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2018.04.14
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カテゴリ:自転車旅行
-5-
 夏休みに札幌のゲストハウスで知り合ったイスマエルとメル友となっていた。
 ユウタはグーグル変換ソフトを使いスペイン語訳を利用していた。
 意訳は8割がた理解できた。完璧ではないがおおよその意思の疎通ができた。
 イスマエルは高校2年の夏休みに学校の合宿で総勢40名でスペイン巡礼路を歩いた。
 距離は105キロ、100キロ以上歩くと巡礼証明書が貰えるためだ。
 その時の様子をユーチュブにアップされていた。
 アドレスを聞いたユウタは早速動画を観たのだ。
 全く楽しそうだ。フザケながら歩いている。巡礼というので硬いイメージだったが、まるで陽
気な毎日だ。踊りながら歩いている様にも見えた。スペイン人気質というかラテンのノリだ。
 イスマエルはその時一緒に歩いたエリカと付き逢っていた。
 動画の中で高校生が人前でキスする姿が映っていたのには驚いた。日本とは文化が違うのだ。
 こんど二人はフランスの国境ピネレー山脈から約900キロの巡礼路を歩くとメールに書かれて
あった。
 巡礼には人生を替える楽しさがあると言うのだ。
 ユウタはネット検索でスペイン巡礼の関連記事を調べ、ますますのめり込んでいった。
 しかし高校生にはスペインまでの旅費と滞在費を捻出するのの難しいと、諦めかけた時に母が
深田と再婚すると言い出した。
 結婚は母の自由だ。反対する筋合いはない。しかし少しだけ引っかかる事がある。
 深田は嫌な男ではないが、いきなり父とは呼べない。無視し続けるべきか?
 仲良くしてゆくのが得策なのか迷った。
 母は冬に深田と新婚旅行に海外へ行くという。
「ユウタお前も海外旅行に一緒に行かない」
「母親の新婚旅行に付いてゆくほど野暮じゃないべさ」
「海外旅行がしたいと言ってたでしょう」
「俺のはザックを背負ったバックパッカーなんだ。キャリーケースを転がして歩く旅とは違うん
だ」
「大丈夫よ、深田さんはザックを背負って海外に行くと言ってたは」
「あずましくない。二人で行けば」
「そお、気が向いたら言ってね」
 数日後、
「スペイン巡礼の旅は無理かなぁ」
 ユウタは母に聞いてみた。
「いいんじゃない。行き先は決めていないみたいだし、ユウタが好きな国なら深田さんは賛成す
ると思うは」
「俺付いていってオジャマムシじゃないかい」
「大丈夫よ、きっと深田さん喜ぶは」
「本当かい」
「請合うは、親子でスペインに行きましょう」
 雪が降る11月の末だった。
 すっかり客足が途絶えている。
 たった3組の客で今日の営業を終えた。
 店の後片付けをしている時に。
「マスター12月末から1ヶ月店を休ませて下さい」と美代子が言った。
「1ヶ月ですか。長期ですね」
「無理かしら」
「いや、ちょうど私も冬休みを取ろうかと考えていたところなんです」
「よっかた。私、、、。実は深田さんと結婚する事になったんです」
「えっ!」真一の顔色が変わった。
「それで12月末から、息子のユウタを連れて、子連れ新婚旅行でスペイン巡礼に行こうと決めた
のです」
 何てことだ。
「おめでとう」
 と言った後にヒザから崩れ落ちた。
「マスター大丈夫」
「お幸せに」
エピローグ
 結局、真一はスペイン巡礼は中止した。
 その代わりに、地元の人に喜んで貰える企画を練った。落ち込んではいられない。
 ここ朝日地区で商売をさせてもらっているが、一部の人とは関わりあっても、殆どの人は知ら
ないままに3年が過ぎていた。
 もし農家なら寄り合いが月に1、2度はあり顔合わせができるが、レストランでは業種が違い
農家の集まりに参加していない。
 町には商工会があり飲食業も市街地なら参加しているようだが、真一は田舎で孤立していたの
だ。
 そこで新年1月1日に朝日地区88家族に、農家飯特製洋風オセチ料理を無料配布しようと思いつ
いたのだ。
 予算は十万円、1家族に1折りで原価1000円くらい。売値だと3倍の3千円相当のオセチだ。
 遅ればせながら、地元に溶け込む第一歩として考えたのだ。
 一戸一戸配達するのは大変なので、道東町全戸に普及している。FAXを利用しよう。
 番号は電話兼用となっているので、電話帳を見れば分かるのだ。個人情報云々とかは田舎には
ない。
 少しだけ面倒だが、配達よりも手間が掛らない。なんらかの理由で取りに来なかった家には配
達しよう。
 12月初旬から準備に取り掛かった。
 先ずはメニューを決めなければならない。 
「美代子さんが休み中に誰が手伝ってくれる人を知りませんか」
「緊急の助っ人は農大生でしょう」
 網走に東京農大オホーツクキャンパスがあり。学生アルバイトの募集がネットで容易にできる
のだ。
「ネットで求人してみます」
 簡単にアルバイト学生が見つかった。
 時給1200円、交通費を支給すると結構な負担だが仕方がない。
 若い戦力で美代子の居ない間を乗り切ろう。 
 平成××年元旦の11時から14時までオセチの引き取り時間をFAXで送ってあった。
 学生アルバイトに名簿と受け取り農家のチャックを担当してもらった。
 真一は受け取りに来た農家に「明けましておめでとうございます」の言葉を添えて、1つ1つ
洋風オセチを手渡ししていった。
「悪いね。本当に頂いていいの」
「はい、どうぞお口汚しでしょうが味見してください」
 14時が過ぎ、名簿を見ると5軒の農家が受け取っていなかった。
 残りを配達して回る。生ものなので今日しかないのだ。
 学生アルバイトに後片付けを任せた。
「作業が済んだら帰っていいからね」
「お疲れ様です」学生の明るい返事だ。
 真一は地図を頼りに車を走らせた。
 1軒目の佐藤宅に到着した。除雪していない道は四輪駆動でも進むのがやっとだった。
「おめでとうございます佐藤さん」
「いやいや、おめでとう。風邪をひいてしまっい寝てたべさ」
 一人暮らしの老人は、オセチを受け取りこれを食べて元気を出すと喜んでくれた。
 そして留守が2軒、配達できたのが2軒で最後の農家に向かった。
「おめでとうございます。村井さん」
 声を掛け、玄関ベルを鳴らしたが中々出てこない。
 最後にもう一度、ベルを鳴らした。
「どちら様ですか」
「農家飯のオセチを届けに参りました」
 玄関に顔を出したのは、年の頃は40才後半溌剌とした女性だった。
「村井家族は旅行にでていますョ。私は留守番をしている親戚の者です」
「朝日地区のみなさんにオセチを配っているのです。どうぞ受け取ってくさだい」
「いくらでしょうか」
「無料です。日頃のお礼を込めて味見して貰っています」
「私は札幌からきたので知りませんでした。その農家飯てなんでしょうか」
「国道沿いで農家飯と言うレストランをしているのです」
「場所は知っています」
「洋風オセチにしてみました。ぜひ食べてみて下さい」
「ありがとうございます。遠慮なく頂きます」
「それでは、私はこれで失礼します」
「あなたは地元の人ではないですね。言葉使いが鈍っていない」
 女性は1人で暇を持て余していた様で、人恋しくみえ話してきた。
「私は5年前に東京からきました」
「どうりでなにか垢抜けた方だと思いました」
「オセチひとつでそんなにオダテないで下さい。ところで紅茶の良い香りがしますね」
「分かりますか」
「飲食業なので香りに敏感なのです」
「いまダージリン茶を飲んでいました。よかったら1杯飲んでゆかれませんか」
「とんでもありません。初対面の女性1人の家に図々しく上がる訳には」
「遠慮しないで、さあどうぞ」
「今日は止めておきます」
「そうですか残念です」
 しかし真一は、積極的に誘ってみた。
「よければ、これからレストランの方にコーヒーを飲みにきませんか?ベネズエラ産の貴重な豆
が入手しました。酸味が効いて美味しいですよ。趣味で集めたSPレコードでジャズを聞きながら
飲むと最高です」
 女性の前で饒舌してしまった。一体どうしてしまったのか自分でも分からない。
「私は村井サヨ子です。これからお邪魔しても宜しいでのですか」
「どうぞどうぞ大歓迎です。私は農家飯の真一です。こちらこそ宜しくお願いします」
「車に乗せて頂いてもかまいません」
「では、行きましょう」
 サヨ子の明るさに一目惚れ!。
 道東町日赤病院の外科医として今年から勤務する事になったと言う。数年勤めては海外旅行を
してしまう癖が抜けないようで。世界80カ国以上を旅した経験のツワモノ女性だ。
 医師ならば、再就職に苦労はないようだ。
「そろそろ、落ち着こうと思っい叔父の勧めで道東町にきました」
「この町は良いですよ」
「雪が無ければ良いかもね」
「雪なんてナンもナンも、私が溶かします」
 真一は、今年は良い年になりそうな気がした。
編集後記
 当初は海外旅に関する物語にすべくキューバで書き始めた。
 しかし筆が進まない。
 視点を変えて、北海道の道東町と言う架空の農村を舞台に書き直してみた。
 読み進んで頂けると、架空の町はどこにあるか特定できる仕組みとなっています。
 5年ぶりの小説です。
 以前は2~3日、あるいは1週間宿にカンヅメとなり集中して書き終えていました。
 今回は、約2ヶ月旅をしながら、午前中に頭の中が澄み切った時に2時間くらいづつの積み重ね
で、書き進みました。
 細切れなので、どうしても小説に集中できない部分が多く、文章の流れが悪く感じられます。
 主人公の真一にはかわいそうですが、旅をさせないという設定です。
 2ヶ月後の今、ペルーのマチュピチュ村で書き終えることが出来ました。
 私自身の旅はまだ続きますが、小説の旅は終りました。
 最後まで読んで頂きありがとうございました。読者の皆さんの旅はいかがなものですか。






Last updated  2018.04.14 10:20:05
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