テーマ:今日聴いた音楽(73680)
カテゴリ:音楽評
僕のようなひねくれ者が中村一義が好きというと、決まって他人は眉をひそめるものです…。いいじゃん! とは言っても、確かに、中村一義の音楽を理解するには、結構、時間がかかったくちです。でも今では、本当に大好きなアーティストの一人なので、ちょっと一枚ずつ語らせて頂いてよろしいですか? いいじゃん!
『金字塔』 記念すべきデビュー・アルバム。そもそも、この人のデビューの際の異常な盛りあがりというもの自体が、かなり胡散臭かった。天才登場! という鳴り物入りの紹介のされ方で、デビュー・シングルの「犬と猫」の帯には渋谷陽一が「10年に一人の逸材」みたいな文章まで載ってる始末。しかも、このアルバム収録曲のほとんどはシングルで発表済みの曲ばかりで、シングルまで一枚ずつ律儀に買ってた僕は、噴飯物でした! まあ、内容的にはビートルズなのですが、そのすべての演奏を一人でこなしているという限りなく自閉した音楽なのに、どこまでも外へ外へ進んで行こうというメッセージは、当時の僕には眩しすぎました。引き篭もってる余裕もない人間から見れば、自分の部屋に「状況が裂いた部屋」とか名付けて、「僕はそこから外の世界へ出て行くんだ」という宣言は、今幸せな人間の言い種だよ…って思ってました。ただ「永遠なるもの」というクロージング曲の素晴らしさだけは、本当に涙腺が刺激される名曲だと思います。そんなわけで、この時点では、まだ気にはなるけど、何だか気に入らないという印象でした。 『主題歌』 アルバム未収のシングル。傑作。これは本当に本当に本当に名曲です。中村一義の曲は、どれもポジティヴなヴァイブに溢れているのですが、そこは元引き篭もりなので、ちゃんと、つらい過去みたいなものが基盤に感じられて、そこは信頼できるのですが、そういう意味でこの曲は完璧だと思います。この時点で、次作に期待していました。 『太陽』 で出たのがこれ。微妙に豪華なゲストとかが参加してたりしてるんだけど、やっぱり内閉的な印象。まあ、一般的には良い曲がたくさん入った作品なのでしょうが、なんか散漫な感じ。あんまり好きじゃないなあ…。と思ってました。 『ERA』 レコード会社が変わって出たのがこれ。……で、これで化けた。名盤だと思った。いまだに良く聴きます。本当にどの曲もいいんですよ。「ゲルニカ」とか「威風堂々」といった地味目な曲も、「ジュビリー」や「ハレルヤ」なんてゴスペルみたいな祝福ソングまでほんとに凄い。とても攻撃的な作品です。このアルバムで僕は本当にファンになりました。 『100s』 いきなりバンド・サウンド。ここにきて、本当にこの人は自閉の世界から飛び出したのでしょう。歌詞もシンプルになり、サウンドもビートルズというより、60年代のフリー・ソウルっぽくなって、今までと全然違います。そして、僕はこれが中村一義の最高傑作だと思いますね。とにかく冒頭の「キャノンボール」から素晴らしいの一言。 『OZ』 そして、バンド名義で出した最新作。今、最高に楽しいんだろうなぁ…と微笑ましくなっちゃうくらいハッピーな作品です。かつて、あれほど、訳の分からない言いまわしで歌われた言葉も、どんどんシンプルに、ほとんど意味もなくなってきてます。良い傾向なんじゃないかな・・・? よく分からないけど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Feb 7, 2005 11:17:46 PM
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