村上和雄『コロナの暗号』
四月に逝去された筑波大学名誉教授の遺作。生前から強調されてきたメッセージが繰り返し展開されている。「地球環境における人間の痕跡が広範で激しくなったことで地球システムに衝撃を与え、自然の他の力に匹敵するようになった」人新世の時代に入ったとし、「生きている地球」「人間と自然をわけて考えない」「見えないもの・魂の大切さ」を主張し、「利他主義」「つつしみの心」「遺伝子をONにするプラス思考」を勧めている。ずっとそのまま同じ主張だ。 しかし地球規模での救済が必要となってきている「コロナ禍」での今日、彼の主張は私達の心に、ますます響いてくる。それには本書の後半で言われているように、東日本大震災や様々な災害に自己犠牲的に対応してきた「日本人の素晴らしさ」も影響しているのかもしれない。しかしこの間、同事に明らかになってきている、官僚の「隠蔽体質」「事なかれ主義」「無責任体質」……、これらに国民はうんざりし怒りさえ覚えている。なんとかしなければならない、という思いがある。 「コロナの暗号」はそれらを顕在化した。