山口小夜の不思議遊戯

2010/10/28(木)09:20

第五回楓祭v

                 ──楓からの挑戦状──                 というか、ご先祖からの挑戦状といった方が正しいかも。             テストが早く終わった者の暇つぶしのために、ご先祖が出題したものです。       案の定、楓はたちどころに解いてしまって、「暇つぶしになりゃりねーのな」とニヤニヤしていました。                  皆さんは、楓に勝てるかな!           (後ほど、私にはよくわからない楓の解き方&答えを載せますので、ご確認くださいv)    皆様、本日は雨の中をこちらに遊びにいらして下さってありがとうございます☆  25周年はこの人に担当してもらう!  【彼の遺した言葉】by Champion  「N店にはなんでもある」  おれはよく、楓が遺したこの言葉を思い出します。楓というのは、二十五年前に病に倒れた、おれの友達です。いわゆる、夭折でした。二十五年も前といえば、これを読んでくれている人の中には、まだ生まれていない人もいるんじゃないかな。  小学校三年の時に大怪我を負い、三学期の三ヶ月間を全部入院していたおれは、遅れを取り戻すために四年生になって塾に通い始めました。その塾には、おれのような半分障害を持った子や、病気を背負った子、不登校の子、外国人の子などなど、様々な事情のある子供たちが集まっていました。今から思えば、塾とは名ばかりで、当時はまだめずらしかった、ある種のスペース的な場所だったのかもしれません。その塾に、まとまりようのない面々を一声で動かすことのできる、強烈な個性を持った子がいました。ただ個性的なだけでなく、ものすごく頭のいい子で、今でいえば太田光のようなお笑い系の頭の切れ方も、小学生ですでに持ち合わせているという、おそろしいほどの魅力を持った子でした。女の子たちがからかい半分で言ってくる心理テストとかで「お風呂に入るとき、どこから洗う?」という質問に、「おれ? 風呂から洗う」とか切り返してみせたり、鮮やかなものでした。  よく笑い、よく怒る彼から最初の洗礼を受けたあの時のことを、今でも覚えています。当時は障害によってまだ視力が定まらず、字も読みにくかったおれにも、先生はわけへだてをすることなくテキストの音読を指名していました。それでつっかえつっかえ目を凝らして読むわけです。どんどん見えなくなっていって、恥ずかしくて不安で、とうとうおれは読み進めることができずに止まってしまいました。そのとき、なんともいえない張り詰めた雰囲気の中、あの声が聞こえたのです。「生じる、くらいが読めねーなんて、バッカじゃねーの!」。あたりは水を打ったように静まり返りました。ところが、その荒っぽい声を聞いた途端、おれの目の前にはありありと「生じる」という文字が見えたんです。これを励ましと言わずになんと言おう。本当にその人のことを思う言葉は、時に激しく挑戦的なものであることを、おれは彼から教えられました。  おれたちはみんなそんな彼に心酔していましたが、おれが彼と個人的に仲良くなったのは中学に入ってからでした。お互いの家に行き来して、中学生にしてはなんで好きだったのかわかんない、サディスティック・ミカバンドが二人ともお気に入りで、よく聞いたりしていました。彼のお父さんに連れられて、本郷の方に古本屋巡りに行ったとき、おなかがすいて三人でウナギ屋に入ったのを覚えています。ウナギを食べたあと、道を歩いていて急にトイレに行きたくなって、コンビニとかがなかったのでまたウナギ屋さんに戻ってトイレを借りたんです。彼は大笑いして、「おまえはウナギを食べると出るんだな」と言いました。不思議なことに、この妙なクセは今も変わりません。    さて、タイトルにあるN店というのは、うちの近所にある舶来品がおいてある小さな商店のことです。  おれは母親が身体が弱く、中学に入ってからはとくによく入院していたので、そのたびに楓に呼ばれて、彼の家で食事の世話になったりしていました。驚いたことに、楓はお笑いや勉強の他にもオールマイティな才能を持った子で、メインからデザートまで、中学生にしてなんでも作ることができました(おれが他の友達にそれを言うことは口止めされていましたが)。もちろん、彼のお母さんもとても料理の上手い人なのですが、おれが呼ばれるときは、いつも楓とおれとでふたりして夕食を作っていました。  楓の言う耳慣れない食材の名前をメモ書きし、N店まで使いに走らされた。街道沿いにある大型のスーパーに比べれば、あきらかに品揃えは劣る。それなのに、楓は「N店にはなんでもある」とくり返すのです。  初めは半信半疑でしたが、果たしてたいていのものは手に入りました。おれは、自信たっぷりな楓の横顔を見ながら、「だけどさ、なんでもあるってワケないだろ」といつも無言でツッコミを入れていました。  「オーブンは裏切らない」  これも楓の言葉です。時間と温度さえ守れば、オーブン料理は絶対に失敗しないもの、だそうです。そう言いながら、自分の家族とおれとおれの父、総勢5人分のチキンやミートローフなどを完璧に焼き上げていました。  おれはそれを聞くたび「故障したときは、裏切るだろ」と無言でツッコミを入れてた!  けれど、そばにいたときは笑ったり、ツッコミを入れていた言葉の数々が、いざ楓がいなくなると、なぜか心に響くようになりました。  他の友達は楓のこういう言葉を知らないでしょう。その代わり、おれが知らない楓の何気ない一言を思い出にしている。どうしてみんなが違う言葉を思い出すのか不思議な気もしますが、たくさんの思い出の中から、無意識に胸に響いた言葉を拾い上げているのでしょう。  今、おれはN店で買い物をするとき、「楓の言うとおり、なんでもあるねぇ」と心の中で楓に話しかけます。探していたものがあると、「な、おれの言うとおりだろ」とあの自慢げな声が聞こえてくるような気がして嬉しくなります。  オーブンを使うとき、「ほんとうにオーブンは裏切らないなぁ」としみじみ思います。ふっくらと焼き上がったハンバーグを眺めていると、楓と一緒に出来映えをしげしげと覗き込んでいるような気がして、楽しくてつい笑顔で後ろを振り返ってしまいます。  楓の遺した言葉に、おれが今も命を吹き込んでいるのだと思う。それがおれの生きる力にもなっています。楓といい、おれの母といい、生前に口数の多かった人は、思い出すよすがも多くなるものなんですね。  生まれつき心臓が弱かった楓は、そのために飲まなければならない薬の量は、おれが見て知っているだけでも一日で百錠を超えていました。中学に入った頃には更にその量が多くなり、薬をどんぶりに入れて、おはしでつまんで「おひとついかが?」なんて冗談を言ってみたり。薬でお腹がいっぱいになってしまって、せっかく自分で丹精して作ったご飯も入らなくなっていったんです。そしてとうとうある秋の日、彼が明日を越せないという連絡が入り、みんな病院に駆けつけようとしました。ところが、彼のお兄さんが、わざわざおれのところにやってきて言いました。「おまえは来ない方がいい」。結局、おれだけ病院に行きませんでした。翌日は体育祭でした。おれは学校に行き、彼のことを考えてぼーっとしたまま過ごしました。彼はおれが苦しいときに、いつもそばにいて自分ができる精一杯のことをしてくれました。けれどもおれは、死の苦しみの中にある彼のそばにいることができない。そんな自分の勇気のなさをひたすら感じていました。学校から帰ると、彼のお兄さんが来ていいました。「楓が死んだよ」。  彼のお葬式は、キリスト教式で、とても大きなものでした。彼は中学生だというのに、たくさんの友人や、医療関係者の方々が集まりました。あまりに立派なその葬儀が、おれと彼とを隔てました。ミサの間、おれはずっとN店のことを思い出していました。        【魔方陣の解き方と正解】   わかりません。  【魔方陣の解き方と正解】 ひーたんが9時40発で出たいということはわかった(注:右端のメモ)   10月29日、おばけちゃんとむわむわむ~v (明日は午前授業です☆)  10月28日、ハロウィンもうすぐ弁当v  10月25日、ちょっとピンボケ…うさこのオムライス弁当v(ドミグラスソース付きv)  10月22日、くまじゃないよv 近所のまんまるわんこです^^  10月21日、くり帽子のお友達おにぎりv  ってそれはともかく── まずい!初めてお弁当を忘れていった; 現在、パパが学校に向かってます ↑ありがとうございました。ただ今、無事に職員室に乗り込んだそうです(笑)。  10月19日、月夜?のたぬきさん^^  10月15日、お月見だんご弁当v (学校でなぜかお月見祭りがあるんです^^)  10月14日、みのむしの梅じゃこ弁当v (ちょっとちょっと! 楓のお祖父ちゃんがみのりっつーのはホントか!?)    ◆応援ありがとうございます!   次回更新は10月29日(金)、透子さんのお誕生日ですv  ◆フリーページに【Pi:e:ta】第17節をアップしております。  

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