私立通信制高校への補助についてのはぐらかしの答弁に、再質問で怒り=終わりの方の赤字部分
Q 福永信之議員(公明) もう1つの置き去りにされた分野です。2月の予算委員会で私が、6月定例会では公明党の萩原一寿議員が質問しました。萩原県議に対する答弁で、知事は4つの課題を挙げました。1つ、県外通学する生徒への補助を行っている都府県の成果と問題点をよく調べる。2つ、本県の近隣県がどう考えているか把握する。3つ、県内私立高校へどのような影響が出るか調べる。4つ目が、事務処理体制について詳細な検討が必要でした。最初の3点には、県外の私立高校へ通学する生徒の御家庭をどう支援しようかという視点が皆無でした。 私学助成の2本柱は、学校への運営費補助と父母負担軽減事業補助です。本県以外の私立高校へ通学した場合、この2本柱の恩恵はゼロです。同じように県民税を納めているのに、こんな不公平はありません。国は、高校所在地にかかわらず平等に就学支援金を補助しています。年収499万円の御家庭、県内の私立高校へ通学すれば県独自の授業料と施設等の納付金の補助が3年間で119万400円、入学金が10万円、合計130万円が補助されます。ところが、県外の私立高校に通うとゼロ円です。130万円対0円。こんな大きな差別がほかの分野にありますか。年収590万円以上、609万円未満の御家庭でも県内高校では授業料について3年間で76万8,600円の県の補助があります。県外高校はゼロ円です。 全日制の県立高校の在籍数は約12万人。県内在住で県内の私立高校に通う生徒は約4万8,000人なのに対して、県外の私立高校へ通う生徒は約2万人います。本県の中学校卒業生が全員本県の県立高校、私立高校に進めるのでしょうか。約2万人の生徒に学びの場を提供しているは県外の私立高校です。 不公平の是正に向けた知事の前向きな答弁を求めるものであります。 A 上田清司 知事 県外の私立高校に通学する生徒、いわゆる県外生については、国の就学支援金制度により一定の支援が受けられる仕組みができております。 東京都は都外に通学する生徒が少ないこともあり、包括的に都内都外の区別をしておりません。 東京都以外の関東各県も県外生には補助を行っておらず、本県も厳しい財政状況も踏まえ、県外生への補助を行っていないところでございます。 しかしながら、御指摘を頂きましたので、関西圏で既に同様の政策を実施している京都府や兵庫県などの状況も調査させていただきました。 京都府では、他県間での相互補助の合意を原則としているため、通学先によっては対象外になる府民が生じてしまうなどの課題がありました。 兵庫県では、地理的な要因による通学困難者対策として、特定の県への通学者のみを対象に補助を実施しているということになっておりました。 関西圏の府県からは、県外生の補助については、財源措置を含め国が一律の制度として実施すべきであるという意見を聞きました。 県外生補助が県内私立高校に与える影響については、個々人の最終的な進路選択は様々な要因や事情に左右されております。 そのため、残念ながら、現時点ではその要因を明確に分析できるデータを見つけられませんでした。 しかしながら、平成21年度と平成29年度の私立高校の入学者数を比較すると、県内生は1万5,700人から1万7,067人に増加しています。 一方、県外生は5,442人から4,607人に減少しています。 財政面への影響ですが、試算しましたところ授業料のみの補助でも事務費を含めて約10億7,000万円の費用が必要となります。 さらに、施設費や入学金も対象とした場合には、合わせて約20億7,000万円と見込んでおります。 以上のようなことから総合的に考えると、来年度から本県独自で県外生への補助を実施することは、大変恐縮ですが、現時点では困難な状況と言わざるを得ません。 現在、国では公明党が掲げられた公約を契機に、年収約590万円未満世帯までを対象とする私立高校授業料の実質無償化が検討されております。 これらの検討結果を踏まえた上で、引き続き県外生への補助の在り方について検討を進めてまいりたいと考えております。是非御理解を賜りたいと思います。 再Q 福永信之議員(公明) (3(1)通信制高校についての再質問と共通) 3番の教育費の父母負担軽減について、知事に再質問を行います。 知事は、今やるとどれだけお金がかかるんだとか、試算の経過をお示しになったんですけれども、本来示すべきはですね、私思いますよ、質問通告した6日には埼玉新聞にも記事が載っていましたよ。国が住民税非課税の低所得世帯については、就学支援金を年額39万円に引き上げる。年収350万円未満で約35万円にする、年収590万円未満では25万円に引き上げると。それをやって、国がやれば、どれだけ県が単独でやっている分の財源が楽になるか。その財源を振り向けたい、このぐらいの答弁が欲しかった。 しかもですよ、その10億とかかかるとおっしゃるんだけれども、国がこれをやれば、1年間だけですよ、県が出せばいいのは。そういう視点に立った根本的な、困っている人に対する応援をしようという姿勢が欠如しているのがとても残念な答弁でした。 だから、今後、これは国の制度は2019年度実施のようですけれども、単年度だけでも何とかできないかという発想に立ってもらいたい。ともかく公平性が担保されていない通信制とその県外の私学に通っている人に対して何かできないか、何かやろうという知恵を絞るところからスタートすべきであると私は思うんですよ。 それで、答弁の中で例えば通信制、私も質問で言ったつもりなんですけれども、平均額のことをおっしゃる。でも、例えば入学金だったら週1日制は3万円、4日制だったら24万円ですよ。これ平均して言うんじゃなくて、一人ひとりの生徒に引き当てて考えた形で知恵を絞っていただきたいと思います。 1円も出せないというようなことではなくて、次年度から、2019年度から国はこんなふうにやってくれていると。じゃ1年、埼玉頑張ろうじゃないかという姿勢に立ったときに、違う答弁が出るんじゃないでしょうかね。 それから、もう一歩、県外に通っている家庭のことについても、東京都の事例とかいろいろおっしゃったけれども、現実に埼玉県から2万人行っているわけなんですよ。それに対して、130万円に対して、こっちは0だと。そのまま放置していいのかということについて、知事、心の痛みはないんですかね。 そういう姿勢からの何か人間味あふれる答弁とは距離感があったので、もう一度お答えいただきたいと思うわけでございます。 最後になりましたけれども、通信制高校というのは高校中退なさったお子さんが行くわけですよ。県立高校辞めちゃって、そのまま、辞めたままだったらニートになっちゃうような子が、そこへ行ってよみがえっているわけだ。あるいは不登校だった子、そういう子供が学んでいるわけ。 せんだって木下委員長が総務委員会で視察をなさった清和学園、あそこなんか週4日制で全員卒業して国家資格取っているじゃないですか。全国で初めて調理学科も作ったと聞きましたよ。私も見ました。埼玉医大の先生が教えているんですよ、すごいなと思いましたね。 だから、週1日制のところと4日制のところと実態をよくごらんになった上で、何か知恵を絞ろうじゃないですか。再度、知事の前向きな御答弁を御期待申し上げまして、再質問にいたします。 再A 上田清司 知事 いつもながら、弱い人たちに対する思いやりのある御質疑、大変感謝しております。 一方、県政において公平性ということについても考えなければなりません。多角的に考える公平性というのがあります。 例えば公共調達において、県内事業者に対する手厚い保護が大きすぎる、多いと、こういったところでの注意を受けたりします。 おのずから、県政の予算の支出においては県政全般に渡る分野ということが基本にあったと、私はそんな理解をしております。県内私学振興という枠組みも1つあります。 例えば、東京大学に合格する人たちの子弟の年収の多さということなども週刊ダイヤモンドなどでよく指摘をされます。 そういうものの中でも、何を推定するかということについて色々議論がありますので、なかなかデータはありませんと申し上げました。 ただ、私学助成ということに関して、県外生という枠組みをこうして作っている。予算があり余るという形であれば話は別でありますが、これはやはり、ナショナルミニマムの部分と県内ミニマムの部分があるのではないかというふうに私は理解をしております。 したがって、いわゆる国が今行っているところの私立学校の実質無償化、これは正にナショナルミニマムで考えが出てきていると思います。 私学振興における県内の振興の部分は、県の支出の中で考えているものでありますので、おのずからそこに差があるのではないかという理解の中で、これまで伝統的に差をつけてきたというものがあります。 幸い、私学全体について無償化、全体としてミニマムを作ろうという動きがありますので、その中で解決すべきものではないかというお答えをさせていただきましたので、これについては御理解いただきたいと思います。