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Aちゃん22

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2024.11.02
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カテゴリ:電子工作
彼方此方に記事があるので参考にして ST Microelectronics の TRIAC と DIAC を LTSpice に組み込む。TRIAC 調光回路を動かしてみた。LTSpice は最新の x64 版を対象にした。



秋月電子で売っているトライアック万能調光器キット(20Aタイプ)とほぼ同様な回路が動くことが目標だ。


上記トライアック調光回路 AkizukiTriacDimmer.asc の PDF

先にこの日記にで使ったファイル一式のリンク先を示しておく。

色々とつまづく所が有る。修正作業、追加ファイルが必要だ。
  1. ST Microelectronics のサイトから spice sub circuitをダウンロードする
  2. ダウンロードしたファイルを LTSpice に組み込む
  3. 組み込んだ DIAC の.lib ファイルst_diacs.lib を修正する
  4. ST Microelectronics のsub circuit ピン配置に合わせた TRIAC シンボルを組み込む
手順を詳細に追う。

ST Microelectronics のサイトから TRIAC と DIAC の SPICE Modelをダウンロードする。"Diacs PSpice model (.lib) and symbols (.olb)" と "Standard and Snubberless™ Triacs PSpice model (.lib) and symbols (.olb)" の 2 つが必要最小限だ。リンク先ページにある model を全部組み込むこともできる。ここでは 2 つのファイルの組み込み方を示す。

"Diacs PSpice model (.lib) and symbols (.olb)" は diacs_pspice.zip というファイルでここから st_diacs.lib を取り出す。このファイルは要修正だ。後で修正方法を示す。

"Standard and Snubberless™ Triacs PSpice model (.lib) and symbols (.olb) は standard_snubberless_triacs_pspice.zip というファイルでここから st_standard_snubberless_triacs.lib というファイルを取り出す。

それぞれのファイルに利用可能な部品名が ".subckt DB3 DIAC_IN DIAC_OUT", ".subckt BTA24-600CW A K G" の様な行で書かれている。.subckt の直後にある DB3, BTA24-600CW が部品名となる。

これらのファイルを LTSpice に組み込む。%USERPROFILE%\AppData\Local\LTspice\lib\sub を explorer で開き、Drag-and-Drop でコピーすれば良い。explorer は環境変数置換 %USERPROFILE% を認識してくれる。



組み込んだら、st_diacs.lib を修正する(diff ファイルのリンク)。"1.462*{Tr}" を "{1.462*Tr}" に修正する。こうしないと error Unknown parameter "*" というエラーが発生する。パラメータと式展開に問題が起きるのであろう。
--- a/st_diacs.lib
+++ b/st_diacs.lib
@@ -76,7 +76,7 @@ D_D3         N10655 N01060 DZ14V
 D_D4         N10655 DIAC_OUT DZ14V 
 V_IDIAC1     DIAC_IN N01041 DC 0Vdc AC 0Vac      
 C_C1         N02098 DIAC_OUT 1u IC=0   
-R_R1         N02098 TRG  1.462*{Tr}  
+R_R1         N02098 TRG  {1.462*Tr}
 RS_S1        N02098 DIAC_OUT 1G
 E_ABM1       TRG DIAC_OUT VALUE { IF(ABS(I(V_IDIAC1))>{Ibo},1,0)}    
 C_C2         DIAC_IN DIAC_OUT 10p

st_standard_snubberless_triacs.lib のピン配置に合わせたシンボルファイル TRIAC-ST.asyを LTSpice に組み込む。TRIAC-ST.asyダウンロードして、%USERPROFILE%\AppData\Local\LTspice\lib\sym\Misc にコピーする。コピーしたシンボルは LTSpice の部品 Misc/TRIAC-ST として利用できる。



全ての作業が済んだ後で起動した LTSpice ならば、作業結果が反映されているはずだ。既に作業中 LTSpice を動かしていたならば、一旦終了してから起動する。

組み込んだ DIAC, TRIAC を回路で使うには回路図に .lib spice directive を配置する。先に示した回路図を参考にしてほしい。
.lib %USERPROFILE%\AppData\Local\LTspice\lib\sub\st_diacs.lib
.lib %USERPROFILE%\AppData\Local\LTspice\lib\sub\st_standard_snubberless_triacs.lib
.lib も %USERPROFILE% 環境変数展開を使える(注: .asc ファイルの中では \ は \\ の様に escape されている)。

部品を指定するにはシンボルを右クリックして表示される属性一覧にある Value 属性に部品名を指定する。

DIAC に部品名 DB3 を指定する。


TRIAC に部品名 BTA24-600CW を指定する。


先に示したトライアック調光回路を動かしてみる。導通角制御ができている。誘導負荷対応回路を付けてあるので、完全 OFF にならない。


トライアック調光回路の波形 PDF

ST Microelectronics のモデルはどの様な動きをするのだろうか? TRIAC の端子対応は正しく組み込めたのか?1, 2, 3, 4 象限で動かす治具回路を作って確かめる(注: 回路の Gate 電流は定格に対して大きめに振ってある)。


TRIAC model の 1, 2, 3, 4 象限動作を確認する回路 Triac-Q1234.asc の PDF

動作波形を見ると第 4 象限動作である Gate 端子に正パルス、Gate 側 Main 端子(MT1, T1, A1 と呼ばれることが多い端子)から電流入る場合はトリガできていない。「第 4 象限動作に制限あり」を模擬できている。


TRIAC model の 1, 2, 3, 4 象限動作を確認する回路動作波形 PDF

なんだな、高調波規制も有って TRIAC 導通角制御というのはそのうち廃れてしまうのだろうな(周波数変換所ではサイリスタ導通角制御が続くと思う)。PFC 整流して FET スイッチングか、大電流対応の (Photo/Floating Power Supply) MOS FET で開閉制御に変わっていくと思う。

調光とはいうものの、白熱電球は絶滅危惧種、数 10A 流す舞台照明も今時は LED 化が進んでいる。





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最終更新日  2024.11.02 02:57:36
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