フラメンコギタリスト渕崎昭彦 公式BLOG (ふちログ)

2022/12/07(水)23:48

マエストロ・マノロ・サンルーカルとコルドバの記憶 その13

フラメンコの話(62)

クルソが終盤になってくると、 やはり少なからずの疲労を感じるようになります クルソと練習、様々なコンサート、 同じ受講生同士でのギター談義とフィェスタ 僕にとっての優先順位は 迷いなく「学ぶ」ことであったが、 世界中から集まるギタリスト達との 交流は、やはりここでしか叶わない 大きな経験であり「学び」でもある このバランスをどう保っていくのかは 各々の立ち位置で決まってくるのでしょう いつの間にカ受講生も減っているようです マエストロはこう語る 「僕はフラメンコギターで長編物語を描きたかった・・」 これは名作「タウロマヒア」のアルバムを指している つまり、フラメンコギターの曲の構造は 一般的な音楽とは異なり ストーリー性よりも「短編小説」的な要素が強く 「マルカール」「レマーテ」「ファルセータ」の三要素の 原則を保ちながら(少々専門的ですね・・) 進行していくため、 前後関係に必ずしも必然性があるわけではない それらにテーマ性を与え 「アルバム」という形で作品にしたのが 今でも名作と呼ばれる「タウロマヒア」です また、マノロのエクササイズを習っていると 今までに経験したことがない 独特の和声の動きが出てくるのですが、 それらをより深く覗いていくと それらは「タウロマヒア」等でも使用されている 彼独自の「文脈」の基礎に共通していることに 気づくことになります。 常に自分の「イディオム」を求め そして探してきた「自分だけの語法」 その「思考体系」を語る マノロは「音楽家」であると共に 「哲学者」の佇まいに映るかのようでした ただ、かなり話が複雑で、 何度か僕も文脈を見失ってしまい 隣のスペイン人の若者に 「今 話どこにいるの?」と質問したところ 「いや それがさっぱり判らない!」と ウィンクしながら答えてきたので どうやら僕の語学力だけの問題では ないようですね・・ 笑

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