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テーマ:お勧めの本(7400)
カテゴリ:読書でしあわせ
筒井康隆作品は好みだけど、長編より短編。もっといえば昔書いた作品が断トツにおもろいと思う。数年前、自選ドタバタ傑作集の「最後の喫煙者」「傾いた世界」(以上、新潮文庫)を読んで、改めてすんごい才能だと実感。どれもこれも傑作の短編でオススメです。
でも長編で、「こんな小説他にない!やっぱりすごい人だ」と思った小説が「残像に口紅を」(中公文庫)という作品。 究極の実験小説…と書かれて興味を持って読んだら、ほんと究極。世界からひとつ、またひとつと、ことばが消えてゆく話なのですが、同時に、小説中の文章からも文字が1文字ずつ消滅していくのです。 つまり、「世界から『あ』がなくなると」という章では、「愛」や「あなた」といった言葉が小説の文字から消えていってしまうというわけです。 読み進めると、最初は『あ』だけ消えていた世界が、『い』も『う』も『え』も『お』も消えていってしまいます。小説内の単語も例えば『い』なら『犬』や『家』という言葉は使えなくなっていくため、かなり制限が出てきます。それでも書き進めるってのがすごいです。最後は……。 ドタバタで笑える要素もいっぱいあるけど、ラストはちょっと切ない感じに思えました。 難点は、全然この本が手に入らないこと。私が探したときは文庫本化されてなかったので、ネットで中古コーナーで必死で探してやっと手に入れました。手に入りにくくてもちょっと読んでみてほしい本です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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