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![]() 『遊牛の詩』のための寓話 ![]() ねずみはすでに夢見心地でした。 角と角の間の、ちょっとだけふさふさした毛に身を沈めて、思いのほか疑うこともなく自分の言葉を信じた猫の顔を思い出して笑い転げたいところをがまんすることに苦労していたぐらいです。 『猫は聞かなかったんだ。賢者の言葉を。すばしっこくて目先が利くわりには日がな一日ひなたぼっこが大好きときてる。 俺は言ってやった。今日からちょうど十日と一日(いちんち)だぞ。って。 そしたらあいつ、恩に着るぞねずみ君。なんてぬかしやがった。 ヒヤッハッハッハ・・・・・・・。 おおっとあぶねぇ、あぶねぇ。落ちてしまったらみもふたもねぇ。 だいたい、こんなにちっこい俺さまへの心遣いってもんが足りない競争だよ、まったく。』 ねずみの策略にも、野心にも、牛は、無縁でした。 太陽の熱に火照る体を風にまかせながら、はるかに広がる草原(くさはら)に道を刻みながら歩いて行きました。空にきらめく満天の星ぼしを幾度かは見上げたでしょうか。 やがてかすかに白み始めた東の空に黒い影がぽっつり見えてきました。 ゆるやかな上り坂も、のこりわずかなように思えました。 おしまいは、もうすぐそこ。 力が、新鮮な力が、くたびれきった足に呼び戻されてくる。 《息吹》を感じるようでした。 黒い影が、賢者の待つ大樹であると、はっきりとわかりました。 牛には、あたたかいほほえみをうかべる賢者の顔さえもが見えているような気がしていました。 そのときです。 牛の頭から飛び出したねずみが跳ね飛ぶように駆け出しました。 息もつかずに賢者の足元を走り抜けました。 「いちばん ねずみぃ~!」 賢者の声が丘のてっぺんから四方八方へとどろきわたりました。 我先に、我先にと丘を駆け上がってきていたものたちの足音は雷鳴のごとく激しい地響きとなりました。 そして牛は、静かに賢者の脇に止まりました。 「にばん うしぃ!」 「いちばん、いちばん、おいらがいちばん」 ねずみはぜいぜいと息を弾ませながら踊りあがって喜びました。 三番手を目指す一群の怒声と轟音もねずみを祝福するファンファーレに聞こえたことでしょう。 勝利の喜びは、ねずみのなかのささやかな罪悪感をかき消していました。 この瞬間に未来永劫猫に追い立てまわされる身となったことさえ忘れました。 「おいらぁ、すごいや。いちばんだ」 そんなねずみに牛は言いました。 「ねずみさんはすごいね。すごくはやいね。おめでとう」 牛はしあわせでした。 精一杯歩いてきたので、体いっぱいにしあわせでした。 http://fukashihojo.com/ ![]() 遊牛の詩/ HOJOl's spirit 遊牛の詩/1996 詩/曲 北條 不可思 善人なおもて往生す ましていわんや悪人はなおさらだ Oh My Son このメッセ-ジが聞こえるかい 自由だ平和だ人権だと騒ぐ前に我々は何をしてる Oh My Son このメッセ-ジが聞こえるかい 毎日何の命を食らって生きてるくせに 人間だけが一番エライと講釈、講釈たれる ねずみに勝利を渡す牛になりたい ねずみに勝利を渡す牛になりたい 悠々と歩む牛になりたい 悠々と歩む牛になりたい Oh My Son このメッセ-ジが聞こえるかい 明日ありと思う心の浅はかな愚かな己の精神よ Oh My Son このメッセ-ジが聞こえるかい 福祉だ教育だ環境だと騒ぐ前に我々は何をしてる Oh My Son このメッセ-ジが聞こえるかい 毎日何の命を食らって生きてるくせに 人間だけが一番エライと講釈、講釈たれる ねずみに勝利を渡す牛になりたい ねずみに勝利を渡す牛になりたい Oh My Son このメッセ-ジが聞こえるかい 善人なおもて往生す ましていわんや悪人はなおさらだ Oh My Son このメッセ-ジが聞こえるかい 善人なおもて往生す ましていわんや悪人はなおさらだ Oh My Son このメッセ-ジが聞こえるかい 善人なおもて往生す ましていわんや悪人はなおさらだ Oh My Son このメッセ-ジが聞こえるかい
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2020/05/23 06:00:29 PM
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