『うちの父が運転をやめません』垣谷 美雨
日本社会の身近な問題を鋭く小説にしてしまう作家さんです。田舎の父がもうすぐ80歳になるのに運転をやめないので、東京に住む息子がやめるように注意するが・・・過疎化した地方ではバスは2時間に1本しかない。それも来年は赤字のため廃止される。つまり、運転しないと病院も買い物も行けない。「わしは死ぬまで運転するぞ」父は言い張る。私も田舎に住んでいるが、車がなかったら生きていけない。一番近いスーパーまで歩いたら30分はかかる。往復1時間リュックを背負って歩く。しかも帰りは坂道を登る。まるで登山だ。80歳過ぎたらできるだろうか?一つ気になったことは、主人公は50歳代で国立大学を卒業して東京の大手企業で研究職として30年働き、妻も大卒の正社員で、部長になったばかり。私立高校へ通う息子が一人。車は持っていない。なのにマンションのローン返済と息子の教育費でカツカツの生活をしている。田舎の両親を東京に引き取って住まわせる費用も賄えない状態。なぜ夫婦正社員なのに生活に余裕がない!日本の労働者の賃金はそんなに安いのか!コロナ禍で労働形態が変われば、日本の労働者は何に気づくのだろうか。うちの父が運転をやめません【電子書籍】[ 垣谷 美雨 ]