう『ピンとこない』って、あれ何なんでしょうね?」と小野里に訊くと、「ピンとこない、の正体は、その人が、自分につけている値段です。値段、という言い方が悪ければ、点数と言い換えてもいいかもしれません。その人が無意識に自分はいくら、何点とつけた点数に見合う相手が来なければ、人は”ピンとこない”と言います。私の価値はこんなに低くない。もっと高い相手でなければ、私の値段と釣り合わない。ささやかな幸せを望むだけ、と言いながら、皆さん、ご自分につけていらっしゃる値段は相当高いですよ。ピンとくる、こないの感覚は、相手を鏡のようにして見る、皆さんご自身の自己評価額なんです。」架が真美につけた点数は70点だった。結婚した気持ちは70%と女友達に言ったのは点数だったのだ。それを、架の女友達から聞いてしまった真美。ショックだったし裏切られたと感じた。ストーカーが自宅にまで忍び込んで怖いと架に助けを求め、架宅に転がり込み、結婚の申込みをさせたくらいだったのに。その嘘さえも女友達は見抜いて、上手くやったわねと言われてしまう。言わないでおいてあげると言うけど、最後にはやはりばらされてしまう。架はストーカーの話を信じて、長い間探し回っていたので。哀しい嘘ですよね。そこまで真美は追いつめられていたのだ。婚活アプリで知り合ったのに2年も待たされてしまったのだから。100点の元カノに結婚を迫られ、別れてから、元カノが結婚したのを知り、婚活を始めた架。ピンとこない女性達、自分もなかなか選ばれなかった婚活に疲れ果てていたのにね。母親の言いなりになっていた共依存の真美。やっと自立しようと地方から東京に出て婚活したのに、また架に依存しようとしていた。母親に反抗的な姉を見ながら、反面教師にしていたのですよね。その姉に東京ではアパートの保証人になってもらい、引っ越しする。姉に正直すぎてバカみたいと言われながらも。後半は、真美が自由になって、一人でも生きていけるようになったと思ったのですが、最後は・・・ネタバレになってしまうけど、お互い離れたからこそ、自分の気持ちに気づけるというのもあるのかな。息子も彼女と一時別れてたけど、また復縁して結婚したから、なんとなく共感してしまいますね。うまくいってくれるといいなあ。この小説も希望が見えて良かった。人間観察はシビアで面白いけどね。映画化されるというのですが、どんな感じになるのか、観てみたい気がします。イメージが合うかな?奈緒は今ドラマ「あのくずを殴ってやりたいんだ」を観てるせいか、あまり合わない感じがするけどね。映画「傲慢と善良」