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いつまでもムトーくんに頼るのもどうかと思うのですが、思い出してしまったもので。
時々、彼の家に遊びに行きます。その多くはなにやら人恋しいので 来てくれないかと呼ばれて行くものです。 彼がそうした精神状態のときは、放っておくとむやみに借金したり、 モノを破壊したり、変なとこに電話したり、ろくなことをしないので、 とりあえず行くことにしています。 でも行ったからといって特別もてなしてくれるわけでないあたりは、 さすがムトーくんです。 彼の部屋は8畳ありますが、あちこちにモノが散乱しているので、 坐るスペースはありません。 わずかに一畳分のスペースに布団が敷いてあるので、 誰かが来ると布団をたたみます。 たたんだ布団の上に彼が鎮座し、客は布団をたたんだあとの半畳に坐るわけです。 入り口のドアは蝶番が破壊されているので開け閉めできません。 ただたてかけてあるだけです。 しかも60センチばかりの穴が開いてるので、 四季を通じて風通しはよろしくて、 ドアとしての役目を果たしているとはいえません。 そんな小汚いところに生息する彼ではありますが、不思議なこともあります。 なぜか電話器には丁寧にカバーがかけてあり、 ちょっとホコリがかかろうものなら、鬼の形相で磨き始め、 客のことなど眼中になくなります。 また、ポテトチップスを食べるときは、必ずハサミで袋をカットして開けます。 そして食べかけを残す場合、袋のはしを三回折って、 洗濯ばさみ二個で止めておくというルールにこだわっているようです。 よくわかりません。 そんな彼が珍しくもてなしてくれたことがありました。 ある寒い日のことです。 彼が何やらマグカップに入った、湯気のあがった液体を持ってきました。 色が褐色なのでコーヒーかと思いました。 彼はおいしそうにフーフー言いながら飲んでいます。 私はすすめられるまま口を近づけましたが、コーヒーのニオイはしません。 お茶でもないようです。 不審に思いながらも、「飲み物」であろうと一口飲んでびっくり。 尋常でない甘みがあり、変なにおいがします。 しばらく考えてやっと結論が出ました。 それは暖めたコーラでした。 炭酸が抜けきったため異常に甘いうえ、 独特のコーラ臭は薬品のようなニオイに変化し、 飲むと歯がギシギシします。 私はせっかくの彼のもてなしを受けることができず、 残念ながら一口でギブアップしたのでした。 みなさんも一度ぜひ「ホットコーラ」をお試しください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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