冨士鉄工

2007/05/16(水)10:02

田のあぜに野蒜の種が

山野草(52)

田植えから一月近くが経つ 田んぼの稲はしっかりと根付いて大きくなり始めた。 そんな田んぼを見ていると伸びるが目に入った。 田という装置は米の生産に非常に強力に貢献しているが 他の植物たちにとっても都合のいいこともあるらしい。 この野蒜は大きい。 丈は高いし茎も太い。できた種もしっかりと大きい。 野蒜は畑地でよく見かける。それは痩せて痛々しいほどであるが、 田のあぜに育つ野蒜は人間で言うと朝青龍のようなものといえるか とにかく大きい。 田園地帯の人々にとって、野蒜は山菜ではなく単なる雑草。 稲作に特に悪さをするわけでもなく役に立っているわけでもなさそうだ。 イチゴにニラ、ナスに大麦、きゅうりに落花生を混色すると虫が来ないらしいが、 野蒜があることによって何かの害虫が稲に寄ってこないということがあれば良いのだが。 田のあぜは色々なことに有効利用されている。 あぜの最大の理由は水漏れを防ぐことである。 近年はトラクターに巨大な独楽を横倒しにしたようなものであぜを短時間で効率よくつけているところがある。しかし、これも使い方を熟知していないと全く役に立っていない。下地の草を刈ったり、枯れ草を除去して下地を整えた上にあぜをつけなければあぜの上面だけ残って肝心の漏水防止を担う部分が崩れ落ち、ざる状態になりかねない。 昔のあぜは鋤簾というものを使って人力で丁寧に仕上げていた。時々モグラが直径5センチほどの穴を開け、水を漏らしたが、通常の状態では水を漏らすことはなかった。 このあぜに農家は大豆、小豆、サトイモなどを植えて抑草、あぜの補強、生産性の向上などを図っていた。また、彼岸花が適当に自生していて飢饉時の荒蕪作物といわれていた。 ひょっとすると野蒜も飢饉時の荒蕪作物としてあぜに導入されていたのかもしれない。 地域が異なると農業の方法にも違いはある。 モネの家の庭にはこんな大きな野蒜は育っていない。 草木花歳時記(春の巻) 母と子の野草料理

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